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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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小田原攻め

 甲斐から攻め言った武田逍遙軒は滝山城から南下していきます。鉢形城は当初の予定通り放置です。小山田信茂は逍遙軒と別れて郡内に戻りそこから箱根を目指し始めました。目指すは足柄城です。足柄城には風魔の別働隊、風間与太郎率いる200名の乱破集団がいました。


 風魔は忍び部隊と実働部隊に別れて活動しています。風魔の活動資金は主に足柄城の風間部隊が調達していました。他国での盗賊活動、情報収集、戦でのゲリラ戦法による北条家からの収入が主です。風間与太郎は北条家から正式に禄を貰っていて少しですが名前も知られています。そのため、風魔を風間与太郎の乱破集団の事だと思っている者も多くありません。実際、武田信玄でさえ風魔のことを北条の風間と勘違いしていたほどでした。信玄は北条との戦で、風間率いる荒くれ部隊に何度かやられていてその印象が強いのです。


 実際、それは間違ってはいません。風間与太郎も風魔だからです。ただ、本当に恐ろしい風魔はその裏で動いている風魔小太郎達なのです。


 小山田信茂は山中湖を通り箱根に差し掛かりました。そこで風間の奇襲を受けます。山中に入ったところであちこちから弓矢が飛んできて兵が前に進めません。こちらも鉄砲や弓矢で反撃をしますが山猿の如くあちこちに素早く動く敵を捉えられず、オロオロしていると刀を抜いた武士が弓矢隊に斬りかかってきます。小山田は兵を一度引き上げさせました。同行していた菅原隆則に相談を持ちかけます。勝頼から困ったら菅原に聞いてみろと言われていたのです。


 菅原隆則は、勝頼の駿河攻めの時に活躍した功績で富士宮に領地を持っています。元々は遠江の菅山村、油田があるところの出身でしたが、縁あって蒲原家に仕えたため、蒲原に近い富士宮に領地をもらいました。頭が良く勝頼のお気に入りの1人です。今回は甲斐からの軍に加わっていました。駿河の軍には武藤喜兵衛と竹中半兵衛がいるので分散させたのです。


「菅原殿。いかがいたそうか?」


「逍遙軒様も言っておられましたが無理攻めはしなくていいかと存じます。ここに彼らを引きつけておくのも良いかと」


「あれは恐らくは風間与太郎であろう。できればここで討ち取ってしまいたい。あいつには借りがあるのだ」


「お知り合いで?」


「北条との戦は長い。いつもいいところまで行くとどこからか現れて邪魔をする嫌なやつらよ。だが、ゆっくりというご指示だから困っている」


「ならば駿河から攻め入っている者達と連携するのはどうでしょう?」


「それは面白くない。わしにも意地がある。最近手柄を立てる場面が回ってこなかった。ここはなんとかして足柄城を奪い、その勢いで小田原まで行きたいのだ」


「お気持ちはわかりますがお屋形様が武蔵を通り小田原まで来るにはまだ日がありましょう」


「お主を軍監として扱うよう言われている。指示には従うが、引きつけておくと言ったな。ならばただ待っているわけにもいくまい」


 風魔と風間、菅原には同じように思えました。あの信玄公がただ間違えるとも思えません。もし風魔ならばここで無理をして倒すよりは、ここに留めておけば戦は有利になるでしょう。小山田の引き止め作戦に同意し、敵の動きを緩和する作戦を取ります。小山田は敵が現れる一帯の木を切り始めました。不意を突かれなければいいのだ、それにはいっそ平地にして仕舞えばよい。隠れるところが無くなり、敵の散発的な攻撃はあったものの2週間後、小山田は足柄城を囲んだ。


 結果として足柄城を孤立させた事は大きな意味を持つことになった。風間与太郎を動けなくした、これは風魔にとっても想定外だったのだ。



 武藤喜兵衛率いる駿河軍は芦ノ湖まで進み、周辺の宮城野城、屏風山塁、塔の峰城を制圧し湯坂城へ向かっていた。個々に抵抗はあったものの例の風魔らしき姿が見えない。井伊直虎は喜兵衛に了解をもらい、自分の兵に加えて、旧今川の由比勢の兵、さらに忍びを連れて先行し怪しそうなところをしらみつぶしに潰している。風魔の痕跡を探しているのだ。ここに特殊部隊ゼットのチーム丙は入っていない。彼らは大軍の真ん中でただの輸送兵のように荷駄を運んでいた。


 そして湯坂城を落とした喜兵衛は、軍を竹中半兵衛に任せてある場所へ向かった。そこは小田原城を見る事はできないが、小田原城に近い高台だ。そこは偶然、三雄の時代で豊臣秀吉が一夜城を作った場所なのだがそれはこの時代の誰も知らない事だ。そして、半兵衛は山を降りて小田原城へと向かった。


 逍遙軒と勝頼は二宮で合流した。下野、武蔵、相模の兵はどんどん膨れ上がり総勢八万にもなっている。ただ、前回上杉謙信が小田原城を囲んだ後、この国衆は再び北条方に戻っている。今回はその二の舞を防ぎ武田に服従させるという目的もあった。


「叔父上。そちらはどうでしたか?」


「仰せの通り出来るだけ戦をせずに参りましたが、同行している国衆は信用できる者は少ないのが実情。こちらが信用できると思われる者の名前です」


「ありがとうございます。こちらも同様に簡単になびく者ばかり。中には人質を出してきた者もおりますが信用できるのは少数です」


「ここからどうされるおつもりか?」


「小田原城が見えるところまで進みましょう。北条早雲の火牛の計でしたか、喜兵衛のお手並み拝見といきましょう」






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