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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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自爆

 魔神一号機は自爆しました。それにより運悪く?魔神一号機の近くにいた丹波、丹後の主だった武将は命を落としました。例のごとく、箱の中には火薬と一緒に尖った鉄くずが入っていて高速で手裏剣のごとく周囲に飛び散り、爆風とともに兵を死傷させていきます。


 何が起きたのかわからない兵達はここにいては危ないと逃げ出します。誰かが逃げ出すと、それを見た者は自分も逃げないとという気持ちになり、それが連鎖し、そこにいた動ける兵全員が走って後方へ下がっていきます。気がつくと死傷者のみが取り残されていました。


 蒲生氏郷は前方からパニックになって逃げてくる兵を見て、さっきの爆発音で何が起きたのかを知りたく、兵を捕まえて事情を聞くように配下に命令しました。ところが、


「おい、何があったのだ?」


 と聞くと、


「箱が吹っ飛んでみんな死んでしまった。幽霊の仕業だ。ここにいたら死んでしまう。逃げさせてくれ!」


 と、訳がわからないことを言うだけで震えていてそこから逃げようとする者ばかりです。誰に聞いても幽霊が爆発したとしか言いません。仕方なく、逃げまどう兵士を囲んで逃げられないようにし、物見を出すことにしました。明智左馬助が来たときに兵が少なくなっていてはまずいのです。数の優位が減ってしまいます。


「ええい、何をしたのだ、武藤喜兵衛!」


 物見が戻ってきて見たままを報告します。物見はその手に尖った鉄のような物を持っていました。


「何かが爆発してこの鉄くずをばら撒いたようです。爆発した周辺の死体は手足がちぎれており爆発で死んだと思われます。離れたところにある死体はこの鉄くずが刺さっていました。それと怪我をして動けなくなった者もいたようですが、逃げる兵に踏まれて死んでいました」


「味方を踏んで逃げたというのか!愚かな。それで幽霊の正体はわかったのか?」


「わかりません。爆発したものがなんなのかも。車輪のようなものが落ちてはいましたがそれが幽霊なのかどうか」


 その時、逃げた兵の中で話が出来そうな者がいると言うので会ってみることにしました。


「何があったのだ。事細かく話してほしい」


 氏郷自らが出向いて尋問します。兵は緊張しながらも、


「私は波多野秀治様が家臣、鈴木政信と申します。我らは自陣を襲って逃げていった敵を追いかけました。敵は織田陣の中へと戻っていったのですが突然地面が爆発して兵が倒れました。波多野様が一度体勢を立て直そうとしていたところ甲賀の衆が現れたのです」


「それで?幽霊というのはなんだ?」


 兵は幽霊という言葉を聞いて青ざめていきます。そして黙ってしまいました。氏郷はしまったと思いながらも、


「そんなに怖かったのか。すまぬ、見た事をそのまま話してくれぬか?」


 と優しく話しかけ、相手が回復するのを待ちます。しばらくして鈴木は落ち着いたのか、再び話し始めます。


「敵が逃げた方向から荷車が現れました。その荷車は不思議な事に誰もいないのにこちらへ向かって進んでくるのです」


「誰もいないのにか。後ろに誰かが隠れていて押していたのではないのか?」


「違います。その荷車は我らの近くまで来て突然止まりました。甲賀衆が近づいて色々と調べ始めたのですがわからず、荷車に積んであった箱を開けようとした時に突然爆発が起きました。私は離れたところにいたので助かりましたが、荷車の近くにいた者は生きてはいないと思います」


「そうか、よく話してくれた。休むがよい」


 氏郷は鈴木から離れ考え始めます。


「さっきから考えてばかりだ。これではいかん。いかんが困った」


 と、そこに新たな報告が入ってきました。


「申し上げます。敵が進んできております。丹羽長秀、武藤喜兵衛の軍と思われます」


「ここで仕掛けるか!迎え討て!」


 蒲生軍で戦えるのは約五千です。後は怯えていて使い物になりません。氏郷は持ち堪えていれば今に左馬助が来る、そうすれば勝てると兵を奮起させます。結局幽霊の正体はわかりませんでした。ただ、その爆発というのが気になります。ですが、今はそれどころではありません。




 蒲生軍に仕掛けたのはさっきまで逃げていた丹羽長秀の隊千名に源三郎率いる三千名です。矢沢頼康が三河、遠江の兵を連れて源三郎隊に入りました。後詰めに武藤喜兵衛率いる駿河、尾張の兵三千、その後ろに織田信忠隊千名が続いています。武田信豊はさっきまで魔神一号機を操縦する魔神組の後ろで見ていたのですが、喜兵衛に怒られて本陣まで下がりました。そこにはさっきまで活躍していた砲撃部隊が休んでいました。信豊は、良いものみーつけたとばかりに、


「お前達、大儀であった。ついでにもう一働きしようぜ!」


 皆、キョトンとしています。そこに魔神組が大きな操作盤をハアハア言いながら運んできました。


「いやあ、疲れた。でも上手くいったわね」


 リーダーのあいが砲撃隊を見てホッとしたのか明るく話しています。砲撃隊も魔神組も喜兵衛に鍛えられた仲間達です。信豊は、


「おう、さっきの連中じゃん。それ面白そうだな。どうなってんだ、それ?」


 あいは、信豊を見るのは初めてでした。ですがもしかして、この人?と、


「信豊様でいらっしゃいますか?」


「いかにも。余が武田信豊である。ちょっとそれ触っていいか?」


「殿から信豊様には触らせないように言われております」


「なんで?おかしいでしょ!」


「それと殿の指示なしでは、砲撃隊も触ったらダメです。信豊様が大砲を撃ちたがるだろうから見張るように言われております」


「喜兵衛め、俺をなんだと思っているんだ。徳ちゃんにはあんななのに。まあ今回は諦めよう、大将だしな。次は撃つ!で、そのさっき爆発したやつ、今度俺にもやらせてくれ。そうだ、そなた達、名はなんという?」


「よくぞ聞いてくれました。魔神組一番、あい」


「魔神組二番、ひなた」


「魔神組三番、りか」


「魔神組四番、みれい」


「魔神組五番、りこ」


『5人揃って、魔神ゴー!』


 またまたおかしなポーズをとる5人に信豊は拍手して喜んでいます。信豊のツボにはまったようです。さて、後ろでそんな事が起きているとは思ってもいない武藤喜兵衛は前方で始まった戦に集中しています。







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