表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

341/471

そして

 京では、前田利家が明智の残勢力で反抗的な連中の始末に忙しい。加藤清正は摂津、丹波、丹後の国衆を廻って毛利への属国化を説得している。もともと丹波、丹後国衆は手強い。だが、武田との戦で強固な連中は死んでしまい、今の世の中ではどこかに従属した方がいいと考える者も多く予想よりは上手く進行している。


 明智の居城であった坂本城には明智十兵衛の家族が住んでいた。十兵衛とは旧知の仲ではあったが、決して仲が良かったわけではない細川藤孝。その細川に坂本城が与えられた。秀吉が織田を飛び出した時に細川は時の将軍、足利義昭にくっついて毛利へ流れてきました。それと同時に義昭を見限りすぐに秀吉に付いたのです。荒木村重の不正に気づいたのも細川でした。細川の陰からの支援があって毛利へ上手く入り込めたのです。その恩を秀吉は忘れていなかった。


 とはいえ、ここは織田の領地、すなわち武田の勢力圏に近い。恩というより信用して任されたというところだ。


「父上、ご出世おめでとうございます」


 藤孝に付き添っているのは嫡男の忠興です。藤孝が家督を譲ろうと思っていた矢先の国替えでした。丹後11万石から近江30万石への大幅加増になります。


「忠興、ここは最前線。そう喜んでいいものかはわからん」


「細川家はここを任されたのです。明智十兵衛の居城を任されたとなれば明智領を任されたようなものです」


 そんなことはない。秀吉は近々京へ上るだろう。本願寺跡に建設中で工事を中止していた大阪城も、工事を再開したと聞く。そうなれば武田の攻めを食い止める最前線ということになる。


「おお、玉殿ではないか?」


 2人の前に明智十兵衛の娘、玉が控えていました。忠興は玉に一目惚れをしていたのです。忠興はまだ正妻を持っていません。ずっと戦やゴタゴタ続きでそれどころではなかったのです。


「細川様。私達家族を生かしていただきありがとうございます。このご恩は一生かけてお返しいたします」


 忠興は鼻の下が伸びている。藤孝はゴホンと空咳をしてから先に進んだ。細川家の跡取りの嫁に敵であった明智の娘が許されるのか?玉はよくできた娘だ。嫁としては申し分ないのだが、秀吉がなんというか、だ。秀吉には子ができない。とにかく色々な大名の娘を妾にし子作りに励んでいたが、ついに諦めたのか養子を取った。


 十兵衛の娘が器量良しと報告すれば食指が動くかも知れんとはいえ秀吉に内緒にもできない。藤孝は前田利家に相談しようとして思いとどまった。利家は娘を秀吉の妾に献上していたのを思い出したのだ。とても相談ができる相手ではなかった。


 結局、藤孝は最近よく名前を聞く遣り手と噂の後藤信尹に相談することにした。後藤は立花宗茂の家臣だが、立花が九州へ戻った後も京に残っていた。利家、清正の願いだそうだ。


 細川藤孝は、京へ頻繁に訪れていた。昔、足利将軍を支えてよく来た道だが、今度は公方ではなく秀吉の天下の為だ。秀吉を天下人と認めさせるにはどうするのがいいか?秀吉は源氏ではないので征夷大将軍にはなれない。無理やり誰かの養子にしてしまおうかとも思ったが流石に乱暴すぎるし、うんという大名もいるまい。こっそり黒田官兵衛に聞いてみたが、流石に秀吉を養子にはしたくないと言われた。官兵衛の家はである小寺家は元々は佐々木源氏の流れで由緒ある家柄だった。秀吉に忠実に従っている官兵衛が断るのだから他を進めるわけにもいかない。


 官兵衛はこう言った。


「細川殿。秀吉は天下人になるだろう。だが、養子の三成の時代になった時に、天下人として生きられるかはわからん。そんなのに家の名をくれてやることはない。聡明なそなたなら分かるであろう」


 藤孝は脳天を殴られたような衝撃を受けた。藤孝自身も足利将軍家、織田家、そして秀吉と仕える相手を変えてきた。息子の忠興の時代に仕えているのは木下ではないかもしれない、と。そして官兵衛は秀吉には仕えるがその先はわからないと言ったのだ。


 天下人を名乗るには征夷大将軍の他には摂政、関白というお役目がある。帝をお支えし政治を行う官位だ。摂政は基本皇族が天皇が若年等の理由で政治が出来ない場合の代行を行うお役目の事で長年不在となっている。天皇が成人で職務を行える場合、摂政は置かない決まりだ。


 関白は天皇を補佐するお役目だ。現在は近衛信尹が関白の座についている。近衛家は由緒ある家柄で、ここに秀吉を養子に出すのは難しい。関白の座をわざわざ渡したくはないであろう。それに近衛家はかなり強気だ。後ろ盾があるのやもしれん。


 関白は五摂家と言われる、元は天皇から血を引く五つの家から選ばれる事になっている。九条家、一条家、二条家、近衛家、そして鷹司家だ。どこに狙いをつけるか、藤孝は頭が痛かった。


 そして京で後藤信尹と会うことができた。


「後藤殿、細川藤孝でござる」


「細川様。ようこそおいで下さいました。さて、それがしになんの御用でございますか?」


「要件は2つある。どちらも困っておる。助けていただきたい」


 後藤信尹は影猫の情報から細川藤孝が何を相談しにきたかを知っている。当然しらないふりだが。


「頭をお上げください。それがしにできる事であればご助力いたしますが、はて?」


 藤孝は悩みを説明した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ