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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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久しぶり

 北条氏邦はなぜ自分が逃げているのかさえ分かりません。ただ部下の言う通りひたすら逃げました。途中、山道で矢を打ちかけられたり、崖が崩れたり、川を渡ろうとしたら橋が落ちていたりと散々で厩橋に辿り着いたときには氏邦と数名しか残っていませんでした。


 不思議と武田はあれから何も言ってきませんし仕掛けてもきません。上杉は景勝が継いで景虎は死んだそうです。北条は武田と上杉を敵に回したのですがあれ以降戦にはなっていません。


 大道寺政繁と用土重連は2人仲良く戻ってきました。2人とも命からがら逃げてきた。それだけです、としか言わない。



 上杉景勝は家の中を纏めるのに時間がかかっていました。実際、北条どころではなく自分の事で精一杯でした。その中で直江兼続は自分の地位を着実に伸ばしていました。では、勝頼はというと三河に来ていました。織田と毛利の戦いに決着がついたのです。


 三河へ向かう道すがら久し振りに諏訪大社に寄りました。思えばここで三雄に出会い、教科書という知識の詰まった教本を写したところから勝頼の歴史は変わりました。信玄は労咳を克服してまだ生きています。天下を取るはずの徳川家康はもうこの世にいません。そういえば定期ミーティングの日です。ここのところ忙しくてずっとすっぽかしてました。いないよなあと思ったら、


「やっと来たな!」


 すっかり老け込んだ三雄が待っていました。


「ご無沙汰しております、三雄殿。まさかいらっしゃるとは思いませんでした」


「もう定年退職したから暇なんだ。おかげで色々と、ああ、定年退職ってのはだ、そっちでいう隠居だな」


 確かにしばらく会わないうちに老け込んだように見える。だが、目は活き活きしている。


「謙信が死にました」


「そうか、脳卒中だったよな」


「いえ、暗殺です」


「ホワッ?」


 勝頼は今までの話を説明しました。突然北条氏政が手を切ってきた事も。


「結局御舘の乱は起きてるのか。完全には違わないところがなんとも面白い。その直江兼続だけど、敵にしない方がいいぞ。真田兄弟並みの実力者だ」


「それほどですか?今回信綱が面白い事を実施していました。あの兄弟は見てて飽きないですよ」


「さて、報告と気になる事があるのだがどっちがいい?」








 続きは後で。


 さて、勝頼は西に関与せず東に注力していました。その間に織田と毛利の戦いは本願寺を巻き込み長期化していました。勝頼は三河の武藤喜兵衛に国境を固めさせ、織田、毛利双方の兵に忍びを紛れ込ませ情報収集を行なっています。


 海戦により兵糧の補給ができなくなった本願寺はそれでも長く抵抗しましたがついに力尽きました。明智十兵衛と松永弾正の説得により本願寺顕如は九度山に隠居となります。秀吉は播磨の軍勢を本願寺へ向けましたが、宿敵とも言える柴田勝家、前田利家、佐々成政の軍に行く手を阻まれ本願寺を助ける事ができませんでした。


「猿め、追い出されたのを恨んで敵に寝返るとは許せん。昔からクソ憎たらしい奴であったが息の根を止めてくれるわ」


「親父殿。気持ちはわかりますが、我らのお役目は秀吉の足止めです。ここは我慢を!」


「利家、そんな事わかっておるわい。言ってみただけだ。今回はこれで勘弁してやるわい。わっはっは」


 勝家は猿を足止めして満足のようです。利家は呆れながらも警戒を緩めません。敵は秀吉、油断はできないのです。





「官兵衛、まあこんなとこだきゃーも」


「そうだな。本願寺はまあ頑張った。捨て駒としては十分だろう」


「明智と松永、丹羽に滝川、結構消耗しただろう。これで次の戦いはこっちが有利になる」


 秀吉の方は余裕です。秀吉は織田軍の勢力を弱めるのに本願寺を使ったのです。最初から本願寺を助ける気などありませんが、今回出陣したのには目的がありました。


「親父殿を調子にのせておかねばな。あの単細胞は簡単よ。で利家はどうだ?」


「なかなか首を振らん。やっぱり殿が行かねば無理だろう。旧知の仲なんだろう?」


「相変わらず頭の固い奴だ。あいつの性格だと信長が生きている間は厳しいか。まあ、説得は続けてくれ」


 秀吉は柴田勝家を調子に乗せる事、前田利家に調略の矢を放つ事を目的としていましたで。本願寺はよく織田軍を削ってくれたのでもうここには用事はないと播磨に引き上げようとしていますが柴田軍は追ってはきません。足止めが役目ですので当然ですが、少し拍子抜けです。追ってきたら少し痛い目にあわせてやろうかと思っていたのですが、佐々成政や前田利家も一緒にいるので簡単には動かないのでしょう。一応備えに軍を残して秀吉は黒田官兵衛と戻り始めました。


 途中の村で宿泊することになりました。秀吉は村長に若い村娘を差し出すように頼んでいます。


「殿、いい加減にしたらどうだ。どこへ行っても女子ばかり。そのうち一物を斬られるぞ」


「おお、怖い。なんて事を言うんだ官兵衛。そんな事されたら痛いではないか?」


「………、もういい、好きにしろ」


 官兵衛は呆れて別の家に行きました。付き合っていられません。そうはいっても警戒を厳重にしています。


 それを裏山から見張っている者がいました。そう、久々に登場のお市です。

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