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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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面談

 勝頼は岡崎城で山県昌景と話をしている。


「山県、速かったな」


「室賀の事はそれがしにも責任があります。逍遥軒様から目をかけるよう言われていたにもかかわらずこのような事になってしまい処罰はいかようにも」


「それは問わん。余に甲斐性が無かっただけの事だ。それよりもお前を呼んだのは7日前だぞ。速すぎないか?」


「話を聞いて向かっておりました。その本多正信の事、旧徳川勢から聞いたことがあります」


 山県は一時期浜松を治めていた事があり、旧徳川勢とも親交があった。


「そうか。これからその本多正信と会うのだが一緒に会って欲しいのだ。どうもはっきりせんのでな」


「お味方にするおつもりで?」


「胡散臭い。だが、将も欲しい。室賀を失ったのは大きいんだ。その室賀の首だが、見たか?」


「はい、氷漬けになっていてまだ辛うじて表情が読み取れました。あの顔が意味するところ、お屋形様は………」


「ああ、それを確かめたくてお前を呼んだんだ、わかるな?」


 山県は大きく頷きました。




 本多正信は、岡崎城を奪った後、思うように室賀が攻めてきたので返り討ちにしました。山家三方衆のうち、菅沼をうまく洗脳し奥平を騙し討ちして仲間割れに見せかけて。武田勝頼は甘い男ではないでしょう。当然正信の事を疑ってかかってきます。どうやって武田の懐に入るか?二重三重四重の裏を潜り抜けなければならないでしょう。ですが天運は我にあります。突然この機に現れた一色の動きが絶妙でした。一色を利用できた、それがここまでうまくいった理由です。


「だがこれからが本番だ。騙せるか否か」


 本多正信は敵意がない事を示すために、室賀の首を取った後、城から出ています。そのまま居座っては怪しまれるとの判断です。そして城下町に住み口が軽そうなもの、優柔不断なものをあぶり出し、真相を知る者達を皆殺しにしました。そいつらはこの戦で死んだことになっています。結局生き残ったのは野田城と田峰城の菅沼のみです。長篠城の菅沼は挙動が怪しかったのですでに斬られています。そこには服部半蔵の活躍がありました。忍びを兵に中に潜り込ませて怪しい者を絞り出したのです。すでにこの周辺には味方兵しかいません。


 兵には固く口止めをし、何かあれば家族一族全員が死に、仏の天罰が下ると洗脳しています。死んだ兵の家族には少ないものの補償を与えて誤魔化しました。ここに正信が作った架空の物語は出来上がり、情報もそれしか流れていません。


 武田勝頼は旗本、護衛の忍びと共に井伊直虎を連れてきました。彼らには隙がなく、情報収集もしていました。正信は伊賀者を引き上げさせ、見つからないようにさせています。忍び同士は見つかりやすいのです。ここに伊賀者がいると怪しまれる可能性があります。


 井伊直虎は山家三方衆とは領地が近いため知った顔を探していました。ですが、武田寄りの者はもう皆死んでいて話を聞くことができませんでした。ですが、その事は事前に放った物見から聞いていたのでショックではありません、あくまでも状況を確認しただけです。直虎は尼さんの姿で城下町をウロウロして雰囲気を感じ取っていました。おかしなところはないか、空気を感じているのです。そしてそのまま岡崎城へ戻り何事も無かったかのように護衛に加わります。




 本多正信が勝頼に呼ばれて岡崎城へやってきました。共は2人、一向一揆の時に共に戦った者の生き残りを連れて来ています。井伊直虎は出迎えます。


「本多正信殿で?」


「いかにも。井伊直虎殿とお見受けいたします。入ってもよろしいか?」


「私を知っているとは噂通りのお方のようだ。お供の方はこちらでお待ちいただく。本多殿は付いて来てください。岡崎城はよくご存知でしょう」


「わかり申した。ですが、それがしの存じている岡崎城は燃えてしまったそうで。この城は別物でございます。城攻めの時に少し入りましたが、見事な作りでございました」


「その城を攻め取ったのだから大した者です。そのまま居座ろうとは思わなかったのですか?」


「通りがかりの者が城を持っても仕方ありますまい」


「通りがかりにしてはお見事です。室賀様は武田の将、それを易々打ち破るとは、いかにして室賀様の首を取られたのか?」


「運が良かったのでございますよ。それがしごときがそのような成果をあげるなど運としか言いようがありますまいて」



 直虎は正信の値踏みをしようとしたが、うまく躱された。直虎はこのやり取りで不安が増した。私を知っているだけで不気味なのだ。


 直虎は部屋に正信を通した後、勝頼のところへ行きました。正信の事はゼットの錠が見張っています。


「お屋形様。本多正信を連れて参りました」


「なんだ、その顔は?不安か?」


「ご判断には従いますが、ご注意を!」


 それだけ言って直虎は正信を連れて戻ってきた。戻った時はもう普通の顔をしている。正信は堂々と部屋に入り座った。


「本多正信にございまする。武田勝頼様にお目にかかれて恐悦至極にございまする」


「武田勝頼である。その方の目的はなんだ?」


 いきなり手裏剣を投げつける勝頼だった。



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