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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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黒川城

 勝頼は関東から東北の情報を結城から聞きながら黒川城へ向かっています。結城の情報は信玄から聞いた話とほぼ同じでした。伊達、最上、蘆名、佐竹、そして上杉の勢力争いが絶えず続いています。北条がいなくなり武田が出て来た事で、武田、上杉、佐竹が手を結んだ事になり、伊達は焦っているようです。木下秀吉、北条氏政と組み東北を制圧する予定が完全に狂いました。北条がこんなに呆気なく滅ぶとは考えていなかったのです。


 北条と武田が争っている間に、伊達は相馬、岩城を攻め常陸に入りました。佐竹は小田原へ行っていて手薄の隙を突いたのです。ところが佐竹は武田の山県昌景を連れてあっという間に戻ってきました。その後、関東の国衆や武田の応援もあり、結局岩城を放棄して相馬まで引き上げています。


 そして伊達政宗の弟、小次郎の別働隊が黒川城を占拠しています。勝頼は総勢一万に膨れ上がった軍勢を連れて黒川城へと向かっています。白河に着く頃には内藤、宇都宮、小山、成田から兵が送られて来て大軍となっています。そして伊勢氏邦と名を改めた元北条家の男も500の手勢とともにやってきました。


 勝頼は黒川城の近くに陣を敷きました。そして、黒川城へ使者を出します。山上道玖を使いました。


「武田勝頼様の使者として参った、山上道及と申す。伊達小次郎殿にお目通りさせていただきたい!」


 天に響くような大声で黒川城の城門の前で言い放ちます。すぐに門が開けられて道及は城へ入って行きました。




 本多忠勝と信勝が話をしています。


「信勝様、あの道及めがどんな話をしてくるとお思いか?」


「そうだなあ、父上の事だから城を明け渡さないと攻め落とすぞ、なんて直球は投げないよな?」


「直球とはなんでござる?」


「この場合、正攻法の事だ。徳様に教えていただいた」


「そうでござるか。武藤様も徳様には頭が上がらないそうです。聞いたところによると日の本一の物知りだそうで。で、どう考える?次のお屋形様候補は?」


「なんか意地の悪い言い方だな、忠勝殿。それがしが思うに味方になるよう説得しに行ったのではないかと思う」


「ほう、それは面白い。ところでわしと道及、どっちが強いと思われますか?」


「忠勝殿は父上のように伊勢守殿に剣を教わったと聞いておる。忠勝殿の方が強いのではないか?」


「よくぞ仰った。この忠勝、信勝様が次の当主になられた際は真骨込めてお仕えいたす所存」


「いや、その、あのだな、忠勝殿。そういう事ではなくてだな」


 信勝は話が変な方向に行って困っています。弟の信平が今、忠勝が欲しいと武藤喜兵衛に嘆願に行っているのですが、当の忠勝はそれを知りません。勝手に盛り上がっています。


 山上道及が戻ってきました。本多忠勝も信勝も脇に控えて報告を聞きます。


「道及、どうであった?」


「脈ありでござる。ただ一両日いただきたいとのことでありました」


 即答出来るわけがない。上出来だろう。と、そこに信勝が、


「父上、説明していただけませんか?話が見えませぬ」


「さっき忠勝と話していただろう。信勝の言った事をやっただけだ」


「して、条件は?春姐ではありませんか?」


 横で聞いていたお市が驚く。そして勝頼も驚いた。そこまで読んでいたか、信勝もなかなかやる。どこまでわかっているか聞いてみるか。


「信勝。どこまで考えた?全部話してみろ!」


「はい。伊達小次郎は嫡男ではありません。つまり伊達家は継げません。そのため蘆名を継ごうとしています。ですが、それだけの野心があるのかどうかです。あるのなら、伊達家を食おうと考えるのではないでしょうか?ないのならもっと強い者に依存したい、父上のような存在に」


「素直に伊達家のために蘆名を継ぐとは考えないのか?その方が普通だと思うが」


「小次郎殿は父上を待っていたのではないでしょうか?本隊が引き上げたのにここに残っていても」


「うむ。惜しいな、余の考えに近いが小次郎がここに残ったのは余を待っていたからではない。動けなかったのだ」


 勝頼は先行していたゼットの面々から情報を得ている。小次郎は母、義姫をここに連れて来ている。義姫は最上義光の妹で、政宗よりも小次郎を可愛がっていて本当なら小次郎に伊達家を継がせたかった。ところが、伊達輝宗が早々に政宗に家督を譲ってしまった。義姫は小次郎にもいい思いをさせたいと暗躍していて、蘆名を継がせいずれは伊達、最上を食ってやろうと考えていたのです。まだ小次郎は16歳、母に振り回されている状態です。


 今回黒川城を占領した時に、義姫が拠点はここだとしたのです。小次郎は一時撤退も考えたのですが、母の想いが強く結局動けませんでした。


「こういう事だ。だが、お前が言った2つのうちどっちなのかはわからん。母上共々会って見ないとな」


「父上は春姐を最初から伊達小次郎にとお考えだったのでしょうか?」


「それは違う。だが、物事にはタイミン、じゃない機会というものがある。機を逃せば勝利は逃げる。ここで伊達小次郎が武田家の一員になれば東北は容易くなる」


 最初は伊達政宗に春を嫁がせようと考えていました。ですが、状況は変わっています。先に会うつもりだったのは政宗でしたが、これも運命なのでしょうか?勝頼は続けます。


「信勝、だがな、まずは小次郎に会ってからだ。変な奴だったら春はやらん」


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