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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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武田を探れ!

 これは決戦前夜の事、信豊と喜兵衛が皆を集めて軍議を始めました。徳は信平に軍議に出るように言って隠している熱気球の方へ戻っていきます。急遽、徳様付きとなった真田幸村も一緒に。幸村は諦めじゃない、踏ん切りがついています。そしてその2人を井伊直政が尾行していきます。直政は今回の空の旅でお腹いっぱい消化できないくらいの経験をし、興奮が収まらないのです。そんな状態でじっと軍議を黙って聞いてられませんし、変な事を言えば信平に迷惑をかけることになります。そんな時に徳が幸村と一緒に場を離れたので、なんとなく付いて行ってしまいました。


 徳達が空から降りてきたのを陰から見ている者がいました。秀吉の忍び、甲賀忍者の飛龍と地龍です。秀吉の指示は武田がどんな武器を使いどんな作戦を取ったかを見る事でした。秀吉は小田原城下に甲賀の拠点を設けていて小田原城で何が起きたかを知りたかったのですが、武田にそれを感知され潰されてしまいました。武田の兵器情報に関する警戒網は厳しく、一般兵が遠目に見たことくらいしか伝わってこないのです。そして秀吉はその後現れた旧知の忍びから武田の情報を得たのです。


「しばらくだな、偉くなったものだ。木下秀吉と呼べばいいのか?」


「まーた、本当に久しいのう。今は風魔の小太郎を継いだのか。お主が付いていて北条が負けるとはのう」


「うん?おかしな事を言う。お前が氏政を欺いたのであろう?」


「まさかに。あと3年は保ってもらうつもりだった。あの上杉謙信公でも落とせなかった堅城をいとも簡単に攻め落とすとはあの勝頼、想像以上だ」


「お前の敵は勝頼、俺もあいつには返すべき借りがある。先祖代々の土地を手放してしまった。あの土地に固執する気は無いが、奪われるというのが気に入らん。どうだ、俺を雇わんか?」


「余は甲賀を使っておる。風魔とは合わないだろう。余直々の部隊として使うがいいか?」


「構わん」


「しばらくは西で仕事をしてもらう。毛利で片付けなきゃいけない事が多いのだ。東へはそれが片付いてからになるが、良いか?」


「わかった。風魔100名、相模から連れてきた者達だ。世話になる」


「よかろう。で、小太郎よ。小田原で見た事を教えてくれ」




 小太郎は武藤喜兵衛の空を飛ぶ兵器、それと飛んだ距離、変わった手投げの焙烙玉、手練れの忍びについて話しました。それは知っている情報です。空を飛ぶ兵器は秀吉も真似をして作らせています。ただ飛行距離がだいぶ違うのでそこに何か秘密がありそうです。それと小太郎は見ていませんが部下から聞いた話で、風魔の中でも対人、1対1なら一番強い漢が勝頼と1対1で戦って勝頼の不思議な剣術で敗れた話を聞いて驚きました。

 鉄砲を使ったのかと思ったのですが違うようです。剣技で勝つ?勝頼の恐ろしさを改めて感じましたが、自分が勝頼と直接刃を交わすことはないと思い直します。


 やるべき事は次、いつかはわかりませんが武田とぶつかる時に負けない事。それには敵を知る事です。勝頼は東北へ向かいました。東北へも甲賀の忍びを派遣しています。また、伊達政宗の軍にも紛れ込ませています。そして、織田と明智の争いにあの武藤喜兵衛が割混んできました。


 武藤喜兵衛、秀吉は喜兵衛と春日山城で会った事があります。お互いに若い時ですが、胸糞の悪い心底が見えない漢に感じました。小太郎によると空を飛ぶ兵器を指揮していたのは武藤喜兵衛だと言います。そして織田と明智の戦になりそうなので忍びを派遣したのです。それこそ念のために。


 ところが、武田を見張っていた忍びは皆連絡が取れなくなります。警戒が厳重なのです。通常の情報は入ってくるのに武藤喜兵衛周辺の情報が取れません。仕方なくとっておきの飛龍と地龍を派遣することにしました。そして飛龍と地龍は徳が気球から降りてくるところを目撃したのです。


「空を飛ぶ籠か。人を運ぶ物なのだろうか?」


「兄者、武田の事だ。あれは攻撃に使う物の筈だ」


「そうなると秘密を探らねば。だが、周囲は相変わらず警戒が厳しい。おっ、人が出てきたぞ」


 出てきたのは女と若侍でした。護衛が付いています。そいつらは本陣へ向かって歩いていきます。飛龍と地龍は悩みましたが目的は敵の兵器なのでそいつらを見送り、熱気球に近づいていきます。近づいてみるとそれはかなりの大きさで空を飛ぶ船にも見えました。その船の周りには見張りが立っています。見張りを飛苦無で倒し、船の中の様子を伺います。


「入ってみる。地龍は見張りを頼む」


「わかった。兄者、無理はするな」


 飛龍は空飛ぶ船の中に入りました。中では人が何か作業をしています。どうやら整備をしているようです。会話が聞こえてきます。


「徳様の事だ。何を言いだすかわからんから準備だけはしておかないと」


「だけどもう例の改改改とやらはもうないのであろう。後は戻るだけではないのか?」


「そのはずなんだが、なんせあのお方だからな」


 飛龍は中に飛び込み会話をしていた2人を襲い素早く気を失わせてから縛り上げ、猿轡をしました。そして1人を気が付かせます。尋問して秘密を聞き出そうと試みました。


「聞かれた事だけ答えよ。さすれば殺しはしない。逆らえばまず、そっちの気を失っている男を殺す。いいな」


 この2人は高天神城の開発担当者で、この熱気球製造者です。急遽熱気球を使うことになり、必然的に搭乗者にさせられました。


「名は?」


「三郎」


「どこの三郎だ?」


「駿河の者だ。お前は一体?」


「聞かれた事だけ答えろ。これは一体なんだ?どういうものだ?」


「………」


「答えないとその男を殺す。答えろ!」


 三郎は悩みます。徳様はしばらくは戻らないでしょうし、ここに賊が来たという事は見張りも殺されている筈です。他の乗務員に知らせてもこの男には敵わないでしょう。さっき自分を一瞬で倒したようにやられるだけです。


「殺せ!お前に話す事は何も無い」


 飛龍は仕方なく三郎を殺しました。こいつに聞いても無駄だと判断したのです。躊躇なく決断できる、それは優れた忍びの必須条件です。そしてもう1人の男を起こします。




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