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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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徳の作戦

 徳は海上で海を眺めています。松坂はすぐそこのように見えますが実際の距離は相当離れています。海の火は消えました。ですが、海はかなり汚れていてなんか気持ち悪く見えます。まだところどころ煙が上がっていますし、ここを進む気が起きません。それにこのまま近づいても海上からの砲撃では牛歩で進んでくる明智軍を攻撃できません。まだ敵が松坂城に来るには時間がかかりそうです。敵の本当の狙いは滝川でなく織田信忠なのですから。


 武田海軍に船で輸送した上陸予定の兵はすでに志摩から上陸しているはずです。ここには大した陸兵は残ったはいないのです。ですので陸に近づく理由がありません。徳は横に信平がいるのを見てから呟きます。


「さてさて。ぼちぼちこっちに向かっている頃だわさ。あたいの出番は最後になるかな?」


 それだけ言って船の中にある徳の部屋に戻って行きました。信平はそれを横で聞いていて直政の顔を見ます。井伊直政は武田信平に付き添って戦艦駿河マークIIに乗っています。母親のような井伊直虎からは、武田に従い井伊の家を守るようにきつく言われていて、それを忠実に守っています。小田原の戦ではなんとか活躍する事が出来ました。その成果なのか、遠江の田舎侍が武田家の次男のお付きになっています。


 直政は上昇志向が強く目立ちたがりです。自分より偉い人にも遠慮せずに意見を言います。


 ただ、信平は関東に養子に行くそうなのでこれが井伊にとっていいのか悪いのかはわかりません。ただ、断る事が出来ない以上、邁進するしかありません。直政は脳みその構造がスマートなのか機転が利き人とは違う発想をする事がおおいのですが、ここは吹いた風に乗るしかありません。これも運命というやつなのでしょう。


 その頭のいい直政ですが、昨夜信平から相談を受けていました。


「徳様のお考えが全く想像ができん。この海上から山を燃やすとか言うだ。直政はどう思う?」


 直政は小田原で武藤喜兵衛が特殊部隊ゼットを使って空から小田原城を攻撃するのを見ています。その事を信平に伝えると、


「うむ、確かに空からなら山を燃やせよう。だがどうやって空まで行くのだ?ここは海だぞ、しかも陸まで半里は離れている」


「徳様は小田原で遠い海からポケットなるものを使い城まで甲斐紫電を飛ばしたそうです」


「ポケット?それを言うならロケットであろう。それは高天神城で見せてもらった。だが、使い捨てで金がかかり過ぎるからあれは封印すると徳様が言っておったぞ」


「ならば、それに変わる新兵器があると存ずる」


「だからそれが何かと聞いておるのだ」


「わかりませぬ。殿、自分がわからないからといってそれがしにあたるのはやめていただきたい!」


「なんだと、わからぬのに偉そうにするな!」


「それは殿の事でござる」


「ええい、だれか!誰か居らぬか?」


 竹中半兵衛が若い者は煩いなあと思っていたら誰かと呼ばれたので仕方なく、かつ冷静に


「信平様、どうされましたか?」


「竹中殿。このたわけがだな、そうだ!竹中半兵衛殿ならわかるであろう。徳様の新兵器だ。ここから山を燃やすとかいっておった。それは一体どういうものなのだ?」


「企業ひ、ではありませんな。この場合は徳徳秘密でございますのでご勘弁を」


 徳徳秘密。そういう風に言われたらそれ以上聞いてはいけないのが武田家のルールだ。この言葉を使えるのは徳に関わっている者達のみ。滅多に使われる事がないこの、徳徳秘密。これは物凄く重要な機密事項という事です。


 それを聞いて二人とも黙ってしまいました。竹中半兵衛は、


「お二人とも仲が宜しいのは結構ですが、お互いの立場を考えて発言されたらいかがですかな?」


 それを聞いた信平は心外とばかりに、


「竹中殿。私は決して直政と仲がいいわけではない。勘違いをするな」


 それを聞いた直政は顔を真っ赤にして、


「殿、いいえ信平様。それではお役御免という事で宜しいか。この戦が終わり次第、遠江へ引き上げまする」


「ま、待て。そうだ、わかったぞ。徳様のお考えが!」


「殿。本当ですか?」


「おい、殿に戻ったぞ。そうだ、俺にはわかった。高天神城で見たあれだ、あれを使う気なんだ」


「あれとはなんですか?」


「すまん、直政。徳徳秘密だ」


「はああああ、やっぱり遠江に帰らせていただきます!」




 という事が昨晩あって、直政は結局それが何か教えてもらえなかった。竹中半兵衛の様子から、信平の考えは当たっているようだった。


「殿、殿の推論は当たってそうですか?」


「ああ。ただわからない事があってな。あれに誰が乗るのだろうか?今回錠は父上のところへ行っているし、一体誰が?」


 直政は信平の事が気に入っています。年下の上司、しかも経営者の息子という一般企業なら最悪とも言えるパターンですが、好きな事を言っても大丈夫なのです。昨夜の言い合いも別に心底から喧嘩しているわけではありません。一種の痴話喧嘩のようなものです。


 ただ直政が面白くないのは自分だけ徳の作戦を知らない事です。乗る?何に?どこから?考えて考えて答えが出ました。ですが、徳徳秘密なので言葉に出す事が出来ません。直政は信平にわかったけど言えないと逆に喧嘩を売ります。


「本当にわかったのか?」


「わかりました。殿がわからない誰が乗るかもわかりました」


「何だと!誰だ?」


「もうじきわかりますよ、ね、半兵衛様」


 後ろで竹中半兵衛が笑っています。そうなのです。もうすぐ時が来ます。膠着状態が崩れた時、それはきっと現れる事でしょう。






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