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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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井伊直政

 井伊直政。井伊直虎が武田に味方し井伊谷を安堵された後、武田が領地を広げるにあたり二俣城を任されるようになりました。そして信玄が駿府城に住むようになり、15歳になった直政が駿府城に出仕するようになります。現在22歳、要領の良さを信玄に気に入られ家督を継ぎました。そして今回の戦では兵500を引き連れて武藤喜兵衛の軍に参加しています。


 駿府城から出発した軍勢は三島まで来ていました。総勢2万、箱根の山を越えれば北条の本拠、小田原城です。その途中には北条の城や砦があちこちにあり東海道の最終防衛ラインとも言えます。そのためここには多くの北条兵が待ち構えていました。


 竹中半兵衛はまずは様子見と三島山中城へ仕掛けます。布陣は朝比奈、岡部等旧今川勢二千です。城の防備が固く簡単には落ちそうもありません。


 竹中半兵衛は、武藤喜兵衛と本陣にいました。


「喜兵衛殿。今、お屋形様はどこら辺まで来ておられますか?」


「先日下野から武蔵へ入られたようです。小田原まではあと2ヶ月はかかりましょう。なんせ今回はゆっくり作戦ですから」


「お屋形様が来るまでには例の作戦Aの成果を出しておきたい。あと一月で拠点が欲しいところです」


「実は目星はつけております。ただ、」


「なんでござる?」


「例の草が行方不明になった場所に近いのですよ。例の風魔とやらの根城があるのやもしれません」


「そっくりに変装するという例の奴らですか」


「変装は伊那忍びも多少はしますが、百姓に化けたり程度の物です。そっくりにまでできる奴がそう何人もいるとは思いません。それに、大屋形様を殺めた風魔は倒したと聞いておりますから。それがしは変装よりも風魔の戦闘力の方を恐れております。草は全員始末されたと見るのが道理。ならば侵入者を見つけ殺めるだけの力があるという事になります」


「北条の家臣に風間という荒くれ集団がいるというが、そいつらが風魔ではないのですか?」


「わかりません。その荒くれの噂は聞いた事がありますが、何でしょう、徳様流に言うとタイプが違うとでも言うのでしょうか?毛色が違う気がしております」




 山中城は北条氏康が氏政に東海道の抑えとして作らせた城です。なかなか手強く城を攻めていると、どこからか敵が現れ攻撃をされるという事が何回かあり、周囲の砦を先に潰す事になりました。そこに名乗り出たのが井伊直虎でした。


「武藤様。それがしにお任せ下さいませ」


「井伊殿か。どうやる?」


「例の桜花何たらを使わせていただきたく」


「あれはここでは使わない。北条にはまだ見せたくない。手の内はまだバラさない」


 この先どうなるかわからない段階で資源の無駄使いはしたくない。兄、真田信綱の話では北条氏邦との戦では氏邦は何が起きたのかわかっていないはずだ。山中城の戦は小田原には筒抜けになる。


「やはり。山中城に使わないのには理由がありましたか。それでは、こうします」


「わかった。そちに任す」


 そのやり取りを竹中半兵衛、武田信友が見ていました。


「なかなかいい若者ではありませんか、半兵衛殿」


「大屋形様お気に入りの若武者ですから。一つお聞きしてもよろしいでしょうか。信友様はなぜ今回の大将を辞退されたのですか?」


 武田信友、信玄の弟だ。武田信虎が今川の客人扱いになっている時にできた末っ子です。今は勝頼に仕え、例の遠江の諏訪原城を治めています。諏訪神社があるあそこです。勝頼は気を使ったのか駿河陣の大将を信友に頼もうとしたがやんわり断ったのだ。


「親族だからと言う理由で大将は務まらない。それに今回は武藤殿にやらせたかったのでしょう。そう思いませんか?」


「信友様………、」


 半兵衛は信友がこういう男だとは聞いてはいましたが、目のあたりにして感無量です。




 井伊直虎は手勢500とともに、山中城周辺に潜みます。北条軍の砦にいる兵は、朝比奈、岡部武田勢が山中城を攻めた隙をついてゲリラ戦法でポイントを稼いでいました。どこからともなく現れて側面から銃撃したり矢を撃ちかけてくるのです。直虎は少数のゲリラ兵を討ち取り、数名の配下とともにその兵に化けて砦に潜り込みました。そして中から見張りを倒して門を開放します。それを合図に一気に残りの兵を突入させて砦を奪いました。2つの砦を攻略したところで、敵のゲリラ戦法が止まりました。見られていたのか、砦も籠城に切り替えたようです。


 ゲリラが無くなれば孤立した城です。抵抗はされましたが一週間後、山中城は落ちました。残りの砦も落ち、この周辺は武田が手に入れました。


 武藤喜兵衛は井伊直虎を呼び出し、


「井伊殿。見事であった。お主のお陰で思ったより早く攻略できた」


「武藤様。お伺いしてもよろしいでしょうか?」


「なんだ?遠慮なく申してみよ」


「この軍の目指すところは小田原城ですが、本当の狙いは別の場所の確保ではありませんか?」


「ほう、面白い事を言う。どこだと思う?」


 直政は答えました。喜兵衛は他言無用と言ってからそうだと答えます。直政はならばと再度申し出ます。

 喜兵衛は明日改めて命じると言って直政を下がらせました。そして竹中半兵衛と作戦会議に入りました。

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