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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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秀吉との関係

 その後、氏政と秀吉はたまに会って遊ぶ間柄になりました。氏政は最初身分を隠していましたが、いつも護衛がついていて、氏政様と呼ぶのでバレバレです。氏政の方から、実は俺は、と話すと、


「そりゃ驚いた。いいとこの人だとは思っとったがお殿様とは。こりゃ仲良くしといて損はねえな。いや冗談だ。氏政は氏政だよな。実はな、俺も殿様なんだ」


「??? 、いや、そうは見えんぞ」


 どう見ても町の子供です。それもどちらかというと汚い系の。顔にも気品はありません。


「俺はいずれ殿様になる男だ。だから仲良くしていて損はにゃーだら」


 どこの方言だ、それ?


 何度も会い、城の話、街の話、それに他の地域の武将の話をしました。なぜか秀吉は武田や今川の話に詳しいのです。それに秀吉の話は面白く氏政はこの男を友人として大事にしたいと思うようになりました。そんなある時、


「駿河の羽振りがいいみたいだから、駿河へ引っ越すかもしれない」


「小田原から居なくなる?何でだ、ずっといれば良いではないか?」


「俺は氏政と違って自由だし、それにここに居ても殿様にはなれないだろう」


 最初からなれないだろうに。


「俺が元服したらお前を雇う。色々と力になってほしい」


「お前の下は嫌だぞ。それに俺が殿様になるにはお前を倒すことになる。それは嫌だ。他所の土地で成り上がってみせる」


 何を言っているのだろう。いくら戦国だからとはいえ、町民が殿様になれるはずもない。家臣は家臣、氏政だって長男が健在なら北条家を継ぐなんて話にはなってなくただの一城主、それでも殿様にはなれるが、それは家柄があっての事。殿様になるだなんて口で言うのは簡単だがそんな事ができるわけもない。何のコネもない秀吉では野垂れ死ぬだけだ。それに今の話からすると城主を狙っているわけではなさそうだ。もっと上?氏政は秀吉のために何かしてあげたかった。命の恩人だし、友人なのだ、真底そう思って説得を続けた。


「北条家に仕えろ、悪いようにはしない」


「氏政の気持ちは嬉しいがそれは俺が求めている人生ではない。一番にならないと虐められるんだ」


「??? 」


 秀吉には継父に虐待された記憶が強く残っています。それは秀吉の深層心理に深く染み込んでいて、人の上に立たねばならないという秀吉の下克上精神の源になっています。誰かの下では、力が弱くてはダメなのです。てっぺんに立たないと。もちろんその道が険しい事は秀吉にもわかっています。それには自分の力だけでは不可能と言ってもいいでしょう。耐えて耐えて人を利用して、そして機会を待ち、逃さず。耐えるのは虐待で慣れています。そして甲賀で学んだ事、自分の力だけでは大したことはできないのです。使うのは人、他人に頑張ってもらえばいい。他人を上手に使う事、秀吉はここで氏政を利用する事も考えましたが甲賀からは駿河に行くようにと言われています。


 そうです。北条氏政に近づいたのは北条家の情報を得るため、氏政との出会いも秀吉の芝居です。最初から仕組まれた出会いでした。甲賀は秀吉に小田原城下に住み着いて情報を得ることを指示していたのですが、秀吉はそれでは面白くありません。秀吉は甲賀にただ使われる気は最初からありませんでした。秀吉は独自の判断で氏政に近づく事を思いつき、実行に移したのです。結果としてそれは甲賀に有益な情報をもたらす事になり、お咎めはありませんでした。逆に甲賀も秀吉をどう使うか様子見になりました。秀吉は甲賀では元々特別待遇でしたが、さらに好きにやらせてみようという判断です。





 その後、氏政は忙しくなり街に出る余裕は無くなっていきます。秀吉もそうなった事を機に小田原を去ることにしました。


「秀吉。お前と知り合えて良かった。助けて貰った礼もまだ返せてない。今の俺には大したことはできぬがこれを貰ってくれぬか?」


 氏政が差し出したのは印籠でした。裏に氏政、秀吉と彫ってあります。


「ほう、これはいいな。大事に使わせてもらうよ。氏政はいずれ北条家を継ぐのだろう。これでお別れだな。最後に頼みがあるのだが」


「なんだ、俺に出来る事ならなんでもするぞ」


「次に俺から連絡する時、必ず願いを聞いてくれ。俗に言う一生に一度の願いだ」


 そう言って秀吉は小田原を去っていきました。





 北条氏政はそれから武田信玄の娘を嫁兼人質としてもらい、北条家を継ぎました。毎日が忙しく秀吉という子供がいた事はすっかり忘れています。武田、上杉と真・三国同盟を結び関東は安定しつつあります。そんな時、父である北条氏康が死に大名集結のイベントには参加できませんでした。氏政は天下の北条家が将軍の呼び出しに自分だけ参加できない事が悔しくて仕方ありません。


 自分だけ仲間外れになったかのようです。大名集結の結末は同盟国である武田、上杉から聞けましたがその場にいなかったという事実は変わりません。そして織田と毛利の戦が本願寺を挟んで間接的に始まった頃、ある使者が氏政を訪れます。その男は木下秀吉の使いと言いました。


「木下秀吉?織田から毛利へ移った木下秀吉か。話す事はないな、帰ってもらえ」


 氏政はその使者を帰しました。ところが翌日、その使者は再び現れ、これを見てから返事をくれといっています。それはどこかで見た事のある気がする物でした。


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