久し振りの三雄
信玄復活イベントの少し前、勝頼の姿が諏訪原城にありました。ここには諏訪神社が設けられていて、なぜか月に一度、未来の諏訪三雄と話ができるのです。勝頼はそれが何日か覚えているわけではないのですが、なんとなく三雄が待っている日がわかるのです。今日は来ているはずです。
「おお、来た来た。すっごく間が空いたが東北は終わったのかな?」
勝頼が諏訪神社に二礼二拍一礼をすると、三雄の声が聞こえてきました。横にある機の横に座っています。なぜか二礼二拍一礼が合図になっているようです。
「三雄殿。お久しぶりでございます。また老けましたね」
三雄はガクっと首でコケたフリをしながら、
「そういうなよ、勝頼。お前より30も年上なんだぞ。もう72歳だ。楽しい年金暮らしだよ。だけどそっちの72歳と違ってこの時代は平均寿命が80歳くらいだからもうちょい頑張れる、はずだ。お前の天下統一は見届けたいと思っているよ、実際には見れるわけでは無いけどな」
三雄はあと8年で天下統一ができると言っています。そのくらいやってみせろよ、という意味がその言葉にはこもっている感じを受けました。年金てなんだろう?
「三雄殿。東北は武田家が制圧しました。おっしゃっておられた伊達政宗は結局殺める事になってしまいました」
「そうか。伊達政宗は曲者だからうまく使いこなせないととんでもないことになる。殺めたのはしかたあるまい。というより正解かもな。で、そうなると弟の小次郎だっけ?小次郎が伊達家を?」
「はい。長女の春を小次郎の嫁に出しました。これで伊達小次郎は義理の息子になりました」
結局、勝頼は春を伊達小次郎に嫁がせました。東北へ出陣する前は兄の伊達政宗に嫁がせるつもりだったのであうが、不思議とスルスルとそうなってしまいました。以前、三雄から
「なんていうか、風の流れというか、何かに誘導されているかの様に物事が動くことがある。それが人の意志によるものなら十中八九罠だ。だけど、そうでなく、何かに導かれている時、そういう時は流れに逆らわずに動くべきだ。それを見極めたものが有利になる」
と教わり、何度かその様にして上手くいっています。今回も何かに流される様に決めました。煩そうな姑の義姫もいない事だし、春が小次郎を尻にしいてくれれば上手く行くだろうという判断です。政宗は言うこと聞かなそうでしたしね。これで東北で曲者は最上だけになりました。佐竹と伊達、相馬で見張ってくれれば安泰と見ています。
「そうか、それもありだな。ただこっちの歴史では伊達小次郎は早くに死んでしまうからどんな風になるかは想像できない。まあ、春さんが上手くやればいいだろう。で、明智と秀吉は?」
「それが、色々とありまして」
勝頼は今までに起きた事を説明した。三雄は本多正信の名前を聞いた時に、つい声を出してしまった。
「どうかしましたか?」
「いや、そこでその名前を聞くとは思っていなかった。そういえばなんで今まで出てこなかったんだ。そいつはむちゃくちゃ曲者だぞ。俺の世界では徳川家康が天下を取ったといったけど、それはこの本多正信の活躍があったからと言われている。策士、それも稀代の策士だ」
「そうなのですか?どうやらその本多正信が逃げる時に風魔が絡んできたので秀吉と組んだようです」
三雄は考えている。そんな展開ってどうなっちゃうの?
「それは手強いぞ。嫌な事をしてくると思う。身内の結束を重視したほうがいい」
「今回も岡崎城で室賀を失いました。これからも気をつけていかないとと思っています」
「室賀?やっぱりな。穴山はどうだ?」
三雄は穴山に裏切られて武田が滅んだ事を繰り返し勝頼に伝えてきました。
「穴山とは子供の頃から信頼関係を築いてきました。今は下野を任せています。穴山の娘を宇都宮国綱に嫁がせ関係を強化しています。宇都宮には正室がいましたが、穴山の娘を正室に入れ替えるほどの待遇です」
「宇都宮って信玄を匿ってたところだよな」
「はい。父上がすっかり宇都宮国綱を気に入ってしまいました。機会があれば加増も考えています」
「そういえば、なんだっけ、そう甲斐姫。甲斐姫はどうした?」
「なんで話がそこに行くのですか?仲良くやっていますよ」
「甲斐姫はこっちの世界では秀吉の妾になる。それを手に入れたのだから天下を取った様な者だよ。茶々はどうした?」
「信勝の嫁になりました。そういえば孫ができました。漢字で信翔と書きます」
「キラキラネームか?」
「何ですかそれは?ノブトと言います。織田信長の妹であるお市の娘と私の子、信勝の子ですから織田と武田、そして浅井、諏訪の血も引いています。三雄殿も諏訪の末裔なのですよね。遠い親戚になりますね」
「そう言われてもな。顔を見ることもできないし。そうだ、本多正信で思い出したのだが服部半蔵はどうしてる?」
「誰ですか、それは?」
「そうか、知らないという事は………、いやそんなはずは無い。絶対に出てくる」
「何者なのですか?」
「伊賀の忍びだ。徳川家康に仕えていてな。徳川幕府が出来てからも旗本として生き残った。こいつは本多正信とつるんでいたから、表にまだ出てきてないのなら、これから出てくるぞ」
「伊賀ですか。この間、伊賀は織田信忠と信豊で抑えました。今は織田方の丹羽長秀が治めています」
「伊賀のはずなんだけどなあ。歴史が違うからなんともだけど、そうなるとそれとは違う服部組がいるはずだ。どこかでぶつかると思っておいた方がいいぞ。それと風魔はどうした?」
「行方は知れませんが秀吉と組んでいるのは間違いありません。秀吉との戦では必ず現れると思っています」
三雄は秀吉と本多正信が何をしてくるかを考えている。しばらく考えて、
「また来月もここに来てくれ。ちょっと考える時間が欲しい」




