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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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疑問

 少し前の事です。後藤信尹が本能寺へと向かい始めた頃、影猫は隠し通路の入り口を再び隠しました。明智十兵衛を運び出した隠し通路、これは徳がいざという時の備えとして用意したものです。ここで使うとは思っていませんでしたが、備えあればなんとかというやつです。この隠し通路は外からではその存在を知らなければ見つけられません。寺を一度壊すくらいしないと見つけることは難しいでしょう。


 そしてその後、根来衆と十兵衛の兵が戦う中、明智十兵衛の容姿に似た首の無い死体を置いて離脱しました。ちなみに住職は襲撃前に避難させています。そして後藤信尹の元へ向かいました。そうです。後藤信尹はこの襲撃を事前に知っていました。武藤喜兵衛の配下である与助と影猫によってです。


「信尹様。予定通り進んでおります」


「影猫か。ご苦労であった。兄上によろしく頼む」


「やはり三河へお越しにはならないのですか?大殿はお迎えするご用意はあると申しておりました」


「今少し留まろうと思う。兄上と戦う事になるかもしれんが」


 後藤信尹は、武藤喜兵衛の実の弟です。真田家が生き残るために、若い頃に真田幸隆によって九州へと派遣されました。この事を知っているのは武田信玄、勝頼、真田兄弟のみです。影猫は信尹の顔を見て本気のようだ、と感じました。できれば兄弟で戦うような事にはなって欲しくないのですがこれも戦を好む真田の血なのでしょうか?信尹は影猫の困ったような顔を見て、


「冗談だ。そうなっては亡くなった父上の墓に顔向けができんよ。ただ父上は兄弟が争ってでも真田の血を残そうとわしを九州へ出した。武田がこんなに大きくなり、兄上3人とも城持ち大名になるとは思ってはいなかったであろうが。今となってはわしのやるべき事とは何か、だ。で、その大久保、いや本多正信とやらを見張る事にする。兄上がそこまで気にする相手とは思えんが」


「大殿は本多正信が今後の戦局を動かすと言っておられました。それでは私はここで。また参ります」




 後藤信尹は本能寺へ駆けつけて明智十兵衛の死体を見つけました。もうじき前田利家がくるはずです。それまでは現状維持を指示します。利家は明智十兵衛を知っているはずです。本人に見させるのが得です。


 大久保信正の死体も出てきたようですが、与助の情報から替え玉だとわかっています。ですがそれも知らぬふりです。根来衆を片付けて二条御所へ事態を報告してから本能寺へ戻ります。朝廷へ他意のない事を伝えて、治安維持に務めると言って。そして前田利家が本能寺へ入りました。


 本能寺の客間に利家を通し、上座に座らせてから経緯を報告します。


「前田様、かくかくしかじかでございます。事を起こしたのは明智十兵衛の配下の大久保信正という者で、すでに殺されております。その死体は例の大筒の横にあると聞いておりますので、後程ご案内仕ります。まず、この本能寺には明智の死体がございます」


 利家は加藤清正を連れて死体を見に行った。秀吉に京へ向かうように言われて猛スピードで駆けつけてみれば十兵衛が身内に襲われて死んでいた。なんでこうなる!?利家は死体を見て、開口一番、


「首がないではないか?これでは十兵衛殿かどうかわからん」


 利家は脳みそ混乱中で冷静さを保てていない。それに対して信尹は極めて冷静に、


「発見したままの状態で保持しておりました。服装、体格、その身につけている小物にも桔梗の紋が入っています。ですがそれがしは明智十兵衛に会った事がありません。恐れながらご検分をお願いしたく存じます」


 利家は後藤信尹のこういうところが気に入っていた。だが、虫の居所が悪かった。怒鳴り散らしてしまう。


「後藤!首を探せ、首が必要な事ぐらいわかるであろうが!」


 信尹は、やれやれと思いながら、はいと返事して場を去った。信尹が見えなくなってから加藤清正が、


「前田様。後藤信尹の事ですからとっくに探し尽くしているはず。あやつが先行したから京は混乱せずに治っているのですぞ。明智の死体も我らに検分をさせた方がいいという判断。落ち着いてくだされ」


「わかっておるわい。だが、腹が立つ。秀吉のやつはどこまで手を回しておるんじゃ?後藤も秀吉の間者では無いのか?」


 それは考えた事が無かった。確かに機転が効きすぎる。前もって知っていたのなら………。清正の中に一瞬だが不信感が湧いた。だが、今までの功績を考えると邪険にはできない。それに秀吉の間者なら尚更だ。


「前田様、今のご発言、気に留めておきます。それよりもこの死体ですが、それがしには明智殿に見えます」


「わしにもだ。だが、首がなければ秀吉は信じまい。それに誰が首を隠したというのだ?」


「明智殿の事です、咄嗟に首を隠すよう命じたのでしょう。もう一つ気になることがあります」


「なんだ?これ以上わしを混乱させんでくれ」


「この寺です。なんで大筒を食らって原型を保っているのでしょう」


 そこに後藤信尹が戻ってきました。


「申し訳ありません。首の探索は続けておりますがこの付近には見当たりません」


 清正は寺についての疑問を信尹にぶつけた。信尹は、


「さすがは加藤様、お気付きになられましたか。明智殿の死体の後にご報告するつもりでした」



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