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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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作戦会議

 伊勢沖へ向かって進む戦艦駿河マークII。すでに監視体制はマックスです。徳達がピリピリしながら伊勢沖に到着すると黒い水こと油が海に浮いているのが見えます。


「こりゃ近づけないだわさ。それに死を恐れない宗教がらみの兵に自爆覚悟で突っ込んで来られたらたまったもんじゃないし、バックバック」


 徳は船を下がらせます。他の船は後方で待機させて戦艦駿河マークIIだけ先行させていました。徳としては一応自分の目で状況を確認したかったのです。かなり後退したところで船を停止させました。ここからなら近づいてくる船を砲撃できます。


 幼き頃、勝頼とスマホの話をした事があります。遠くの情報がリアルタイムで入ってくるという夢のような話です。その時徳は勝頼に、


「人の情報を鵜呑みにしそうで。何が正しくて正しくないか、自分の目で見るのが確実だわさ。道を歩けば花が咲き季節が変わる。そういうのを肌で感じなくなったらつまらない」


 と言って勝頼を驚かせました。現代でもSNSの嘘情報に踊らされる日本人が多い中で、徳は情報の正確さに疑問を持ったのです。今回も善左衛門の話を聞いてもちろん信じてはいます。信用も信頼もしていますが、話だけではどこに見落としがあるかわかりません。そしてその見落としが勝敗に影響する事があるのが戦です。


 明智十兵衛の策は見事でした。武田海軍の力が全くといっていいほど発揮できません。しかし、これは教科書に載っていた環境破壊そのものです。もちろんこの時代にはそんな言葉はありませんが、海に住む生き物をどう思っているのか?許すことはできません。


「科学の進歩は環境破壊に繋がるということなのね。少し考え方を変えなきゃだわさ」


 徳がそんな事を考えながら海を見ていると母艦と多数の輸送船が戦艦駿河マークIIの後ろを通過していきました。信豊、信忠の別働隊で兵を多数載せていて志摩から上陸する予定です。たまたま喜兵衛のところに来ていた駿河の菅原隆則が船に強制的に乗らされ指揮官を務めています。菅原は勝頼の信頼が厚い軍師です。武藤喜兵衛はどっちに行くか迷っていたところに菅原が現れ、飛んで火に入る夏の虫状態でした。菅原は高天神城も勝頼に言われて勉強のために訪れた事もあり、元興津兵がいる海軍とは顔見知りも多く適任でした。


 陸には武藤喜兵衛、志摩へは菅原隆則、そしてこの戦艦駿河マークIIには竹中半兵衛が乗っています。勝頼新時代の軍師3人がこの戦に揃っていました。


 伊勢沖、志摩へ行く護衛の船も遠距離砲撃ができるよう配備されています。特攻自爆をできなくするには遠距離攻撃あるのみです。監視を怠らず近づいてきた船は砲撃して沈める作戦です。それ故に黒い水こと油からは離れていないとお釣りをもらってしまいます。


「この戦、長引きそうね」


 徳が海を見ながら呟きます。それを信平は後ろから見つめています。その信平を井伊直政が見つめています。信平はすっかり井伊直政が気に入ってしまいました。直政も覚悟したようです。海には敵船の姿はありません。





 ここは清洲城です。武田信豊の城ですが織田信忠が痺れを切らし出陣しようとしています。そこに急遽信豊も戻ってきて加わりました。武藤喜兵衛、源三郎信之もここにいます。真田昌輝は居残りで連絡役兼他地域の監視です。留守中に美濃や尾張に仕掛けてくるかもしれません。急遽駿河、遠江からも兵を集めています。武藤喜兵衛は物見の報告を皆へ伝えます。


「この先日野城から出た兵1万が海沿いの街道に陣取っています。1万と兵がすくないのは罠で、途中の山中に多数兵が潜んでおり我らが出陣し仕掛ければ山間を突いて背後を突いてくると思われます」


 信忠は、


「十兵衛め、胸糞悪い作戦をとる。このまま海沿いを進んで蹴散らしてしまいたいが。丹羽、なんとかならんのか?」


「地の利が向こうにある以上難しいですな」


「だが滝川を見捨てる事は出来ん。負けても余はいくぞ」


 喜兵衛は信豊を見ます。信豊はうなづいていました。大将たる者そうあるべきです。とはいえ負けてしまってはまずいので軍議を開かせます。喜兵衛は、


「織田様。お心構え、この武藤喜兵衛感服いたしました。ですが丹羽殿のいう通り敵は地形を熟知しております。その中に策もなく飛び込んでいくのは勇敢ではなく無謀です。ここは軍議を開き策を講じてから進むべきと考えます」


 それを聞いた佐々成政はすぐさま乗っかります。佐々成政は武田贔屓です。


「武藤殿のいう通りでござる。殿のお言葉、滝川殿が聞いたらどれだけ喜ぶか。何としても滝川殿をお助けせねば。で、武藤殿。策はあるのか?」


「信豊様の兵が海から上陸します。ただ、敵が油を使って海上封鎖をしており志摩まで行かねば上陸できません。滝川殿のところまでは10日はかかるかと、邪魔が入らねばですが。伊勢沖には徳様が布陣しておられます。黙って待機しているお方ではありませんので我らが不利になれば何かしてくるはずです。問題はこの軍です。敵は蒲生氏郷、あの織田信長公が将来を見込み婿としたほどの難敵です」


 丹羽長秀が思い出したように怒り出します。


「忠三郎めが、十兵衛の下につくとは。冬姫様を貰っておきながら許すわけにはいかん」


 蒲生氏郷の正室は織田信長の次女、信忠の妹にあたります。武藤喜兵衛は話を続けます。


「我らが足止めされている間に明智の本体は伊勢松阪城へ向かって進んでいる様子。ただ進軍は遅く城を一つ一つ落としているとの報告です」


 信忠が怒り出します。


「我らが手が出ないと思って舐めた作戦を!明智十兵衛め、八つ裂きにしてくれる!」


「まあまあ落ち着いて。喜兵衛、それでどうする?蒲生を寝返りさせるのが得策ではないのか?」


 信豊が信忠をなだめつつ喜兵衛の本心を聞こうとジャブを打ちます。佐々成政は単純にその手があったかと頷いていますがそんなにうまく行くわけがありません。




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