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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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撃っちゃいなさいな

『撃っちゃいなさいなー!』


 変な掛け声とともに、武田海軍からの砲撃が始まりました。その砲弾は二の丸広場にいる北条親子のすぐ近くに続けて撃ち込まれました。


「うわあ、こ、ここにいては!」


「殿、お逃げくだされ」


 慌てふためく兵達は城の外へと逃げ出しました。それを追いかけるかのように北条親子も先を急ぐように逃げ出します。


『ドーン!』


 さっきまで氏政がいたあたりに砲弾が着弾しました。それを見た兵はパニックになり、北条親子を追い越すように逃げていきます。さらに後ろから来た兵は氏政を押し倒して踏んづけて逃げていきました。氏直は流石に見るに見かねたのか氏政を抱き起こし、肩を貸して歩き始めます。


「氏直、すまん」


「父上、こうなっては、もう」


「このわしを踏んづけて行きおった。このわしを」


「父上。北条を失くす訳には参りません。ご覚悟を」


 何を言っている?会話になっていない。


「氏直。勝頼はそんなに甘い男ではない。わしの首くらいで許されるわけもない」


「話してみなければわからないでしょう。まずはここから出ましょう」


 氏政はそれを聞いて呆れています。覚悟だと、お前は生き残る気なのか?そして勝頼の顔を思い浮かべた後、秀吉の子供の頃の顔を思い出します。これで北条も終わりなのか、何故だ。そしてふと新たな考えが頭に浮かび震え出します。北条を滅ぼしたのは勝頼ではない、秀吉ではないか、と。


「ま、まさか。わしを嵌めたのか?勝頼と秀吉が組んでいた可能性も………」


「父上。それはないでしょう。武田を切り秀吉に味方すると決めたのは父上です。父上が北条をダメにしたのですよ。これから私が立て直しますからご安心を」


 何を言っている?頭でも打ったのか?氏政はしみじみと氏直の顔を見ます。氏直の顔は火傷で真っ赤です。炎の中で何かを悟ったのでしょうか?氏直は別人のようになってしまっています。秀吉の名前を出しただけなのにそこまで深読みするとは?急に賢くなった?ですが親を売る気は変わっていないようです。


 先に逃げていった兵達が立ち往生しています。どうやら前に進めず止まっていて後から進んだ氏政達が追いついてしまいました。前を見ると、武田軍が鶴翼の陣で待ち構えていました。誰一人逃がさない構えです。


「これはいかん。前にも行けず後ろにもか。氏直、覚悟を決めるぞ」


「父上。ごめん!」


 氏直は氏政をいきなり斬りすてます。味方兵の真ん前で。それまでは今までどうする?逃げる所がないぞ、などとぼやいていた兵達が唖然とし、無口になりシーンとしています。氏直は、


「この戦、父、氏政が武田殿を裏切った事から始まった。北条家の当主はこの氏直である。余に相談もなく武田殿を裏切り、小田原城まで失くしてしまった氏政を、余が、自ら、ここに成敗いたした。皆の者、安心するがよい。この戦はこれで終わりだ。これから勝頼殿へ会いに行く。道を空けよ!」


 父親殺しを目の前で見た兵達はびびってしまい氏政の首を持って歩きだした氏直を止めることもせずただ見送るだけでした。氏直は一人で武田軍に向かって歩きだしています。





 勝頼は小田原城近くに関東勢に鶴翼の陣を取らせ、後ろの本陣で指揮を取っています。いつのまにか、馬場信春、山県昌景が来ています。穴山信君は佐竹とともに佐竹領地へ向かいました。伊達が佐竹領に侵入してきたのです。上野から内藤修理、越後からは直江兼続が側面支援に出陣しています。


「伊達が動いたのか。伊達輝宗、胡散臭そうなやつだったが、ここで仕掛けるとはなかなかやる」


 勝頼は大名集結での伊達輝宗を思い出していた。伊達は相馬、岩城を攻め落とし佐竹領へ攻め込んでいます。伊達は最上義光と結託して攻めて来ていました。馬場信春は、勝頼の言葉を聞いて調査結果を報告します。


「お屋形様。それが伊達の当主は政宗という男だそうです。輝宗の嫡男で17歳、若いのに策士と言われているそうです」


「ほう、伊達政宗か」


 教科書で見た名前です。曲者だと三雄も言っていました。手薄になっている隙を突くとはなかなかだが、勝頼には気になる事がありました。秀吉との関係です。何かあると秀吉が頭に出てきます。


「桃はいるか?」


 風が吹いたと思ったら女性が跪いていました。特殊部隊ゼット、チーム甲のメンバー、桃です。


「お呼びでしょうか?」


 チーム甲と乙は勝頼の護衛任務に付いています。リーダーの錠が長い間怪我の治療で抜けているため、最近は桃がリーダー代行を務めています。


「伊達政宗を調べてくれ、特に秀吉との接点を」


「承知いたしました。報告があります。まず、西の草からですが、秀吉と明智十兵衛が手を結んだようです。秀吉は吉川元春をはじき出し毛利の筆頭重臣になっているそうで、九州制圧に乗り出しています」


「早いな。十兵衛か、あいつも胡散臭いやつだったが京ではそれなりらしいな?」


「はい。元々公家に顔が利くようで帝からも頼りにされているようです。摂政になる事を策略しておりますが、近衛前久様始め反対者が多いとか。帝健在で摂政とは何事かと揉めているようです。それと明智十兵衛ですが気になる噂があります」


「今の関白は近衛様のご子息だったな。関白が無理だから摂政か。十兵衛は源氏を名乗れない血筋という事か?で、気になる事とはなんだ?」


「キリシタンと手を結んでいるようです」


 キリシタン。キリスト教の信者達だ。デウスとか言う神を讃えているらしい。最近布教というのか、信者が増えているようだ。


「確かキリシタンの大名がいたな」


「九州の大友宗麟です。秀吉がこれから攻める相手ですが、秀吉は明智十兵衛に金を送って攻める事を了解させたそうです」


 明智十兵衛か。相変わらず何を考えているのかわからん。キリシタンをただ利用しようとしているのか?


「それとうちのリーダーですが」


「錠か。怪我はもういいのか?」


「それが………、徳様と海上にいるようで」


 二の丸が突然燃えたのはそういう事か。全く静かにできないのかね。とそこに伝令が来ます。


「北条氏直、一人で向かって来ています」






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