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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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荒木村重

 荒木村重は外様である。織田信長は外様を重臣として活用した。明智十兵衛、滝川一益、そして放逐した木下秀吉もだ。有能であれば要職につけて競い合わせ、勝者には相応の褒美を与える。


 荒木村重はもともとは摂津池田家の家臣だったが、主君を裏切り三好家についた。そして織田信長が勢力を拡大していく中で織田信長に仕えるようになった。今ではかっての主君であった摂津池田家を配下とし、自らが摂津一国までも治めるようになっている。これこそが下克上、織田家ではこの下克上は頻繁に起きていた。


 その荒木村重が裏切ったという。信長は信じられなかった。今までの荒木の働きは素晴らしく、それだけ荒木を信頼し重要視していたのだ。


「十兵衛を呼べ!いや、余が坂本へ行く。重臣を集めよ!」


 信長は馬に乗り駆け出しました。なぜだ、なぜ余を裏切る? と、考えながら。





 荒木村重はその頃、摂津池田城で木下秀吉と会っていた。織田家では要職についていたこの2人。


「木下殿。久しゅうござる」


「荒木殿。直接お会いするのは織田を出て以来でございますな。その後もだいぶ蓄えたご様子。何よりでございます」


「あれだけむしり取っておいてよく言う。木下殿の計らいで大和の筒井順慶が味方し、曲者の松永久秀を排除できた。信長の畿内における勢力は半減だ。織田家ではわしの方が格上であったが貴殿は今では毛利の重臣。大したものでござる」


「むしり取るとはなかなか。帳簿を誤魔化していたのにそれがしがたまたま、そうたまたま気付いただけでございますよ」


「それから手解きをしてもらいあれよあれよと大金が貴殿の懐へ。毛利への持参金にでも化けたか?」


「どうせやるなら上手により多くの金を。おっと口が滑りましたな。荒木殿のおかげで助かりました。手強い播磨衆も今では飼い犬同然。金の力は偉大ですな」


 荒木村重が勘定奉行を務めていた時に、金が要りようになり何度かくすねていたのを秀吉に気づかれ、それからは秀吉の言う通りに大金をくすね折半していたのです。それは秀吉が放逐されてからも続きます。そうなのです。その頃からこの2人は一蓮托生の身となっていたのです。


 荒木村重は、織田信長のやり方について行けなくなっていました。どこかで織田家から離れないと殺されると考えていたのです。織田信長は怖い男です。逆らう事は死を意味します。幸い、明智十兵衛のように皆の前で蹂躙される事はありませんでしたが、あれは明日は我が身です。信長はお前らも逆らったらこうなるんだぞ、と見せつけているのですから。その上に秀吉に弱みを握られ、金を横流ししたのです。



 秀吉はいつか信長の上に立つ事を考えていました。結果的に放逐されてしまいましたが、生まれつき前向きなこの男はそれをチャンスと考えたのです。


 戦に必要な物、兵、武器、食料、そして金です。金がなければ戦はできないのです。秀吉は織田家の金に目をつけました。そして織田家の金の流れを徹底的に調べたのです。甲賀を使って。


 その結果、荒木の不正が見つかるのですが、それよりもこの金を自分のものにするにはどうするかを考えました。そして荒木を使い帳簿を誤魔化しました。織田家を放逐されてからは遠慮がなくなり一気に大量の金が流出します。ちょうど戦が続き金勘定に監査が入らない状況が続きました。もっとも荒木がやっている金勘定を疑う者は織田家にはいません。


 秀吉が金を手に入れた目的は自分が使うためでもありますが、織田家の弱体化が主です。見返りがあるから兵は働くのです。それは金です。


 金払いが良い方に兵は集まります。国衆にとっては領主は誰でも良いのです。自分の生活が豊かになれば。


 金がない事を知らない織田信長は、大阪城の築城を命じます。秀吉はここが絶好機と間者を使い荒木に裏切りを囁きます。そして荒木は兵五千を揃えて建設中の大阪城に向かいました。


 この時、河内の地は佐久間盛信が治めていますが、岐阜に行っていて不在でした。大和には元三好家の家臣だった松永弾正がいて周囲に目を光らせています。大和には筒井順慶がいますが、松永の下にいるのが面白くありません。秀吉はそういった情報を甲賀から集めていて、現状に不満がある大名や国衆に接触していました。




「ここ掘れさっさ、ここ掘れさっさ」


 佐々成政はそんな事は知らずに工事に勤しんでいます。そこに急使が現れます。


「申し上げます。兵五千、この本願寺へ向かって進んできております」


「ん?どこの兵だ?戦とは聞いてないぞ」


「旗印は荒木村重様でございます」


「荒木様?はて、何か急用でも?」


「恐れながら、兵が止めても聞かずに前進。敵と思われます」


「まさか。荒木様が?」


 金がないと明智は言っていた。勘定方は荒木、ま、まさか。


「工事は中止だ!皆の者、戦支度じゃ!」



 松永弾正久秀はいろいろあって今は織田信長に従っています。戦国一の曲者といってもいいくらい腹黒く図太い性格をしていて、元々は三好家の配下でしたが世渡りを上手くやって勢いのある織田信長につきました。織田方では活躍著しく朝倉攻めでは功を立て大和を支配下にしました。大和には争ってきた筒井順慶がいますが信長に言われては仕方なく今のところ松永の下についています。だが、松永はそれをよくわかっているので監視の目を緩めないようにしています。


 松永は足利義昭や明智十兵衛とも懇意にしています。この事が信長につく事に繋がりました。松永は前回の大名集結の後、義昭が毛利に行った時にいずれ毛利と織田の戦になると予想していて密かに準備をしていました。だが、荒木の裏切りは想定外でした。


「申し上げます。荒木村重様の部隊が本願寺へ向かって進んでおります」


「なんだと。そのような連絡は無かったが。至急十兵衛に聞いて参れ」


「はっ!」


 どう言う事だ?松永はすぐに兵を三百名集めて本願寺へ向かいます。残りの兵は後からおいかけてくるように指示をして。そしてその光景を筒井順慶の間者が見ていました。

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