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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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妨害

 武藤喜兵衛は特殊部隊ゼットのチーム丙と特殊な訓練を積んだ100名の兵とともに小田原城に近い山の上に陣を取りました。護衛に井伊直虎の500名の兵が周囲を固めています。


「井伊殿。ここまでは上出来だ。だが、うまくいき過ぎている」


「武藤様。それがしは念入りに調査して参りました。敵の物見は全て斬り捨て今もこの周囲には敵の影はありません」


「お主の働きは見事だ。だがおかしい。いくら北条が籠城作戦を取っているとはいえ、緩すぎる。もし何かあれば、これを使え。どうも胸騒ぎがする」


 武藤喜兵衛は手投げ式桜花散撃の入った袋を手渡しました。ボウガンと矢も付けて。



 チーム丙はこの数年間、チーム甲に優る訓練を行ってきました。武藤喜兵衛発案のスーパーグライダー、尾張出須を使って。尾張出須は、徳が開発したハンググライダー甲斐紫電の改良版で、戦闘機型と爆撃機型の2種類があります。どちらもプロペラブースターと呼ばれるゼンマイ式のプロペラが左右に2個づつ付いていて、これにより飛行距離が大幅に伸びました。


ガソリンエンジンを積んだ爆撃機も作ったのですが、持ち運びに難がありここにはありません。エンジンが重いため、条件が揃わないと飛べないという欠点がまだ克服できてないのです。


 チーム丙と訓練兵は尾張出須の組み立てを行っています。チーム丙の5人は戦闘機に、残りの兵30人は爆撃機に乗ることになっています。他の70名は組み立て調整係です。戦闘機には攻撃用ボウガンが装備されています。攻撃準備が整い、準備完了と報告しようとした時に事件が起きました。







 木下秀吉は明智光秀と休戦協定を結んでいました。今はお互いにやる事が多く相手にしてられないのです。明智は京都で地盤固め、秀吉は新領地の経営をしながら毛利を乗っ取る計画を進めています。すでに小早川は手の内です。宇喜多、安国寺恵瓊を味方にし、薩摩の島津にも働きかけ、毛利の難敵だった大友宗麟をも討ち取りました。その戦いには秀吉の代わりに弟の秀長が加藤清正、福島正則を引き連れて大活躍をしました。毛利の中で秀吉の発言力がどんどん増していきます。


 そこに、関東からの使者が来て北条氏政の伝言を伝えに来ました。武田信玄が死んだというのです。


「信玄が死んだか、やったのは風魔。あいつらか」


 秀吉は風魔を知っているようでした。東の空を見上げながら、


「氏政に再び会えるかどうかはわしの伝言をどこまで真に受けるかで決まる。信玄が死んで勝頼がどうするかだが、引く事はなかろう」


 そう呟いて黒田官兵衛と武器工場へ向かいました。


 秀吉は氏政にこう伝えています。


「武田は恐ろしい武器を持っている。鉄の船、火縄のいらない鉄砲、空を飛ぶ道具。鉄の船は鉄の弾を飛ばすが浅瀬には入れない。火縄のいらない鉄砲は距離を取れば当たらない。空を飛ぶ道具は高台からしか飛べない。高台を抑えれば防げる。他にもあるかもしれない、決して油断するな」




 北条氏政は氏直と共に小田原城に籠城しています。3年堪えろという秀吉の伝言を守るために。ですが、やられ放題も面白くありません。信玄が死んだというのに武田の勢いが止まらないのであれば、勝頼を殺すしかありません。そもそも信玄が死ねば武田もしばらくは大人しくなると考えていたのですが勝頼の親不孝者めは、進軍を緩めないのです。風魔を使って勝頼を殺したいのですが、流石に難しいようです。それに秀吉の情報では武田は不思議な武器を使うようなのです。火縄のいらない鉄砲とは何なのでしょう。一番気になるのは空を飛ぶ道具です。いくら城の入り口を固めても空からは城に侵入するのは簡単です。勝頼よりもこの空を飛ぶやつを何とかするのが先でしょう。氏政は風魔小太郎を呼び、


「小田原城を攻めるとして高台から飛ぶとしたらどこを選ぶ?」


「面白い事を言いますな。何箇所かありますが、武田なら箱根方面。それをどうしろと?」


「抑えてくれ。空は無防備だ」


「おかしな事を。鉄砲で打ち落とせばいいでしょう。いい的です」


 それもそうだ。だが、どんなふうに飛んでくるのかわからない。小太郎に武田が高台で何か始めたら襲うように指示をしました。小太郎は武田の動きを探ろうと足柄城の風間を使おうとしましたが、城が囲まれていて近づけませんでした。小太郎なら城への侵入はできますが、風間の応援は期待できません。方針を変更して氏直に言って兵を借り、何箇所かの高台を見はらせました。すると武田の兵が陣取っている場所があり、周囲を厳重に警戒まで行なっている事がわかります。向かわせた物見も切られてしまいました。


 小太郎は敵の見張りを捕らえ、殺したあと、服を奪いその者に成り代わります。そして武田兵の格好をして警戒の中に入って行きました。そこでは大勢の兵が何か大きな物を組み立てていました。


『この道具で空を飛ぶのか?羽のような物もあるから間違いない。飛ばせるわけにはいかないな』


 小太郎は素早く離脱し、合図の狼煙を上げました。合図を見た北条兵は一気に高台に押し寄せました。



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