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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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大阪城

「ここ掘れさっさ、ここ掘れさっさ! ほれそっちはさっさと運ばんか!」


 声を出しているのは佐々成政です。ここは石山本願寺跡地、本願寺との戦が終わり、織田信長はここに城を建てる事にしました。この歴史では安土城建設イベントはありません。歴史はすでに推測不可能なほどに変わっています。信長は以前から岐阜城では都から遠いため近くに天下無双の城を建てたいと考えていて、自らが攻めあぐんだこの地に城を建てる事にしたのです。


 普請奉行には佐々成政が任命され自らが工事現場で働いています。先頭を切って声を出し、工事に没頭しているように見えますが、実は現場へ逃げてきているのです。そう、予算が無いのです。


 毛利による堺の封鎖で税収も減っています。朝倉攻め、本願寺攻めでかかった戦費は膨大で織田家の懐を狭くしていました。そこにこの城普請です。成政は任命された時には飛び上がって喜びましたが、実態を知るに連れて現実逃避をするようになっていきます。佐々成政はたまに城を見にくる明智十兵衛に相談を持ちかけています。


「明智殿、なんとかなりませんか?上様はなんと仰せられで?」


「上様には申し出てはおりません。上様は右大臣にして尾張、美濃、近江、山城、摂津、越前を治める大大名です。金がないなどと申せばそんなはずはないと言われるだけです」


「それではなぜ金がないのです。もっと城への予算を増やしていただけないのですか?」


「帳簿に細工がしてありました。あるはずの三十万両がどこかへ消えているのです」


「じゅ、三十万両!!!」


 実際、明智十兵衛も困っていました。織田家の金は岐阜城に集められ管理されている事になっていました。ところが、実際に今数えてみると合わないのです。


「5年前までは帳簿とピタリとあっていたようです。そこからがどうも細工がされているようで」


「明智殿。この事は上様へは?」


 十兵衛は首を横に振りました。そして無茶を言うな、という目で成政を見ます。十兵衛は信長に近い位置にいるおかげで、その怒りを身体で受けています。暴力という形で。

 それを何度か見ている佐々成政は一瞬そうか、と思いながらも、


「明智殿の気苦労はお察しいたす。し、しかしこれは放ってはおけぬ問題」


「いかにも。ですがそれがしには………、なぜそうなったかもわからないまま報告をすればどんなお咎めを食らう事か。まるでそれがしが企んだごとく叱責を受けるのが必定」


「わかり申した。三十万両は確かに大金ですが、織田家にはもっと金があるはず。それを城普請に回していただきたい」


 成政の申し出はもっともです。十兵衛自身もいくら戦が続いたからといって織田家は領地拡大による収入増や倒した大名が蓄えていた金銀の奪取、堺の税金も潤沢で蓄えはもっとあったと思っています。十兵衛は困りながら答えます。


「それが、度重なる戦においても金勘定が合わずそちらに回す分がないのです」


「このような大きな城の普請、金がかかるのは当たり前でござる。それがしは出来るだけの金を掻き集め、親父殿や利家にも借金をし、それでもまだ足らないのでござる。上様からの支援金の見積が間違っているのではないですか?」


 ここのところ勘定を預かっていたのは荒木村重でした。摂津一国を治める織田家の重臣です。


「明智殿、まさか荒木殿が?」


「証拠がないのです。荒木殿はそれがしと違い上様の信頼が厚いお方。推測だけではどうしようもないのです」


 というわけで仕方なく城の工事現場で汗を流す佐々成政なのでした。




 城を作る木材や石材は陸路だけでなく水路も使って運ばれています。その船が連続で沈められる事件をきっかけに徐々に戦線が拡大していきます。船を沈めているのは毛利水軍でした。武田から入手した戦艦富士を毛利水軍は真面目に解析します。よくわからない機構もありましたが、参考にした小型船を量産し大阪湾に展開させています。戦艦富士にはスクリューが付いていました。それを人力で回すのですが手ではなく、足で回す機構です。手漕ぎと併用する事で機動力が上がっています。瀬戸内海の小島に基点を作りそこから順次交替で織田の輸送船を沈めていきました。戦艦富士も元今川の興津水軍だった者達を教師として操舵方法を学び、なんとか動かせるようになっています。


 船が沈められている事に気付いた織田水軍は生き残っていた鉄甲船を使い毛利の小型船の排除を試みますが、どこからか戦艦富士が現れ。大砲攻撃で逆に排除されてしまいました。海上は毛利軍の領域となっています。


 織田信長は、岐阜城へ戻っていました。武田は約定を守り尾張へは出てきていません。上杉謙信が危篤という情報も入っており、向こうも大変そうです。やっと、本願寺の戦が終わりました。越前には丹波長秀を置いて残朝倉勢力の殲滅を行わさせています。伊勢には滝川一益をおいて水軍の強化をさせています。山城は明智、摂津には荒木を置いています。毛利の様子は荒木に調べさせていました。毛利に合戦の用意なしとのことでしたので、尾張を治める柴田勝家に来年の毛利攻めを命じそれと並行して大阪城の建築を始めたのです。


 信長の元に早馬がやってきました。


「申し上げます。荒木村重謀反、松永弾正様抵抗するもお討ち死にしてございます」

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― 新着の感想 ―
[一言] あっさり戦国の梟雄が死んだ(゜o゜;;
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