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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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霧の後

 氏邦は霧が晴れるのを待つ事にしました。。何が起きたのかさえ分かりません。城からかなり後退したところにとりあえず本陣を敷いて兵の報告を聞いています。


「火はどこから出たのだ?持っていった油はどうなった?」


「突然地面と兵が燃え始めたそうでございます。我らの持っていった油にも火がついて爆発したとの事」


「誰か兵が油に火をつけたのではないか!武田の間者が紛れ込んでいたか?」


「今回、先鋒は用土殿の部隊です。そのような事はないかと」


 今回の先鋒は沼田城主の用土重連が務めていた。用土隊は半数が死傷し、用土自身も火傷を負っているが軽傷で済んだ。軽傷の用土が呼び出され、


「殿。先鋒を務められず申し訳ありません」


「何があったのだ?沼田の衆は信頼しておった。故に先鋒を任せたのだ」


 氏邦は怪我人を責め立てます。これが後に響くとはまだ誰も気づいていません。


「空から油が降ってまいりました」


「???、雨ではないのか?空から油が降るなど聞いた事がない。そのような戯言を聞きたくて呼んだのではないぞ、真実を申せ」


「真実を申しておりまする。その後に火が降ってまいりました。それが兵に燃え移り、火矢用に運んでいた油に移り爆発したのです」


「それで逃げてきたというのか?」


「必死に立て直そうといたしましたが、その後に城の方から石のようなものが飛んで来て兵が立て続けにやられました。堪える事が出来ず引き上げるしかありませんでした」


「………、 もうよい、下がれ」


 氏邦は考えています。嘘を言っているようには思えません。空からとは城からの攻撃と見るべきか?長距離を飛ぶ矢を使って空から油を撒いた?この霧の中を我らの位置を特定して?


「そんな事が出来るわけがない。霧が晴れるのを待って再び城攻めだ。用意しろ!」







 海津城では、


「北条は霧の中を後退、霧が晴れるのを待つようです」


「もうじきこの霧は晴れる。まさかまたこの霧が戦局を分ける事になろうとは……… 」


 真田の報告に馬場が感無量になっています。馬場は上杉との戦いでは山から降りれずに苦い思いをしています。全てはこの霧の読み違いから始まったのです。


「民部よ、その事はもういい。お前が山から駆けつけたお陰で勝てたのだ。それだけだ。勝頼、霧が晴れたらどうする?」


 信玄は馬場ほど気にしていませんでした。川中島の戦いは確かに大きな戦でしたが、信玄にとっては数ある戦の中の1つに過ぎないのです。


「父上、穴山を春日山へ行かせました。ここで氏邦を足止めしておけば景勝に有利になります」


「氏邦はどうする?殺すのか?」


「氏政の考えがわかりません。ここで氏邦を殺せばもう戻れません」


 勝頼の考えはこうだ。景勝が勝った場合、景虎は腹を切るしかない。小田原へ逃げるのは無理だろう、逃す気もないし。その場合、上杉と北条は切れる。氏邦をここで殺せば北条と武田も全面戦争は大袈裟だが関係の復旧は難しい。


 氏邦を生かして返せばどうなるか?上杉、武田とは切れはするが休戦はできるかもしれません。北条と戦になれば武田も消耗します。戦になれば勝てるでしょう。ですが急激に領地を拡大してきた勝頼には人、という悩みがあります。北条に勝ったとして誰にそこを治めさせるか、です。国衆をまとめて仕切る事ができるものでなければなりません。


「北条氏政がなぜここまで何も言ってこないのか?それなのに氏邦は暴走しています。なんかしっくりこないのです」


 真田が気になる事を話し出します。


「お屋形様、情報では北条は氏邦以外はあまり動いていないようです。駿河へは仕掛けてきていませんし兵も動いていません。下野衆の動きもなく春日山への支援も表立っては行なっていません」


「そんなところだろう。実際、小田原から春日山へ兵を出すには遠すぎる。下野の衆も元々は上杉の配下だったしこの戦に首を突っ込みたくはないだろう。また勝った方へつけばいいんだし」


「では足止めという事でよろしいですか?」


「真田?どうした、随分とやる気だな」


「作戦とはいえ、北条軍が我が領地を通ってここまできているのです。氏邦に真田の領地を簡単に通れると思われては真田の名がすたります」


「上田でいたぶるという事か?」


「砥石城で戦う事にはなりますまい。帰り道はまあ色々あるでしょうがここでもいたぶって見せまする。指揮をお任せいただいてよろしいでしょうか?」


 勝頼は信玄と馬場の顔を見るとなんか呆れている。好きにさせたらって顔だ。


「いいだろう。馬場、真田の指揮に従ってくれ。ゼットと徳達はどうする?」


「お借りします」


 真田はすでに昨夜から兵を妻女山へ移動させていました。父、真田幸隆と同じように。


 戦は真田に任せて勝頼は信玄と奥の部屋にこもりました。議題は北条の取り扱いです。氏政が何を考え何をしようとしているのかを想定し合うのです。






 やっと霧が晴れ始めました。氏邦は戦場を改めて見渡します。正面に海津城が見えます。


「邪魔な城だ。いいところに城を作る、さすがは武田信玄。そう、強いのは信玄。勝頼ではない。まずは城の近くへ陣を移動する」


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