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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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真田の血

 真田信尹。三雄の歴史では早くから徳川家康に仕え、真田との連絡係をしていました。一番近い兄の真田昌幸が家督をついでからはある時は敵に、ある時は味方になる兄、真田昌幸との交渉を任されていました。両方をうまく立てやりくりをした実績は見事で、大阪の陣ではあの真田幸村の歴史に残る最終攻撃、家康本陣目掛けて駆け抜けてあと一歩のところまで追い詰めたというあの局面で、家康本陣を護る叔父の信尹が幸村の猛攻を防いだとも言われています。幸村があそこで信尹の守備につまづかなければ家康の首が取れていたかもしれません。


 それはともかくこの歴史では、信尹は真田幸隆の命令で早くから西国へと出されます。四男という事もあり、家督を継ぐ可能性もほぼない信尹に西国で身を立てるよう勧めたのです。そこには武田信玄の後ろ盾がありました。実質信玄の命令で西国に根を張らせたのです。それが活きるかは誰にもわかりません。未来がわからないからこそ、色々な手を打つのです。そして真田信尹は信玄からの客人として大友家に入り込んだのです。


 それからの真田信尹は後藤信尹として大友家で活躍します。今では立花宗茂の配下ではあるものの五千石の禄を貰っており、重臣扱いとなっています。




 加藤清正はその後藤信尹に直江兼続の手紙を見せたのです。それは信尹が絶対の信頼を得ている事を示しています。信尹は手紙を読んで、


「加藤様。これは?」


「どう思うよ、信尹殿」


「毛利家にというより、三成様個人へのお手紙でございますな。何か個人的に恨みを買うような事でもあられたのでしょうか?」


 そうか。この男にはそう読みとれるのか。


「差出人についてはどう思う?」


「上杉家を代表しての手紙のようですが、年齢は若そうですな。かなりできるという事でしょう」


「知らんのか?」


「存じませぬ。それがしは九州の生活が長く東国の事までは手が回りませぬ」


 直江兼続。どんな男なのか?


「そうか。この手紙の事は内密に頼む。それで丹後の衆の事だが」


「はい。使いを出したところ、領地内で戦をしない条件で素通りを許されました。根回しは通っていたようです。そのまま若狭から越前へ進めます」


「上杉の動きはどうだ?」


「兵を集めています。美濃からも兵が出ているようです」


 美濃から?織田信忠は上杉の味方をするのか。武田の同盟国同士だから当然ではあるが、そんなに簡単に織田が上杉の手助けを?武田軍団は思っているより一枚岩のようだ。ただ、織田は攻めにくい。利家や清正にとっても恩ある家だ。


 一行は丹後に入った。明智勢の妨害は見られなかった。所々に現れる城や砦は警戒をしているだけで手を出しては来なかった。それを見て、後藤信尹は立花宗茂に言います。


「おかしな事もあるものです。こちらも攻めない、向こうも攻めてこない。ここは敵地だというのに」


「信尹。秀吉様の根回しだそうだ。何も起きない方が平和でいいだろう」


「ですが、本当に秀吉様の狙いは上杉でしょうか?それがしにはそうは思えないのです。動いてもよろしいでしょうか?」


 動く?どういう意味だ?立花には信尹の言葉の意味がわからなかった。だが、この男は無駄な事はしない男だ。この男のいう通りにする事で数々のピンチを通り抜けてきた。


「許す。狙いが上杉でないと?」


 信尹は兵を連れて陣を離れていった。兵は五千、大所帯だ。どこへ行こうというのだろうか。




 越前には直江兼続が三万、織田信忠が五千の兵を連れて応援に来ていた。上杉景勝は出陣していない。


「直江殿、上杉殿はどうなされた?」


「織田様。この戦は、いえ戦にはなりますまい。秀吉は面白い。三成もです」


「どういう意味だ?」


「まず景勝様ですが、それがしが出陣を遠慮するよう申し上げました。今回のキッカケはそれがしが勝手に仕出かした事。責任は全てこの兼続にあります」


「秀吉に喧嘩を売る手紙を書いたと聞いた。勝頼様が上杉の応援に行けというので来てみたが、景勝殿は不在でお主は戦にならないという。全く意味が分からん」


「勝頼様は上杉の兵が少ないと仕掛けられると思われたのでしょう。戦に絶対はありませんので。今回は信豊様や武藤様は?」


「美濃まで来ているがこちらには出陣はしないと言っておられた」


 やっぱり。勝頼様は全て読んでいるという事か。


「魚鱗の陣に構えまする。さすれば敵とのお見合いになるでしょう」




 上杉軍三万五千、前田軍三万五千がお見合いになった。いつのまにか前田軍の兵が減っている。後藤信尹を追っていくつかの部隊が離脱していっていた。その事に気がついたのは福島政則だった。


「清正、兵が減っている。これでは数では五分五分。補給を考えると長丁場は不利だ。早めに仕掛けて様子を見たらどうだ?」


「前田様と話をしたところだ。ここで待機とする」


「なぜだ?」


「後藤信尹が京へ行ったらしい。そもそもこの戦は最初から何か変だ。前田様もそう思っていてむやみに攻めない決断をされたのだ」


 後藤信尹が京へ?どういう事だ?



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