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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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北条の逆襲

「父上。勝頼、ただ今到着いたしました」


「勝頼、早かったな」


 横にいた山県昌景、馬場信春が、


「お屋形様。遠路お疲れでございましょうが、まずは宇都宮殿に挨拶を」


 と、当然の事を言うと、


「うむ。案内せい」


 と勝頼は言って、2人が立ち上がり背を向けたその隙に、信玄に斬りかかった。信玄はそれを刀で受け止めた。何事かと振り返った山県が、いきなり勝頼の背中から斬り下ろすが勝頼はそれを素早く避けて中庭にダッシュしそのまま走り去った。


「大屋形様!お怪我は?」


 馬場が駆け寄り信玄の状態を確認します。


「やはり来たか。備えておいて助かったが、三郎兵衞、仕留めんか」


「申し訳ございません。考えていた以上に素早く。追いかけますか?」


 山県昌景は偽物とわかっていても勝頼を斬る事に僅かに抵抗があったのです。その0.何秒かの隙に逃げられてしまいました。


「勝頼の姿をしていては味方も混乱しよう。一応警戒だけはしておけ。しかし話には聞いてはいたがあれは正に勝頼。本当にそっくりであった。事前に聞いていなかったらと思うとゾッとずるぞ」


「風魔恐るべし。しかしお屋形様に化けるとは許せん!!」


 馬場は、怒りながら部屋を出て行きました。部下に起きた事の説明と警戒の指示をしに。信玄の部隊はこういう時の連絡網がしっかりしていて末端まで情報が正確に伝わります。


 やって来たのは勝頼に化けた風魔の悠次郎でした。勝頼に化けて信玄を殺そうとしたのです。ここで信玄が死ねば武田軍は混乱します。佐竹方の宇都宮も責任を問われます。やるならここ、というタイミングでした。


 ですが前回善光寺で風魔が勝頼に化けて遺言状を奪ったと聞いていたので、警戒していたのです。勝頼が訪れる事がわかっていて、1人でやってくる、それは偽物です。わざと罠にはまり逆に嵌めてやろうとしたのですが、中露半端な結果となってしまいました。


「北条め、姑息な手段を取りよる」


「狙撃されないよう十分な警戒しております。となれば近づいて、というところでしょう。謙信公の命を奪った者と同じでしょうか?」


「わからん。風魔というのがどういう集団なのか調べに行った者は戻ってはこないというではないか?」





 逃げ出した風魔の悠次郎は、さすが武田信玄と感心しつつ次の作戦を考えています。どうやら変装して騙すのは無理そうです。今回の作戦は陽動が目的でした。信玄1人くらいは殺したかったのですが仕方ありません。


「陽動にはなった。とはいえ氏直は納得すまい」


 北条家では氏政が嫡男の氏直に家督を譲りました。父、氏康の真似をして大御所気取りです。家督を継いだ氏直は武田が我が物顔で下野を通るのが面白くありません。ですが、氏政は放っておけというのです。氏政は上杉を景虎に継がせられなかった事で勝頼の恐ろしさを改めて認識しました。しかもまだ信玄も健在です。秀吉に文を出しましたが、秀吉の方も自分で精一杯のようで、いずれ西から武田を攻めるからその時まで待てというのです。


 となると当面の敵は武田ではなく、佐竹や里見になります。それで放っておけと言ったのですが、大道寺と用土が寝返ったと聞いて、氏直に風魔を預けたのです。武田の動きを牽制しておかないと、いいようにされてしまいます。そして風魔の棟梁、小太郎は上杉謙信を殺した風魔でもトップクラスの使い手である悠次郎を派遣したのです。


 作戦に失敗した風魔の悠次郎は仕方なく小太郎へ相談すべく箱根に戻ろうとしたのですが、途中で尾行に気付きました。山中に入り気配を消しています。


 一時間経過し、周囲に気配を感じられないので再び歩き始めました。すると、


『ヒュン!』


 苦無が飛んできます。悠次郎はそれを避けて忍者刀を抜き苦無が飛んできた方向を警戒しました。ところが背中に矢が刺さり倒れこみます。しばらく何も起きません。良く見ると矢が刺さって倒れたのは木でした。


 苦無を投げたのは上杉の忍びの梟、矢をボーガンで射ったのはゼットの桃でした。敵が倒れて近づくとどこからか敵が現れ逆にやられてしまう、変われ身の術を悠次郎は使ったのです。それに気付いた梟と桃は慌てて近づく事なく気配を消して悠次郎が動くのを待ちます。これは事前に相談していて、敵は只者ではないので決して油断しない事を心がけています。


 悠次郎は枯葉の下に身を隠していました。だれか近づいてくれば不意を突こうと待ち構えていましたが、敵に変われ身の術がばれてしまいました。どうするかと考えていると、自分のいる周囲に次々と矢が飛んできます。敵は地面に隠れているとあたりをつけて絨毯爆撃をして来たようです。


 これはいかんと敵の矢が地面に刺さった瞬間に走り出します。今までの矢を射る間隔を考えれば次の矢が来るまでに数秒あるはずです。走ると同時に敵がいそうなところへ焙烙玉を投げました。敵に当たるとは思っていませんが、目くらましにもなりますし、逃げる時間稼ぎです。


 ところが、空中で大きな音がして爆風で飛ばされます。それと同時に空からマキビシが高速で降って来て悠次郎の身体のあちこちに刺さりました。悠次郎はダメージで動けません。それでも敵は近づいてきません。


 そして今度こそ背中、頭に矢が刺さり命を落としました。


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