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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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 そうなのです。北条の葬儀に行っていては大名集結に間に合いません。北条を軽く見ると後で痛い目に合いそうです。謙信はどうするのだろうと、と考えましたがあそこには景虎がいました。十分に義理が立ちます。


 父上には上洛してもらいたい。俺も居なきゃまずいだろうし、徳とお市も連れていかないといけないようで厄介な案件になっています。


「父上。実は公方様が京へ徳を連れてこいと。それと織田信長がお市を連れてこいと言ってきております。織田にお市の居場所がわかってしまいました」


「いつまでも隠せるものでもあるまい。それと公方様は徳にご執心だったそうではないか。単に会いたいだけであろう。歌、であったか。あれを大名の前で披露したらどうだ?」


「父上。お戯れを。ただでさえ頭が痛いところなのですから」


「戯れなどではないぞ。余は家督を譲ってからある意味気楽になったのだ。そうすると不思議なもので今まで見えていなかった事が見えるようになった。それに公方様はそれをご所望されているとは思わないか?」


 癒し、か。義昭はもどかしいのであろう。将軍なのに力がない、何をしたくても思うようにならない。大名集結で義昭は号令を上げたいのだ。自分の手で大名が動く様を見たいのだ。それが無理だとわかっていても。


「わかりました。徳に話してみます。それとお市ですが精神的にまいっているようで今、徳と一緒に研究所にいるそうです。これから出向いて話をします。それで北条へ誰を行かすかですが、候補としては」


 勝頼は、五郎盛信、武田信豊、武田逍遙軒信廉、穴山信君の名を上げました。


「上杉は謙信ではなく、景虎でしょう。実の父親ですし義理も立ちます。うちは姉が、そうです。穴山夫妻に行かせれば」


「女を使うか。勝頼は嫁で苦労しているようだからそういう発想になるのか。嫌味ではないぞ、感心しておるのだ」


 信玄は笑いながら話しています。


「本当ですか?父上も女子には苦労していたではありませんか。これは遺伝です」


 信玄は顔が引きつっています。


「何をいうか。わしはだな、いやそんな話ではない。穴山だけでは弱い、逍遙軒と2人ならどうだ?」


「そういたしましょう。ではそのように手配いたします。父上、父上は先に浜松城へ向かってください。それがしはあそこへ寄ってから追いかけますので」


 浜松城は今は山県昌景の城です。駿府の東を穴山が、西を遠江として山県が抑えています。西に何かあれば、山県が駆けつけられるように。その西の三河ですが、信豊が本多忠勝をうまく使って旧徳川に従っていた国衆を味方にしました。今川と織田の狭間で長年苦労をしてきて、やっと家康がまとめたと思ったら徳川が無くなってと、地の人達から見ればいい加減にして欲しいのです。それを信豊はうまくまとめていっています。そう、武藤喜兵衛を使って。


 武藤喜兵衛は徳川との戦の後、三河へ国替えになりました。三河武士は強い、これは桶狭間での、そして桶狭間以降の戦いぶりが証明しています。勝頼は過去に自らの手で今川をうまく取り込みました。今度はそれを信豊にやらせることにしたのです。それには武藤喜兵衛が必要でした。喜兵衛の知恵を使う絶好の場所なのです。ただ喜兵衛だけでは厳しいかと、身内の真田昌輝を城持ちにし三河へ置きました。真田の活躍は素晴らしいですが、養子に出た喜兵衛だけが大幅加増になっていてこの状態は不味いのです。喜兵衛は何かと兄に相談しています。昌輝もあの真田幸隆の子です。新しい土地でその能力を十分に発揮しています。喜兵衛の活躍の裏には昌輝の功績が隠れていますが、勝頼も信豊もそれを承知しています。


 真田の長男、信綱は信濃の上田に残っています。幸隆が病に伏せていて嫡男の信綱は真田の庄を含む領地を守っています。弟2人はそれをわかっていて真田の名を兄の代わりに広めようと奮闘しているのです。




 勝頼は信玄と焼津で別れて、大崩に向かいました。一度海まで出て、山に入っていきます。途中、監視されている気配を感じました。見張りが隠れているようです。これならば確かに他所者が来れば直ぐにわかりますね。歩いている途中に罠?らしきものも見受けられましたが当然作動しません。侵入対策はされているようですが、誰が考えたのでしょうね。想像は付きますが。


 いくつかの尾根を越えてそのまま真っ直ぐに進むと駿府の方へ出ますが途中で海側に降りていきます。絶壁の崖のはずが階段が出来ています。一度砂浜に降りてからまた少し歩くと岩の陰で海からも見えにくいところに造船場が見えてきました。海上にも船が見えます。海軍が駿河湾を巡回して治安を守っているのです。輸送船の護衛、敵の水軍が近づいてきたら警告が任務です。武田と商いをする船には証文を発行しています。それを持っていない船は湾内を通行できません。荷物も検査があり密輸は出来ないようになっています。


 造船所の裏手からまた山を登っていくと建屋が見えてきました。研究所です。所長は徳、副所長は竹中半兵衛ですが2人とも不在が多いので、次郎衛門が造船所の工場長と兼務しているのが実態です。次郎衛門は元は鍛治師でしたが高遠の秘密工場長として活躍後、こっちに引っ越してきました。腕はたちますが頭は追いつかずまだ小学校3年生レベルです。ですので徳の番頭さんの役割になっています。


 勝頼が来たことは見張りから伝わっていたのでしょう。なぜかみんなが地面に土下座しています。その中央にいるのは、徳?


「どうした?なんだ土下座なんかして?」


 徳が涙声で、


「お市さんが居なくなりました」




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