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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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信玄復活イベント

 勝頼が信玄の顔を見ると大きく頷きながら、拡声器を渡してきます。勝頼は拡声器を持ち、仕方ないな、と思いながら、


「武田勝頼である。いい機会だから皆に伝えようと思う。余は東北を制圧した。美濃から東は全て武田、並びに属国が支配している。既に東日本は武田家が制した。余は戦が嫌いだ。余はこの世界から戦を無くしたい。その為にはこの勝頼が日ノ本を統一しなければならない」


 勝頼はそこで一息ついて下にいる兵や民衆を見た。この中には明智や秀吉の間者も紛れ込んでいるだろう。信玄復活イベントは大々的に宣伝しているし、本当かどうか確かめに来ていて当然だ。狙撃や奇襲はできないよう見張らせてはいるが、普通に紛れ込むのを防ぐのは不可能だ。それを承知で、


「今、この日ノ本には武田の他に2つの勢力がある。1つが都を制している明智十兵衛、この男は実に不思議でなにがしたいのかわからない行動を取ってきた。武田と戦をした事もある。武田の領地に最も近く目先の敵ともいえよう。そして毛利という大国を乗っ取った木下秀吉だ。余の調べでは義理の兄であった北条氏邦を誑かし、滅亡に導いたのは秀吉だ。そこに控えている織田信忠殿の父、信長公に仕えておったのに裏切り、殺した男だ。この勝頼とは考え方が合わない。この2人が生きていては日ノ本に真の平和は訪れないのだ!」


「この木下秀吉と明智は条約を結んでいて共闘すると思われる。となれば、戦線の先頭に立つのは、この織田信忠殿だ。余は織田殿を支えていく。良いか!余は味方する者は決して見捨てない。敵する者は徹底的に叩き潰す。先日、武田家に長年尽くしてきた室賀正武が謀叛を起こしたという噂は皆も知っている事と思う。余は今でも室賀が裏切ったとは思っていない。だが、真実がはっきりしない以上裏切ったと考えるべきだ」


 この話は大衆受けするだろう。どんな時代もゴシップ的なニュースを好きなのが人間だ。


「だが、室賀の件は余に責任がある。室賀家はあの上杉謙信と戦った川中島の戦で、偉大な功績を残した家だ。その家に対して余は十分な褒賞ができていなかった。これは余の責任だと考えている。だが、それだけの事で室賀ほどの忠誠心がある漢が裏切るのか?それはいくら考えてもわからなかった。そして裏切ってどこへ行こうとしていたのか?ここが問題だ。仮に岡崎城を奪ったとして周囲はみな武田の城だ。その状態で何ができるというのだ?」


 勝頼は下を見下ろし大衆に様子を見て一息ついた。場はシーンとしている。その人混みの中に影猫を見つけた。町娘の格好をしている。影猫は誰かをマークしているようだ。勝頼はそれを気にせずに話を続ける。


「室賀が事を起こしたのは、岡崎城の主人である武藤喜兵衛が明智との戦で不在、手薄な時だった。攻める時機としては最適だ。もし、明智との戦で武田が負けたなら、美濃、尾張の治安は乱れ、三河も影響を受ける。それを狙ったとしても、だ。武田を良く知る室賀ならそれが無謀な賭けである事は分かるはずだ。この事から、この室賀の事件は仕組まれた物であると余は考えている。問題は誰が仕組んだのか、だ」


 改めて下を見ると少しザワザワし始めた。明智だ、秀吉なのか、というような声が聞こえてくる。勝頼は東北の戦が終わった後、民を味方にするにはどうしたらいいかを、三雄に聞いたことがあった。明智十兵衛を参考にしろといわれ意味がわからなかったが、十兵衛がやっている事を調べると、キリシタンから徴収した金を朝廷や民にばら撒いていた。それを三雄に言うと、


「反面教師という言葉がある。そこまで言えばお前ならわかるだろう」


 と言われた。それは見せかけの信頼だ。金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあるそうだ。勝頼が求めているのはそういう信頼ではない。


「皆の者、よおく聞け。誰が仕組んだのか?秀吉は九州の戦でこちらに目を向ける余裕はない。だからこそ明智との同盟を結び、手薄になった中国地方を攻められないようにした。武田に構ってはいられなかったと余は思う。そして明智は公家や朝廷の相手をしつつ、配下の者だけで織田信忠殿へ戦を仕掛けた。海に油を撒き散らし、武田の船の動きを封じ、戦には勝利を確信していたようだ。だが、明智の誘いに室賀が乗るだろうか?それに明智にも室賀に接触する余裕はない」


 ここでまた間を取った。下からは、明智でも秀吉でも無い?なら誰だ?というような騒めきが聞こえてくる。


「恐らくは秀吉に味方をしようとしている者が勝手に事を起こした。その男の名は本多正信、徳川家康の家臣だった男だ。この男は岡崎城で室賀を殺して武田の内部に入り込もうとしたが、余はそれを認めず追い出した。その後を尾行したが、秀吉の手の者に邪魔をされて見失ってしまった。それ以降、本多正信の行方は知れない」


 ここで一息ついてから、


「世の中には戦によって録を失った才能のある者が溢れているのであろう。その者達は再びのし上がる機会を狙っている。その様な者が敵になるのは好ましく無い。余はそういった者達を取り上げる機会を設ける。だが、敵の間者としてか入り込もうとする者もいるであろう。そこで採用には条件を設ける。一次試験としての条件は家臣三名の推薦だ。良いか!余は味方する者は支えていく。だが敵対するものには容赦しない。この中にも野心を持つ者がいるであろう。余に仕えるか、敵に回るか、よく考えて行動をしてもらいたい。秀吉は九州を制圧し中国へ戻ってくる。これからが真の戦いになるであろう。皆の活躍を期待する」


 そこまで話終わった瞬間に、駿府城では花火が上がった。空に四色の煙で武田勝頼という字が現れた。あれ、これって父上の復活イベントじゃなかったっけ?横を見ると徳がピースサインをしていました。なんだかなあ。





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