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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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後始末

「三郎兵衞、お屋形様のあの動きはなんなのだ?」


「美濃殿、あれはおそらく上泉伊勢守殿の教え。お見事であられた」


 勝頼は風魔の手裏剣をかわした。そのあと手裏剣がくるくる回って勝頼の背中を襲ったのだ。それを刀で弾いた。


「まるで背中に目があるようであった」


「気配。お屋形様には何かが感じられたのであろう」


 そしてバク転して逃げた風魔の身体をすり抜けるように素早く斬り捨てた。


「あんなに速く動けるのか。しかも風のように風魔の身体をすり抜けたぞ。しかも斬りおった」


「幼き頃から身体を鍛えられておった。その成果であろう」


「勝陰流とか呟いておられた。あれは何だ?」


「伊勢守殿の剣は陰流という。勝頼様が陰流を進化させたのだから勝陰流だ」


「三郎兵衞、なんかお主と話しているとつまらんな」


「何を言うか。お屋形様が凄いという事だ」


「それにあの爆撃とかいう攻撃だ。お主ならどう防ぐ?」


「空からの攻撃など考えたこともない。だが空中では素早く動けない、身を隠すところもない。やりようはいくらでもある。そうだよな、武藤殿」


 ちょうど箱根の後始末を終えて武藤喜兵衛、小山田信茂が合流してきました。


「山県様、いきなりなんでございますか?紹介させていただきます。愚息、源二郎信繁です」


 源二郎は膝をつき頭を下げて挨拶した。山県は、


「大きくなられた。初陣か?」


「はい。このような大戦が初陣という好機に恵まれありがたく思っております」


「うむ。源二郎殿も話に加わると良い。お屋形様から箱根の戦について話を聞くよう申しつかっておるのだ。詳しく聞かせてくれ」




「なんと、そっちにも風魔の小太郎が!」


 馬場が叫ぶと武藤喜兵衛が、


「それがしの配下を殺し逃走いたしました。配下もかなりの手練れだったのですがさすがは風魔の頭領」


 それを聞いていた源二郎が、


「申し上げます。それがしも風魔の小太郎と戦いました」


「!!!?」



 つまり風魔の小太郎と名乗る者は複数人いて皆が手練れであるということです。そしてこの戦場から離れ、どこかへ去っていったと。北条を見限ったということになります。


「氏直は、本物の氏直はどうなったのですか?」


 喜兵衛の問いに馬場が答えます。


「それがわからん。氏規に聞いても風魔と入れ替わったという事自体を信じようとせん」


「恐らくは風魔に殺されて、というところですか。そうなると風魔の目的がわからなくなります。箱根では小田原城への攻撃を防ごうとしておりました。北条の配下というように思えました」


 それなのに氏直に化けて氏政を殺し、勝頼をも手にかけようとしました。氏政の首は勝頼に近づくための道具だったのでしょう。風魔が何をしたかったのかがどんどんわからなくなっていきます。


「喜兵衛、お屋形様は秀吉と風魔の関係を疑っておった。それを調べられるか?」


 山県に言われた武藤喜兵衛は、


「承知つかまつりました。そういえば二の丸を燃やしたのは錠だとか。どこにいます?」


 武藤喜兵衛はずっと山にいたので詳細がわかっていません。情報を得たいのです。どうやって海から飛んだのかとか。


「あの者たちは東北へ向かった。伊達政宗を調べるそうだ」


「そうですか、徳様は?」


「船で駿河へ戻られた。なんか急いで甲斐に行きたいそうだ。新しい女がどうとか。それよりも武藤殿。すまんが急ぎ尾張へ戻ってくれぬか?明智十兵衛の動きを見張るようにお屋形様から指示が出ている。我らはここの対応が済めば東北へ向かう。小山田殿は北条氏邦を説得してもらいたい。所領そのままで武田につくようにとの仰せだ」


 そこに同じく後始末をしていた室賀と諏訪が合流します。室賀は真田家に嫉妬心があり、逍遙軒に加増を依頼し了承してもらいましたが、その逍遙軒はもうこの世にいません。


「始末つきましてございます」


「ご苦労であった。お二方はだいぶ消耗された様子、所領へ戻られよ。次の戦は始まっておるがそれには関東勢を使う」


「申し上げたきことがございます」


 室賀が口を開いた。山県はここを任されている。信玄の信頼も厚いが、勝頼の信頼も厚いのだ。山県が答えた。


「申してみよ」


「東北との戦、同行させてはいただけませんか?」


「なぜだ。お主の兵は疲れている。今は無理をしなくてもいいのだぞ」


「逍遙軒様をお守りする事ができませんでした。この償いは戦で返しとう存じます」


「ならん。逍遙軒様の事はお屋形様もお咎めなしと申されている。気にすることはない。それよりも休め。焦らずともまだまだ戦は続く。良いか室賀殿。お主の活躍ぶりはお屋形様はご存知だ。焦らずにな」


 通常なら喜ぶべきところですが室賀は困りました。成果が欲しいのです。真田の息子、武藤喜兵衛は攻め方の大将まで務めています。真田に負けたくないという気持ちがここで武藤喜兵衛、源二郎の顔を見て盛り上がってしまいます。ですが山県昌景に言われては逆らう事ができません。表向きは素直に引き下がりましたがこれが後の事件へとつながっていきます。



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