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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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清水港

 菅原隆則は悪びれもせず、文を差し出してきました。さっき勝頼がふざけた事に対する仕返しのようです。勝頼は菅原に遠慮しないように言ってあるので問題はないのですが、はなとかなは驚いています。が、すぐに勝頼が信頼しているのだと気付きました。勝頼は部下を押さえつける事はあまりせず、伸び伸びと使うのが得意なのです。


「全く、で、なんて書いてあるんだ?」


「お屋形様、いくらなんでも人の文は読みません。ただ、お屋形様がきっとここを通るだろうから、イエイ! と言っておられました」


 ふむふむ。勝頼は手紙を読んで少し考えた後、はなに手紙を渡しました。読めというのでしょうか?はなは手紙を読んで、


「お屋形様。これは?」


「徳が言うのだから間違いはないであろう。さて、どうしたものか?」


 徳の手紙には、


『甚内が来て伝えていった事があります。少し前から気にしていたのですが、誰かに見張られている気配がありました。その気配が消えて少しした頃、突然甚内が現れたのです。甚内は、将軍家、というより明智十兵衛の雇った飛騨の忍びがあたいを見張っていたので片付けたと言っていました。甚内はそれだけ言ってどこかへ行ってしまいました。その後は怪しい気配がないので例のところへ行きます』


 と書いてありました。明智十兵衛がなんで徳を見張ってるんだ?甚内の言う事は信じてもいいだろうが、謙信の指示なのか?甚内は忍びの忍び世界では名前を知らない者がいないのではと言うくらいの凄腕の忍びで、上杉謙信に仕えています。勝頼とも縁があり、味方と思ってもいい関係ではありますがあくまでも謙信の配下なのです。


 上杉にも大名招集はかかっているでしょう。謙信に会えるのは楽しみですが、甚内を使って何をしているのかがわかりません。


 勝頼達は菅原の護衛で薩埵峠を越えました。そこにはなぜか本多忠勝が控えていました。それを見て菅原は、


「代わりが来たようですのでそれがしはここで。お屋形様、今度はゆっくりしていただけるとおもてなしできるのですが」


「その時間を作るようにするよ。そういえばお前は独り者だったな?この2人のどっちか欲しくないか?」


 はなとかなが焦って真っ赤になっています。勝頼はこの2人が菅原に見惚れているのに気付いていました。


「徳様が了承していただけるのなら喜んで。でも、このお二人は徳様の配下ですよね?」


「徳の親衛隊ではあるが、余の配下だぞ。遠慮は…………、しとこう」


 クスクスと笑いを我慢しきれない者多数。忠勝はキョトンとしています。


「忠勝、大義である。だがなんでお主がここにいる?信豊と一緒に三河にいたのではなかったのか?」


「はい。実は徳様から文を頂きまして、それがしが大喰らいなのをご存知のようで、それがしのためにソーセージを駿府城に用意しているから取りに来いと。ついでにお屋形様が来るはずだから護衛しろと。それを信豊様にご報告申し上げたところ笑って行ってこいとおっしゃいまして」


「そうか。徳は信豊へは何も送っていなかったか?」


「大砲を一門、中砲を二問」


 だよな。徳は忠勝の間借り代に大砲を使ったのか。これは大事かも知れんな。


「わかった。京まで同行しろ」


「承知。それで、」


「なんだ? 」


「その、ソーセージですが持っていっても?」


 そっちかよ!




 ご一行は海沿いに歩き清水に着きました。ここには港と港町を建設中です。水軍、勝頼は海軍と呼んでいますが武田は念願の海軍を作る事が出来ました。船も大崩の造船所で次々と建造中です。戦闘用の船だけではなく、運搬用の船も建設していて、勝頼はここ清水を日ノ本一の港にしたいと考えています。


 港ができれば商いが活発になります。駿府の城下町も賑わうでしょうが少し遠いのです。海の男達は荒くれが多いので駿府に揉め事を持ってこられても困ります。なので清水に遊楽を含めた男の町を作る事にしたのです。荷物を一時的に保管する倉庫も建設中です。


 清水港の権利は勝頼直轄で面倒は竹中半兵衛に任せています。半兵衛は町を作るのは初めてだそうで気合が入りまくっています。港近くの仮屋形へ行くと竹中半兵衛が伊谷康直と話し込んでいます。


「伊谷殿。一応海の警戒も怠らない方が」


「竹中様、そこは抜かりなく。戦艦富士と巡洋艦甲斐を小田原沖に配置しています。連絡用の船も行き来させておりますので何かあれば伝わりますので」


「何かが起きても手は出すな。見張るだけにしてくれ」


「承知しております。ですが、海の男は気が荒いので先に攻撃された時はご容赦を」


「何の話をしておる?」


『お屋形様!』


 2人は勝頼がいた事に気がついていなかった。半兵衛は、


「お早いお着きで。実は一報が入りまして念のための打ち合わせを伊谷殿としておりました」


 伊谷康直は元々は今川水軍の将でした。勝頼は武田に水軍が欲しくて信玄に話をして味方にしたのです。伊谷は山県昌景の配下となっています。


「一報だと、何が起きた?」


「北条氏康公がお亡くなりになりました」



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