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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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決着

 勝頼は向かってくる敵に球のような物体を投げました。そう、川中島で諏訪隊が使った桜花散撃、さっきバズーカ砲もどきで発射した弾より小さめな小型拡散手榴弾の改良版です。これも爆発と同時にマキビシを高速でばら撒きます。


 敵は負傷するだけでなく、地面に撒き散らかされたマキビシを踏んでしまい飛び上がって痛がっています。勝頼は桜花散撃を投げた後、槍を取り敵を刺し、斬り、倒していきます。勝頼の槍は先端から30cmのところに翼が生えたような逆刃が付いていて、突きでよけられたあと、槍を引くときに相手の首を斬る特殊な形状をしています。勝頼は徳にいいところを見せようと、つい飛び出してしまいました。ここのところ活躍していなかったのでうずうずしていたのです。それを見て焦ったゼットの面々は勝頼に敵兵が集中しすぎないように屋根の上からもクロスボウの援護攻撃をひたすら続けています。勝頼は桜花散撃を投げ、突き、斬りを繰り返しています。敵兵が50人まで減った頃、保持する桜花散撃が無くなりました。


「これはまずい」


勝頼は慌てて寺の中へ引いていきます。


 勝頼達からの攻撃が弱まったと感じた蜂須賀小六は、絶好機と自らが先頭に立って寺の中へ突っ込んでいきました。そこには勝頼の姿はなく、女が4人いて何か筒のような物を構えてこちらへ向けています。周囲には配下たちがわんさか地面に転がって呻いています。あちこちから血を流しながら動けないようです。


「こ、これは一体何があったのだ?」




 寺の中に逃げ込んで隠してあった武器をとった勝頼は庭を見て驚きます。


「あ、あれは! おい、徳!それをいつの間に用意したんだ、っておい!」


 徳は勝頼の声を聞くより早く、


「行くわよ!私達〜、今萌える美女、火炎乱舞!」


 その声を聞いたゆづはスイッチを入れました。相変わらず訳のわからないセリフですが、持った筒の先端は蜂須賀小六に向いています。その筒の先端から炎が噴き出しました。これは圧縮空気と相良油田から汲み上げたガソリンを使った火炎放射器なのです。炎は蜂須賀小六を直撃しました。


「ブオ、………………」


 何か言いかけた蜂須賀小六はそのまま焼死、周りの兵も燃えていきます。


「おい、徳。それを止めろ!寺まで燃えちまうぞ」


 勝頼は、寺へ入ってきた武士の顔を思い出しながら、さっきのって蜂須賀小六だったよな。てことは秀吉が俺を狙ったのか?聞き出す前に殺してどうすんだ全く、と考えながら炎を止めるように命令しました。ところが炎が止まりません。どうやら故障のようです。結局ガソリンタンクが空になるまで炎を撒き散らし、寺の門まで燃えだしました。ガソリンはとてもよく燃えますので大惨事になってしまいます。


「これはいかん。お前ら、裏から逃げるぞ!父上、近衛様達をお連れして裏手からお逃げください。錠、お前達は火を消せ!」


 皆が寺の裏手から避難した後、錠達ゼットの面々は吾郎の連絡で駆けつけた旗本達と火を消す作業に追われます。結局、本能寺は全焼してしまいましたが周囲への被害はゼットのメンバーと旗本の活躍で食い止める事ができました。勝頼は住職に宿を用意し、寺の再建築を約束してその場を収めました。さて、問題は襲撃者です。


「またもや秀吉が噛んでいるのか。だが誰を狙った?」


「勝頼殿、なぜ秀吉なのだ?」


「近衛様。今回の襲撃は野盗に見せかけてはいますが木下秀吉の部下、蜂須賀小六が指揮しておりました。残念ながら燃えてしまい証拠はなくなってしまいましたが、それがしがしっかりと顔を確認しております」


「そうか。先ほど信玄殿がこれは勝頼殿を狙ったものだと言っておった」


「そうなのですか、父上?」


「勝頼。お前は目立ちすぎた。帰り道は用心しなければならん」


 信玄はそれだけ言って宿へ向かいました。だいぶお疲れのようです。どうやら信玄は敵は秀吉だけではないと言いたかったようです。勝頼は徳を叱りつけたあと、近衛前久から秀吉の居そうなところを聞きだしました。お市が向かった先、そこに駆けつけたいところではありますが、今の勝頼には行動の自由はありません。まずは、と京都奉行所へ出向きました。流石に火事の報告はしないとなのです。奉行所には明智十兵衛が待っていました。


「武田様。武田様が本能寺を燃やしたと報告が上がっておりますが、真でしょうか?」


「十兵衛殿。物事には筋道というものがある。断片的に捉えればその通りだが、前後の経緯を無視した表現はいかがなものであろうか?そもそもこの武田勝頼だけでなく近衛前久様、菊亭晴季様まで襲った敵を撃退するときにたまたま火が出たのだ。なんでそのような言われ方をされねばならんのだ?」


「なぜ火が出たのですか?」


「分からん。敵が火矢でも放ったのではないか?そもそもお主達奉行所がありながら300人もの野盗の群れを放置していた罪は重いぞ!お主の怠慢ではないのか?」


「それは面目ありませぬ。確かにあのような野盗に気が付かなかったのは奉行所の問題です」


「住職には宿を用意したし、寺の復興も約束した。それより野盗の中に知った顔がおった。確か蜂須賀小六という輩だ」


「なんですと。そいつは木下秀吉の配下ですぞ。間違いないのですか?」


「余がしかと顔を見たので間違いはない。秀吉はどこだ?連れて参れ」


「それが、木下秀吉は信長様に追い出されまして今は毛利の部下になったと聞いております」


「では武田は毛利と戦になるな」


「お待ち下さい。信長様と一度お話をしていただけませんか?」




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