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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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突進

 蒲生氏郷自身も槍を担ぎ走り出します。佐久間は氏郷の方へ行こうとしますが、敵兵に邪魔されて近づくことができません。


「待てい、氏郷!」


 佐久間は大声で叫びますが敵兵に囲まれてしまいます。そこに丹羽長秀が兵とともに救出に来ました。


「佐久間、引くぞ!忠三郎を追うのだ」


 熱くなっていた佐久間は丹羽長秀の顔を見て自分の仕出かした事に気づきます。作戦を無視して感情で行動してしまいました。そしてここに丹羽長秀がいるという事は、丹羽までも巻き込んでしまった事になります。


「丹羽様。俺は………、」


「佐久間、敵を蹴散らし忠三郎を仕留めるぞ!付いて参れ」


 丹羽は周囲の敵を切り倒しながらユーターンしていきます。佐久間の目を見て大丈夫だと判断したのです。自陣の方を見ると蒲生氏郷はすでに遠くを織田・武田陣営の方へ走っています。敵は散らばって進んでいますが氏郷の周りだけは兵が多くなっています。

 散らばれという指示でしたが護衛が自然と付いています。それが逆に目印になっていました。佐久間は周りの敵を倒して前を行く丹羽長秀を追いかけます。


「蒲生め、すぐに追いつくぞ」





 そんなのを相手にしていられない氏郷はその間に陣を離れ倒れた鉄盾を越えて武藤陣に向かいます。氏郷だけではありません。七千もの兵がなりふり構わず陣形を無視して槍や刀を振り回して走っています。途中まで下がっていた矢沢頼康率いる武藤隊は応戦しようとしましたが、敵は勢いよく走り抜けていきます。なんとか一部の兵を食い止めますが、自由に横に広がり通り抜けるのを優先とされると、一人と斬り合っている間に2人、3人と逃してしまうのです。応戦する矢沢の30m横を蒲生氏郷が走り抜けて行きました。矢沢は、それを見て見ぬふりをします。


「1人1人確実に仕留めよ!」


 矢沢は部下に指示を出しました。予定より多くの兵を通してしまっています。丹羽長秀がいないので、防ぎきれないのです。ですが、やれる事をやる、今ある最善を尽くす。それが父である矢沢頼綱の教えでした。頼綱は真田幸綱の弟です。最善を尽くせば結果は付いてくるし戦っているのは自分だけではないのです。後ろには従兄弟の武藤喜兵衛がいます。矢沢は目の前の敵だけを確実に倒し、他は通して行きます。武藤喜兵衛を信じて。




 氏郷達は走ります。正面に六文銭の旗印が見えてきました。魚鱗の陣を敷き鉄砲隊が待ち構えています。


「散らばれ!」


 氏郷の合図で各々が勝手に横へと広がっていきます。それは自然と変形の鶴翼の陣へと変わっていきます。ただし、間がガラガラです。一度広がった翼が六文銭の旗印の中央を目指して囲むように閉じながら縮んでいきます。


「撃てー!」


 源三郎の声とともに鉄砲が撃たれますが、敵に当たりません。元々命中精度がない火縄銃です。敵の密度が高ければ誰かしかに当たるのですが、敵がスカスカなうえに、未熟な兵が鉄砲を撃っています。昨日の夜襲で熟練の鉄砲撃ちは殺されてしまっています。


 それを見た蒲生軍は氏郷の言う通りになったと活気付き、大声を上げながら武藤陣営に切り込んでいきます。蒲生氏郷は少し離れた位置にいましたが先を行く兵に続こうとしていました。


「武藤喜兵衛、どこだー!」


 敵兵が叫びながら押し寄せてきました。すると、突然端側を走っていた兵がゴロゴロと転び始めます。遠目には見えませんが地面には足が入る大きさの深さ20cmほどの穴が多数空いていました。その穴は正面には無く鶴翼の翼の両側に集中していました。その転んだ兵めがけて矢が放たれます。左側は特殊部隊ゼットのチーム丙と訓練生、右側はチーム丁と訓練生が練習を兼ねて矢を射っています。普通の弓矢、ボーガン、各々が得意な武器で敵を倒していきます。ただ、影猫の姿はここにはありません。


 そして正面には武藤喜兵衛率いる尾張、三河の兵が敵が来るのを待っていました。思っていたより向かってきている兵が多いので喜兵衛は作戦を切り替えます。


「これはいかん。拡散波動矢を使うか?いや、あれは!よし、予備隊前へ。皆の者、作戦変更だ。パターンBで行くぞ!」


 それを聞いた兵達は急いで配置換えをします。鉄砲隊は素早く一射した後下がっていき、手筒隊が現れました。手筒は上を向いていません。なぜか敵兵正面を向いています。並んだ手筒は50もありました。それが敵に狙いを定めています。


「撃てー!」


 再び源三郎の声と共に手筒から弾が飛び出しました。これは大型の散弾発射器です。特殊部隊ゼットのチーム丙と丁の面々が砲撃隊とともに散弾をぶちかましました。


 鉄砲隊はわざと素人にやらせました。昨夜多数の鉄砲隊が殺され、敵はこの陣営の鉄砲が弱いと思い込んでいます。そこに実際、大したことのない鉄砲隊がいれば油断して突っ込んでくるでしょう。それを狙ったのです。


 この散弾は広いエリアに弾をばら撒きます。喜兵衛は蒲生の作戦を読んでいました。ただ、散らばってくる敵にこちらも散らばってしまうと本陣が弱くなります。本陣に護衛を割くと数の優位がなくなります。敵に自由に攻撃されるのは不利です。敵の攻撃方向を絞る為の落とし穴、出鼻を挫くための散弾でした。散らばって攻めてくる敵には弾を散らばせばいいのです。ただし散弾は致命傷にはなりません。敵に怪我をさせる程度の攻撃力しかありませんが、勢いが衰えます。そのタイミングで武藤喜兵衛は兵を戦場へ出しました。


「かかれー!」





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