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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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再砲撃

 氏政は氏規が勝手に出陣した事を聞いて驚いたが、機を見て考えたのだろうと納得した。が、現当主の氏直は納得しなかった。


「叔父上が勝手に出陣し、負けたというのか。戦力を無駄にしおって北条が滅んだら叔父上の所為だぞ」


「氏直、そうではない。氏規はそんな男ではない。何か考えがあってのことだ。それよりこれからの事だ」


「父上。そんな考えだから部下が勝手な行動をするのです。それよりもどうされるおつもりか?秀吉というよくわからない男に従って武田を見限った、その見返りがこの状況です!」


 氏直は顔を火傷して頭に血が上っています。興奮して全部人のせいにしています。真っ赤な顔は火傷なのか興奮しているのかわかりますんが、鬼の形相です。


「氏直、落ち着くのだ。余は決して秀吉に従ったわけではない。よいか、事の発端は上杉の跡取りから始まった。上杉謙信が跡取りを決めなかった、それ故に戦になった。それだけの事だ。北条が景虎を推すのは必定、その時に勝頼が景勝を推さなければ。いや、勝頼は中立を務めていたようだ」


「父上、父上は上杉の跡取りの時に全く動かなかったではないですか?氏邦叔父上に任せっきりで。どういうつもりだったのですか?」


 確かに上杉跡取り問題の時、氏政は表立って指示をしていない。氏政は秀吉とのやり取りで秀吉につく事を決めた。ただ、時期が悪すぎた。上杉跡取り問題と重なったのだ。上杉に景虎を養子に出し、同盟を結んだのは父 氏康だ。あの時、北条は追い込まれていた。武田、上杉に押しつぶされそうになっていたのだ。一時凌ぎの対策だったのかもしれないが、跡取りのいなかった謙信はこの提案を飲んだ。


 そこから氏康は新たな野望を持ち始めたのだ。謙信、信玄亡き後、関東のみならず甲信越まで北条が手に入れる皮算用を。


 それは遺言として氏政にのみ伝えられた。もう一つ、武田とは争うな、とも。その遺言と秀吉からの連絡で悩んでいた時に上杉の紛争が始まった。氏政は時間が欲しかった。秀吉につけば武田と争う事になる。景虎を無理推ししたらどうなる?そして考えがまとまらぬまま景虎と景勝の戦になってしまった。氏邦はよく動いたが結果は負けた。結果として武田と遺言状を巡って争うことになってしまった。そしてそれは信玄暗殺へと向かっていった。


 信玄が死んで武田の勢いが収まっている間に手を打とうとしたが、勝頼は北条攻めを緩めなかった。そして小田原城は燃えた。




 結局、氏直は今後は自分が指揮を取ると言い出し、まずは周囲の状況を確認し始めた。わかったことは、


 ・水軍は武田水軍に壊滅させられた


 ・北条氏規は武田逍遙軒信廉を討ち取ったものの敵に捕らえられた


 ・関東勢の一部が氏規に味方したが処罰され、今後の寝返りは期待できない


 ・海には武田水軍、東と北は武田軍七万、西にも武田軍がいるが状況不明


 西へ逃げてもその先は武田領だ。万事休す。


「北条に味方する者はどこにいる?」


 氏直の呼びかけに重臣の松田憲秀が答えました。


「西は毛利、東は伊達でございます」


「遠すぎる!こうなれば降伏しかあるまい!」


 それを聞いた氏政が、


「馬鹿なことを言うな、この北条が降伏など出来るか!」


「父上を捕らえよ。武田への土産とする」


 これには誰も固まってしまって動けない。どこに自分の親を犠牲に助かろうとする当主がいるのか?と、そこに海からの砲弾が再び飛んできた。



 空中から双眼鏡 見えるんですを使って状況を確認していた錠は、なかなか動こうとしない北条に嫌気がさしてきました。北条親子らしい者たちは外へ逃げ出して何やら軍議らしき物を広場でやっているのですが、往生際が悪いのか揉めているようです。錠もいつまでも空中に入れるわけではありません。風は海から吹いていますので船には戻れません。降りるなら勝頼のところですが、もう少し土産が欲しいところです。せっかく死ぬ思いして飛んだのですから徳の言う通り手柄がないと。


 というわけで空中で旋回しサインを送ります。手旗信号ならぬ空中文字です。徳なら見つけてくれるでしょう。送ったサインは、


「撃ち込んでください!めちゃくちゃに」


 です。


 徳は二の丸が派手に燃えるのを見て飛び跳ねて喜びました。やれば出来る子なのよ、あの子は、と大喜びです。さて、この後どうなるのかしらね、あの子感心に上空で監視してるじゃない。後で褒めてあげましょう。あれ、なになに、なんだって、撃てって。無茶苦茶に撃てって、いいの?撃っちゃっていいの。撃っちゃうよ!


「全艦、スクリュークラッシャー砲用意、目標二の丸広場」


 伝令を聞いた船が横一線に並び砲門を上下し狙いを定めます。戦艦駿河マークIIには伊丹が、巡洋艦甲斐にはゆづが、駆逐艦櫻には、はなが乗っていて楽しそうに照準を合わせています。伊丹はノリノリです。


「こういう時なんて言うのでしたっけ?」


 と考えていると徳が気づいたように、特大メガホン(電池を活用した大型の拡声器)で、


「いい、全員こう言うのよ!照準セーーーーット!」


『了解。照準セーーーーット!」


「撃っちゃいなさいなー!」


『撃っちゃいなさいなー!』


 砲撃が開始されました。

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