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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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織田信忠

 勝頼一行は岐阜城へと招かれた。信忠は勝頼と会おうとしていたのだが、丹羽長秀が反対したらしい。まずは佐々成政が信忠に挨拶に行きました。成政はあくまでも織田家の家臣として生きると決めています。織田信長への恩を信忠へ返す、その一心です。


 勝頼は城へ入ったものの長時間待たされています。信豊は落ち着きがなく、


「お屋形様。ここにいて大丈夫でしょうか?待ち時間が長すぎます。何か悪巧みでも仕込んでいるかもしれませんぞ」


「大丈夫だ。ゼットの連中が控えているし、余も伊勢守の免許皆伝。銃も隠し持っているし、ほぼ無敵だろう。それにここで武田と喧嘩する意味がない。成政の話が長いのだろう」


 武藤喜兵衛が信豊に向かって話し出します。


「殿。落ち着いてくだされ。佐々殿は信長が死んだ時、戦場近くにいたのです。柴田勝家、荒木村重、そしてあの明智十兵衛。聞きたいことが多いのだと思います。ぼちぼち呼ばれますよ、きっと」


「喜兵衛、なんでわかる?」


「そう言うものです。そうですよね、お市様」


「そこで私に話を振られても。信豊殿、落ち着くのは大事な事です。待つしかない時は待ちましょう」


「なんでお屋形様はお市様といい徳ちゃんじゃない、徳様といい素敵な女性を捕まえられるのか?羨ましいぞ」


「おい、今、徳ちゃんとか言わなかったか?人の嫁を?」


「まあまあ気にしない。ハゲますぞ」


「おい!」


 一同笑っている時に小姓が勝頼達を呼びに来ました。小姓はその状況を信忠に伝えます。


「面白い、通せ!」




 岐阜城の天守、そこに織田信忠が丹羽長秀と座っています。そこに勝頼、信豊、喜兵衛、お市が入り、向かい合って座りました。


「やっと会えましたな。武田勝頼でござる」


「武田信豊と申す」


「武藤喜兵衛にございます」


「大きくなられましたね、信忠殿」


 信忠は皆の顔をじっと見た後、大きく息を吸って


「織田信忠である。父、信長亡き後織田家を継承した。今日は皆に会えて嬉しく思う」


 この時、織田信忠は22歳。血気盛んな若武者であり、すでに何度も戦場に出ている。織田信長の嫡男ということもあり、家臣によいしょされて育ったため、お坊ちゃん的なところがある。家督を継いだとはいえ、突然のことであり今まで自分を慕っていた家臣も離れて行ってしまった。この挨拶は精一杯の強がりだ。


 お市は信忠を叱りつけようとしたが、ここのところ出しゃばりすぎるのはよくないと反省していたので我慢しました。勝頼はそれを空気で感じて、心の中でお市を褒めながら、


「織田殿。信長殿は残念であった。出来る事ならもう一度会ってみたかった。お市を引き合わせたかったのだがうまくいかぬものよ」


「武田殿は父上と織田を攻めないと約束をしていたのか?」


「そうだ。例の大名集結の時だ。2年は戦をしないと言っていたのに信長公は朝倉を攻め、比叡山も焼いた。そして本願寺だ。先に約束を破ったのは信長殿だ。武田はその隙に織田を攻めることができた。だが、攻めなかった」


「なぜ?」


「余の敵が秀吉だからだ。織田が勝てばそれで良し。負ければ武田が秀吉を討ち亡ぼす」


「父上は負けた。荒木村重に裏切られて」


「織田殿。信長公がなぜ敵が多いか考えた事はあるか?」


「父上は嫌われていた。力で抑え、逆らう者には容赦がなかった。今となってはそのやり方に無理があったとわかる」


「明智十兵衛はどうした?なぜここにいない?」


 信忠は顔をしかめた。情報では戦の後、近江へ帰ってしまいそれ以降美濃へは顔を出していないそうだ。京で色々と動いているらしい。丹羽長秀が助け舟を出します。


「明智殿は織田家では外様。先程の佐々の話では戦場を勝手に離れて帰ったようだ。そのようなものは織田には必要ない」


「呼んでも来ないのであろう。織田を見限っただけだな。織田殿、丹羽殿。見栄を張るのはそのくらいにしたらどうだ。信長公亡き後、織田家にはもう大した力は残ってはいまい。この美濃と越前、それだけだ」


「何を申される。近江、伊勢も織田の領地でござる」


「丹羽殿。近江は明智の領地、伊勢は滝川殿が踏ん張っておられるようだが支援がない。時間の問題だ。河内は佐久間殿が敗戦濃厚と聞く。織田本家の支援がないから負ける。支援する余裕もない、違うか?」


「長秀。武田殿の言う通りだ。織田の名だけで物事は動かない。武田殿、成政の話では父上を殺したのは荒木ではなく秀吉の忍びだと言うが、真でございますか?」


「いかにも。織田と武田の敵は秀吉。違いますかな?」


「違いません」


「今日、余が自ら参ったのには理由がある。織田を力で従わせようとは思ってはいない。だが、傘下に入ってもらいたい。上杉のように」


「なんだと!あの上杉が武田殿の傘下に!」


「傘下といってもほぼ同格。正確な立場は武田が上だがだからといって無理はさせん。天下統一には必要な事だ。全て滅ぼしてはその地を治める者がいなくなる。武田に従う者には悪いようにはしない。信忠殿、余の妹を娶らんか?お松と言うのだがなかなかいい縁談がなくてな。すでに正室がおるようだが構わん。実は余も正室と正妻がおってな。どっちが上という事でもないのだが、まあ上手くやるがよい」


 それを聞いてお市が、


「信忠殿。お松様はそれは可愛らしいお方。あなたにはもったいないほどの姫です。それにお松様の姉上は上杉景勝殿に嫁いでおります。武田、上杉、織田の三国同盟が結ばれることになります」


 三国同盟か。その名前は良くないな。また壊れそうだ。信忠は迷っているようだ。そりゃそうだね。


「信忠殿。すぐに返事をしろとは言わん。だが長くは待てんぞ」









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