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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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さて、勝頼は

 織田信長の死が日本中に知れ渡り、各地の大名に衝撃が走る中、秀吉、勝頼、そして明智十兵衛はやるべき事を進めていた。秀吉は安芸から摂津に戻り抵抗を続けている佐久間信盛と交戦を続けている。伊勢の滝川一益は援軍が来なくなった小早川の兵を駆逐している。大和の筒井は順慶亡き後どこにも属せず中立を保っている。筒井の家老であった島左近は新しい当主とウマが合わず流浪の民となっている。


 勝頼は織田信忠を懐柔し、同盟という名の配下とした。これで武田、上杉、織田の同盟ができた事になる。三国同盟も真・三国同盟も破綻した事から、勝頼は名前に苦慮している。お市は名前なんかどうでもいいと言うが、どうでもいいというわけではない。こういうところをキチンとしないといかんのです。


「三だからスリーとかトリプルとかは?」


 徳が呑気に言っている。この時代の人間に意味わかるかい!とどやしつけるも、一瞬トリオが頭に浮かんで違うだろ!と脳内で自分にツッコミを入れる勝頼であった。と、いう事で勝頼は高天神城に来ています。この後駿府城を経由して古府中に戻る予定です。


 西は武田としては一応の決着となりました。佐久間や滝川の支援は敵地を通らなければできません。といっても見捨てたくないという信忠の願いで海からの物資支援だけは協力する事にしました。駆逐艦欅を尾張を返さない代わりに貸す事にしました。信忠は尾張から伊勢まで食料と武器の輸送を始めました。楓を護衛艦として輸送船を手配したのです。これで滝川は保つでしょう。


 この戦、欲を言えば秀吉に負けて欲しかったのですが、まさか武田が開発した銃やハンググライダーが信長を殺す道具に使われるとは想定外もいいところです。今後、秀吉との戦では空中戦も考慮しなければならなくなりました。


 勝頼はここに来る途中、新築した岡崎城によって武藤喜兵衛が特殊部隊ゼットのチーム丙を使って訓練している新兵器を視察しました。この事態を考えていたとは思えませんが、喜兵衛の新兵器は空中戦用の物でした。勝頼は、訓練するメンバーを100人に増やすよう指示して高天神城へ向かいました。


 武藤喜兵衛が作っている新兵器が空中戦用と勝頼から聞いた竹中半兵衛はそれならばと陸戦用の新兵器に力を入れる事にしました。別に争っているわけではないのですが、同じ事をやるより違う事をした方が効率的です。どちらも今後の戦いに必要なのです。徳はロケットに夢中です。


「推進力なのよね。ねえ半兵衛殿、ジェットエンジンってどういうのなんだろう?」


「わかりません。まずはガソリンエンジンができましたのでこれを改良していけばいいのでは?」


「そういう問題?」



 勝頼は会話についていけません。徳は開発に集中したそうだったので、関東への武田海軍派遣は伊丹康直に任せました。伊丹は元今川水軍の将で、今は焼津花沢城を任せています。大崩に研究所があった時には造船所と城が近かったのですが、今は駿河と遠江を行ったり来たりしています。


「伊丹、里見と上手くやってくれ。北条の勢力を削るのだ」


「かしこまりました。今回は徳様は?」


「船には乗らん。一応、ゆづとはなは同行させる、船に載せておく。せっかくだからあいつらを講師に他の兵の砲撃訓練も頼む」


 伊丹は戦艦駿河マークII、駆逐艦楓、櫻、それとお土産の荷物を積んだ輸送船を連れて出航して行きました。



 勝頼はあちこちを視察しながら古府中へ戻りました。相変わらず本多忠勝が付いてきています。久しぶりに正妻の彩とご対面です。


「帰ったぞ、彩」


 彩はなぜか側室のしお、華名と長女の春、長男の信勝、次男の信平、三男の信和、次女の夏、三女の幸、そして茶々と一緒に待っていました。勢揃いです。


「これは皆様お揃いで」


 なんだその挨拶。勝頼はつい思った事をそのまま言ってしまいました。


「お屋形様。おかえりなさいませ。この度の戦の大勝利、おめでとうございます」


 彩が言うと残りの全員が声を揃えて、


『おめでとうございます』


 なに、これ?


「今回のは戦とは言ってももぬけの殻の尾張を取るだけだったからな。大勝利というほどのことでもない」


「ですが、兵の犠牲なしの尾張を取られたとか。真に素晴らしく」


「そうだな。いいか、信勝、信平、信和。戦はただ相手を殺して勝つものではない。そういう場合もあるが、余が求める世の中は戦のない世の中だ。それには戦わなくてもいい敵とは戦わない。敵を味方に変える事も考えるのだ」


 信勝が、


「敵を調略するのですね」


 と言えばそれを聞いた信平が、


「ですが父上。そんなに簡単に寝返る者を信じて良いのでしょうか?」


いやいやと信勝が、


「信平、そこは相手を見極めないと」


「兄上。兄上は人が良すぎます。まずは疑ってかからないと」


 この2人、同い年です。正室の彩が産んだのが信勝、側室の華名が産んだのが信平です。


「2人とも正しい。よく勉強しているな。お前達ももう12歳、15になったら戦へ連れて行ってやる。諏訪のアスレチックへは行っているか?」


『はい!』


 諏訪のアスレチック。勝頼が子供の頃に作った遊び場です。体幹、筋力を鍛えるには最適の場所です。


「お前達は将だ。自らが戦わなくても良いがいざという時のために鍛える事は必要だ。それと、茶々」


「はい」


 茶々は浅井長政とお市の子だ。お市を嫁にしたので勝頼の子という事になるが、ここにいる誰とも血は繋がっていない。


「お市はもうじき戻る。安心せい」


「父上。母上はご不在の事が多いですが、ここにいる母達が皆優しくしてくれますので大丈夫です」


 あれ?強がっているのか、それとも反抗期?


「そうか。お市は茶々を心配しているぞ。余が言いたいのはそれだけだ」


 そこに彩が、


「茶々は信勝と仲がいいのですよ」


 というと信勝と茶々が真っ赤になっている。血は繋がってないし、別にいいか。それよりも春だ。


「春、お前の縁談もさほど遠くないであろう」


「どこへでも嫁ぐ覚悟は出来ております。父上の仰られるままに」


 それを聞いた実母のしおが、


「お屋形様。春はどちらへ行く事になるのでしょうか?」


「まだ決まってはいない。父上と合流する頃には決まっていよう。悪いようにはしないつもりだ」


 勝頼は古府中に3日滞在し上野に向かいました。まずは懐かしの箕輪城へ。

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