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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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なんてこったい、泳げやさっさ

 織田、武田連合軍は長良川を渡り桑名を進んでいます。相変わらず武藤喜兵衛は行方不明です。源三郎は気が気ではありません。


「おお、いたいた。頼康、父上はどこだ?」


 源三郎が見つけたのは真田家の親戚筋にあたる矢沢頼康です。矢沢頼康は今回は武藤隊として参戦しています。


「殿はどっかへ消えました。また何か企んでるのでしょう。それがしは自分の任務を全うするのみ、源三郎様もそうするのがよろしいかと」


「またわしは除け者か!その面白そうなところへはいつも同行させてもらえん」


「源三郎様には源三郎のお役目があるのですよ。殿は源三郎様、源二郎様どちらも平等に見ておられます。その上で跡取りを源三郎様に決めておられる。跡取りとして、武藤家を継ぐ者としての振る舞いをお願いいたします」


「わかっておる。わかってはおるのだが」


「昨日スッキリしたのではないですか?」


「な、何故それを知っている?」


 源三郎は昨夜の夜這いの事を言われて顔が真っ赤になります。


「失礼ながら陰ながら護衛の者をつけさせていただきました」


「佐助?」


 頼康は頷いて、兜を正してから


「源三郎様に何かあってはこの頼康の、矢沢の恥になります。それ故の事。同じように信豊様、織田様に何かあっては武藤家の恥になります。殿の行方を探すよりご自分のお役目をお勤め願います」


「わかった。わかったけど、どこまで見てたんだ佐助め」


 佐助とは上杉の忍び、甚内の子で真田の庄で育った生粋の忍びです。頼康の父、矢沢頼綱が育てていましたが存在が知られた今、真田家で事がある度に現れます。最初は真田本家である真田信綱の管轄になっていましたが、活躍の場が武藤喜兵衛の周囲で多いために、最近は喜兵衛の指示で動いています。佐助ともう一人、与助という忍びがいて二人とも甚内以上の実力があります。頼康は喜兵衛に二人を紹介し、武藤家の主だった者には面通しをさせました。源三郎も源二郎も存在は知っていますし、使った事もあります。


 源三郎は見張られていた事を知らなかったので、ブツブツ言いながら自分の位置に戻ろうとしました。ふと予感がして長良川が気になり見に行くと、渡ってきた橋が燃やされていました。


「退路を断たれたか!」


 源三郎はその事を猛ダッシュで信豊に伝えます。横にいた信忠は焦りますが信豊は想定内という顔をしています。信豊はニヤッと笑って


「源三郎、そう焦るな。これでいいんだ」






「申し上げます。甲賀の手配で計画通り長良川の橋を燃やす事に成功しました。これで織田軍は逃げ帰る事が出来ません」


「あい、わかった。監視の目を緩めるな!」


 大矢知の本陣で報告を受けた蒲生氏郷はここまでは上手くいったと考え、次の指示を出します。まずは織田信忠を土俵に引きづり出すことには成功しました。次に信忠を逃がさないためには退路を塞ぐ事です。長良川は橋無しで渡るのは困難です。信忠が渡ってから橋を落とす作戦を考え、甲賀を使って実行しました。それが上手くいったので後は攻撃するだけです。そして攻撃を開始した後の二の矢、三の矢が勝利へのポイントになります。


「ここで織田にとどめを刺す。中途半端ではいかんのだ」


 蒲生軍は富田に1万の兵を配置して魚鱗の陣を敷いて待ち構えます。ここを通らなければ松阪へは行けません。山を通る事も出来ますが現実的ではありません。織田軍先鋒の佐々成政は海沿いを進み、員弁川の手前まで来て軍を止めました。物見の報告で敵が待ち構えている事を知ったのです。不思議と今まで遊撃戦は起きず、ここまでは何事もなく進んで来れました。


 員弁川はほとんど干上がっていて水が少ししかありません。待っていると後ろからどんどん味方兵が進んできます。丹羽長秀が追いついてきました。


「丹羽様、ここまで敵の攻撃が一切ありません。突っ走ったそれがしを攻める事も出来ただろうに」


「これではっきりした。忠三郎はお主などどうでもいいのだろう。狙いは殿のお命のみ、そう怒るな。戦はこれからだ」


 成政はムッとしていましたが、


「ここからどうしますか?この先の朝明川を越えて半里のところに敵兵が陣を敷いております。まるで我らが朝明川を越えて陣を敷くのを待っているような位置にです」


「罠か?」


 丹羽長秀には蒲生氏郷の考えが読めませんでした。今まで攻撃してこなかった、我らが陣を敷く場所が開けてある?正々堂々と戦おうをとでもいうのでしょうか?


 朝明川も水が干上がっていました。このまま進んで陣を敷くこともできそうではあります。本隊到着を待つつもりでしたが、織田、武田本隊は員弁川手前で止まってしまいました。佐々成政は、


「ここからの作戦はどうなっておる、源三郎を呼べ!」


 と叫び朝明川の手前で待っています。丹羽長秀は少し下がり朝明川と員弁川の中間で信忠を待つことにしました。なんで本隊がすぐに川を渡ってこないのかわかりませんが今は待つしかなさそうです。ところがいつまで待っても本隊に動きがなく、伝令もきません。こちらから出向くしかないと本隊まで行こうと員弁川に近づくと何やら音が聞こえてきます。聞いたことのない音です。それが段々と大きくなっていき気がつくと員弁川に水が流れ始めます。


「こ、これは。全兵、川から離れろ!」


 丹羽長秀の指示で兵が一斉に員弁川から離れました。


 朝明川でも同じ事が怒っていました。佐々成政は川のすぐ横で敵の方を見ています。動きがあればすぐに動けるようにです。そこに音がしてきます。


「なんだ?うわああああああああ!」


 上流から鉄砲水が佐々成政を襲いました。佐々成政はそのまま海の方まで流されていきます。


「ぐ、グォ。なんのこれしき、泳げやさっさ。泳げやさっさ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話のテンポがいいね。 [気になる点] 更新頻度はあるけど、もうすこし1話の量も長いといいね。 でもお疲れ様です。 [一言] 成政、走って、泳いで、チャリがあれば‥ 頑張れ!
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