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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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本能寺

 朝倉義景はずっと無言で、座ったところから動いていません。信玄は義景と会うのは初めてですが手紙のやり取りはあったので一応挨拶をしておこうと、


「朝倉殿。武田信玄でござる」


「何を呑気な!そこの謙信殿といい、すでに隣国。我が領地に攻め入る気であろう」


 上杉は加賀まで、武田は飛騨まで進出しています。もう越前へ攻め入るのも時間の問題でした。謙信は笑いながら


「そなたが呑気にしておったので加賀は簡単に手に入った」


 と嫌味を言います。


「織田が攻めて来なければ上杉など屁でもないわ!」


「そちらから来なければ攻める気はなかったが、勝頼、どうだ?この生意気な男に身の程を知らせてやろう」


「上杉殿。落ち着いてください。確かに朝倉殿の態度には問題はありますが、父上ともやり取りがあった様子。ここは冷静に話をしませんか?」


「信玄、朝倉は攻めんのか?」


 謙信は直球を投げてきました。信玄は、


「決めるのは勝頼だ。わしではない。だが朝倉より先に手を打たねばならぬ事が多すぎる。やるなら上杉だけでやってくれ」


「信玄よ。勝頼とは同盟を結んだがお前とはいつか決着をつけねばと思っている」


「ほう、どうやって決着をつける。決闘でもするか?」


「面白い。槍でどうだ?」


「つまらん、銃で打ち合うのはどうだ?」


「銃は武田の方が性能が良さそうではないか?」


「そんなケチくさい事はせん。同じ銃を使って同じ距離から撃ち合うのだ」


「面白い!」


「いつだ?」


「そうだな。場所はやっぱりあそこだ、川中島。戻って準備す………… 」


「だまらっしゃい!」


 勝頼が切れました。


「大人しく聞いておれば全く。もし父上が勝って上杉殿が死んだら家督争いどころか、結託して武田と戦になります。と言ってわざと負ける事も出来ないでしょう。つまり武田にとって損にしかなりません。やるなら腕相撲とかあっち向いてほい、位にして下さい」


『なんだ、そのあっち向いてほい、というのは?』


 2人がハモって聞いてきました。それは後でおしえることにして、まずは朝倉義景です。


「朝倉殿。これからどうなさるおつもりですか?織田につくのか、戦になるのか?それとも上杉殿と戦いますか?」


「織田にはつかん。わしの意地が許さん。上杉殿に対しては攻めて来なければこちらからは攻めん。勝頼殿であったな。頼みがある」


「何でしょう?」


「朝倉は織田と戦になるであろう。その際に邪魔をしないでいただきたい。武田、上杉を気にしていては織田には勝てない」


「いいでしょう。上杉殿は東北の応援に行かれるようですし、武田はようやく三河が落ち着いたところです。北条の動きも気になりますし、織田信長が言った半年は実はありがたいのです」


 その間に新兵器も使いこなせるようになるはずだ。


「勝頼殿はどうされるのだ?織田を倒さねば天下は取れん」


「朝倉殿は天下は狙わないのですか?」


「今回の大名集結で、世の中は広いと痛感した。わしは天下の器ではなさそうだ。だがな、わしは織田信長だけは許さん。本願寺顕如、比叡山延暦寺と組み織田を攻める。そして勝ってみせる。それでだ、勝頼殿の器量、なかなかのものとお見受けした。わしと組まんか?」


「織田攻めに加われと?」


「そうだ。わしとお主が組めば織田など何でもあるまい」


「少し時間を下さい。情報が足りません。近いうちにお返事いたしましょう」





 朝倉が帰った後、あっち向いてほいで信玄が勝ったそうな。




 ホクホク顔の信玄と勝頼が二条御所を出て歩いて行くとなぜか信虎が待っていた。


「どうしたのです。こんなところで、それでお市は?」


 勝頼が聞くと信虎は、


「勝頼。すまん、お市がいなくなった。この手紙がわし宛に置いてあった」


「見てもよろしいですか?」


 信虎が頷いたので手紙を読みはじめる。秀吉の居場所がわかったので出て行ったようだ。自分の手でどうしても仕留めるというのか?


「父上。秀吉の居場所ですが」


「ああ、近衛前久なら知っておるかもしれん」




 翌日、足利義昭は二条御所を抜け出して、細川藤孝とともに毛利の一向に合流しました。そのまま安芸へと旅立っていきます。織田信長にはっきりと言われたのです、公方は役立たずであると。ならば義昭を慕う毛利につき、西から幕府を復興してやる。織田と毛利の戦に必ずなると信じて。結局義昭は徳には逢えずに旅に出ました。女に構っている場合では無くなってしまいました。徳はせっかく練習したのにと不機嫌でしたが、お市の話を聞いてからは大人しくなっています。


「いっちゃんはどこに?」


「昨日までは京にいた。今はわからんが西の方だと思う」


「何故ですか?」


「勘だ。というのは半分冗談だが、東は俺の領地だ。織田を追い出された秀吉が俺を頼るとは思えんし、西の方が海外との交流も活発だ。あの性格からすると毛利か長宗我部か?信長を倒して天下を取る事を考えているかもしれんし」


「これから会う人に聞けばわかるのですか?」


「わからんが何かきっかけは得られると思う」


「ヒントってやつね!」


 また横文字か。徳の元気がないと感じた信玄は、


「徳、ほーれ行くぞ、あっち向いてほい!」


「甘いです。あっち向いてほい!」


「しまった。負けた。勝頼、お前の嫁は強いな。謙信に勝ったわしに勝つとは、天下人の器かもしれん」


「はいはい、ふざけてないで。父上もありがとうございます。徳、ちゃんとせいよ。お市はきっと見つかるからもう気にするな」



 信玄、勝頼、お供に来ている信友、徳達親衛隊、少し離れてゼットの面々はある寺の前で立ち止まった。勝頼はしみじみと呟いた。


「ここがあの本能寺か」

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