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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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大砲炸裂

 岡崎城攻めの時に爆発音とともに炸裂した砲弾、それは大砲によるものでした。武田軍は隼の陣を敷いていましたが、中央の蜂矢にあたる部分の後方に徳率いる親衛隊の面々が大砲とともに配置されていたのです。ただの大砲ではありません。教科書から得た知識と三雄からもらった図面により、砲身の内側には螺旋加工が施されていました。そう、アームストロング砲と同じ原理の大砲です。


 これにより射程距離が大幅に伸び、中砲では最長700mの射程距離が、1500mまで届くようになりました。工夫によりまだ射程距離は伸びそうです。砲弾の大きさは中砲が2寸、つまり6cmの大きさでしたが大砲では、5寸、つまり15cmまで大きくできました。


 しかも通常の弾と爆発する弾に使い分けが可能です。徳は特殊部隊ゼットにも新しい武器を開発して供給しています。徳の教え子達は教科書を使って知識を得て、加工技術を学び、何度もトライアンドエラーを繰り返し成長しています。ですが、徳のアイデアは尽きる事なく次から次へと作りたい物が出てくるので大崩に作られた開発研究所は年中無休の大忙しです。



 今、研究所にはお市が来ています。縁があって新しく勝頼の妻となったお市ですが今でいうメンタルが良くない状態になっています。


 勝頼はお市とそうなるつもりはありませんでした。ところが何かに惹かれて、引かれて?見えない力に誘導されるかのように気がついたら抱いていました。現代で言うと魔がさしたとでもいうのか、翌朝、彩に見つかった時には冷や汗が出ました。ところは彩は、


『徳さんからきっとそうなるから仲良くしてね!』


 と言われていたそうで、いやはやなんとも。勝頼はお市を正室、彩を正妻と呼んでいます。徳がそう呼んでいたのをそのままにしたのです。お市は織田信長の妹ですから大名の娘、彩も今川家の娘で同格です。もう今川はありませんが名門には変わりありません。彩は今川家が嫌いでしたが、そうは言っても家が無くなったのはショックでした。信勝がいるので救われたともいえるでしょう。彩は嫁はみな姉妹よ、と訳のわからないことを言っています。徳に俗されたのでしょうか?


 お市の方は勝頼という新しい伴侶を得たとはいえ複雑です。織田とは敵対しそうですし、我が子、お腹を痛めて産んだ最愛の娘 茶々は勝頼の子では無いのです。勝頼に抱かれている時は幸せでした。ですが、勝頼が古府中にいない時に茶々と遊んでいて、茶々の顔に浅井長政の面影が浮かぶのです。


 彩はお市の変化に気づいていました。どうしたものかと徳に手紙を書くと、読んだ徳は忙しい合間をぬって古府中に現れると、


「いっちゃん、行くよ!」


 と言って大崩の研究所へ攫うようにお市を連れて行ったのです。茶々は彩が預かっています。信勝と茶々は仲が良く一緒に遊んでいます。








 岐阜城では、織田信長と明智十兵衛の会話が盛り上がっていました。


「全ては武田勝頼様の手の中で動いています。今回、義昭様が戦を止めたのも勝頼様からの手紙を読んで直ぐの事でした」


 十兵衛は、勝頼と会った時の話を始めました。


「なんだと!あの時義昭達を隠したのがお市だったと言うのか?」


 信長はお市に才覚があるのを思い出しました。そういえばお市はどうなったのだ?


「余が長政を問いただし、義昭が浅井に匿われている事を聞き出した後、猿が義昭を連れてきた。長政は戻る途中で士豪に殺されたのであったな?」


 十兵衛は話さねばならぬ時が来たと判断した。この事をいつ信長に伝えるかで未来が変わる。


「殿。これからお話する事は真実でございます。この十兵衛の話す事を信じていただきたい」


「くどいぞ! 申せ! 」


「まず、浅井長政様を殺したのは秀吉です。直接斬りつけました。その上、目撃者を残さぬように先ほどの士豪と浅井の家臣全員を殺しています」


「…………、お市か」


「秀吉はお市様を慕っているようで、浅井長政様を敵のように思っていました。士豪の襲撃は長政様を殺す絶好機でした。長政様を助けるふりをして斬りつけたのです」


「誰から聞いたのだ」


「上杉謙信公の忍びで陣内と申す者です。謙信公が武田勝頼様に一時期預けていたようです」


「余の忍びから聞いた事がある。忍びの世界では知らぬ者がいない達人だそうだ。それで勝頼はなんでそこにいた?」


「わかりません。少数で行動されていました。側室も連れていました」


「物見遊山にしては偶然が過ぎるな。義昭を攫う気だったと考えるべきか。お前は勝頼の手の中と言ったな。義昭を手紙1つで動かしているが、何があった?」


「勝頼様は、義昭様になぜ浅井を頼ったのかと詰め寄られました。そのまま信長様のところへ行けば浅井長政は死なずに済んだと攻めたのです。そして、将軍として浅井家を守る借りがあると申されました」


「義昭は優柔不断だ。朝倉を飛び出したはいいが不安になって途中にあった小谷城へでも寄ったのであろう。で、その借りを返すために戦を止めたのか」


 信長は話の筋は通ったように思えたのですが気にかかる事がありました。元々は朝倉・浅井対織田の戦でした。ところが結果だけを見れば今回の戦の成果は、上杉が加賀を取った。朝倉は対上杉で引いた。武田は三河を取った。織田は対武田で引いた。織田と朝倉は消耗しただけです。


「十兵衛。余は勝頼の手の中で踊ってはいないぞ。朝倉や叡山よりも武田をなんとかしなければ」


「殿。殿は世を変える力をお持ちです。それがしはそれを全力で支えて参ります。武田と手を組まれてはいかがですか?」





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