表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

136/471

本音

 勝頼は体裁を取るのをやめました。こいつとは腹を割って話した方がいいと思ったのです。


「余が目指すものだと!生意気な男だ。十兵衛、外せ!」


「しかしそれでは」


「去ね!この馬鹿者が!」


 信長は座っている横に置いてあった肘当てを十兵衛に向かって投げつけます。なるほど、こうやって部下を威圧するのか。俺にはできないやり方だ。十兵衛は青い顔をして部屋を出て行きました。そして部屋を出るなり庭に向かって目配せをして去っていきます。






「あの十兵衛という男、手に入れたようだな。精々寝首を取られぬよう用心する事だ」


「あんなのでも使い道はあるのだ。公家の相手、くだらない仕来りにも詳しい。余は延暦寺を攻める、逆らうのなら本願寺もだ。だがそれは神や仏をないがしろにしているわけではない。帝は敬うし神仏も敬う」


「延暦寺の僧は極悪非道な振る舞いをしていると聞く。それを正すのは間違ってはいない」


「ほう、意見が合うな。正直に言おう。余は天下を取る。それには勝頼、お前が邪魔だ。どうやったかは知らんがあの上杉謙信や北条ともうまくやっているようだしなかなかの男だと思っている」


「回りくどいな、それで?」


「手を組まんか?それが嫌なら3年、いや2年西には来ないでくれ。今、お前の相手をしていては天下が取れん」


「正直だな、どうした急に?」


「配下の前では弱いところは見せん。俺はそうやってのし上がってきたんだ。俺とお前が潰し合えば、戦国は長引く。それに昨日見た中では伊達、島津が手強そうだがあいつらには地の利がない。そうなると」


「毛利だな。秀吉が出てくるのではないか?」


「猿か?あやつは不思議な男だ。行き過ぎた権力を持たせると自滅するであろうが。毛利輝元ではあいつに喰われるぞ。そうなるとまずい」


「秀吉が怖いのか?」


「たわけた事を言う。あやつは織田の事をよく知っている。知恵も回る、特に悪知恵がだ。最悪安芸から西は全部あいつの物になるかもしれん。猿が怖いわけではないが敵に回せば手強いのは確かだ」


「なぜ殺さずに放免した?浅井の件で放逐したのであろう?」


「見たかのように言うな。間者でも忍ばせていたか?」


「おや、俺はあそこにいたんだ。それでお市が付いてきた。間者といえば、十兵衛の間者が床下にいるぞ」


 信長はそれを聞くなり槍を持って床を突き刺します。床下から庭の方へ逃げる音がしています。信長は槍を諦め、襖を開けますが潜り込んだ者は出てきません。


「どうやら逃げるためのなにかが用意されているようだな。ここを建てた時にあったのか?」


「図面にはなかったが。そうか、十兵衛め」


「さっき十兵衛が出て行く時に何か合図をしたように見えた。恐らくは十兵衛の手のものだが秀吉の可能性もある」


「そんなに俺は敵が多いのか?身内だぞ」


「お前のやり方だと部下は反発するだろうな。いつか仕返しをと考える」


 勝頼はいつのまにか信長をお前呼ばわりしています。


「余は織田家の棟梁だし、帝から右大臣の内示も受けている。余に従わぬ者は罰するだけだ」


 やはり相入れないのか?だがそれでは治らん。


「信長殿。天下を取ってどうする?それが分からねば決められん」


「鉄砲を持ち込んだのは異国民だ。最近では南蛮から色々な物がこの日ノ本へ入ってくる。どれも日ノ本では作った事のないものばかりだ。つまり日ノ本が力をつけなければ異国に蹂躙されることもあり得る。日ノ本の民同士で争っている場合ではないのだ。それには武を持って誰かが制せねばならん」


「それがお前だと言うのか?」


「正直に言おう。最初は足利将軍が帝をお支えしていけばいいと思っておった。俺はそれを助けようと考えた。ところがそれでは駄目だと気づいたのだ。ならばどうする?俺がやるしかあるまい」


「その考えはいいと思う。だが、お前のやり方では部下がまとまらん。現に秀吉は裏切り明智もお前を慕っているとは思えん。利用価値があると考えているだけだ。他の重臣達は知らんがな」


「重臣達は皆、織田家の相続争いから苦楽を共にしてきた。あいつらは裏切らんよ」


「ならいいがな。信長殿。俺は戦は好まん。自国の民が穏やかに、働き、食べ、寝て、子供を育てる。要は豊かな国にしたいのだ。不埒な輩を取り締まるために奉行所のような物は必要であろうが、無闇に誰かを攻撃するための武器はいらないと考えていた。だがそれは今までの話だ。信長殿の話を聞いて考えが変わった。異国に攻められる事のない武力は必要という事だ」


「お前の言う事は偽善だ。仮に実現したとしてもお前の子供の代で崩れるぞ。足利幕府が衰退したように、武田勝頼亡き後は衰退の一途だ。そして他国に喰われてしまう」


 勝頼は以前三雄が言っていた事を思い出しました。三雄の時代まで約400年、戦が絶えた事は無く、歴史上いっときも無かったと。


「信長殿。半年後戦を始めると言っておったな。とりあえず、仮の同盟を結ぼう。俺はしばらくは西を攻めない。東を安定させる事に勤めるとしよう」


「そうか。尾張、美濃へは入ってくるなよ」


「現状のままにする。それでお市なんだが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ