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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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策略家

 特殊部隊ゼットの活躍で燃え上がる岡崎城を見ながら武田軍は小休止しています。武田軍の兵士たちもどの軍が火を点けたのか不思議がっていましたが、お屋形様の忍びではないかと誰かが言い出してヒソヒソ話をしています。以前、飢饉の時に助けてくれたのは今のお屋形様らしいとか、さっきの爆発もお屋形様の妖術だとか、お屋形様はなんか変身できるらしいとか、そのうちにみんなが話しだして賑やかになっていきました。というのも待てども待てども次の敵、織田信長が現れないのです。信玄は、兵を黙らせて緊張感を持って待つようにさせろと山県、馬場、穴山に指示をした後、


「勝頼。これはお主の言う通りになったようだぞ」


「はい。足利義昭が動いたようです。これで当初の狙い通りになりました」


 どうやら計画通りに進んでいるようですが、さて、勝頼の狙いとは?





 しばらくして信豊が家康を捕らえて連れてきました。家康は縄で縛られて下を向いてうなだれていましたが勝頼の前に来ると、突然元気になり


「何をした?どうやって城を燃やしたのだ?」


 と叫びます。それに対し武藤喜兵衛が、


「お屋形様に無礼であろう。それに教える必要はない」


 とあしらうと家康は喜兵衛の顔を見て思い出したように、


「そこもと、もしや武藤喜兵衛か?」


「いかにも武藤喜兵衛でござる。家康様にお会いするのは初めてのはずだが、それがしなどを存じておられるとはさすがは徳川様というところでござるかな?」


 バカにしたような物言いに頭にきた家康は武藤喜兵衛に向かって唾を吐いた。


「生意気な、ま、待てよ。ま、まさか貴様最初から…………」


「何の事でござるかな?」


 家康は話している途中から何かに気づいたようで青くなって考えている。そんなバカな、こいつに数年前から踊らされていたのか。


 家康は短気でした。鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス と後世に唄われた家康はもっと年を取った家康の事なのです。三雄の歴史でも若い頃の家康は三方ヶ原で我慢できずに出陣した結果、ぼろ負けして逃げ出した事もありました。我慢強くなったのは色々と経験を積んだからで、この時の家康はまだ未熟ですぐにカッとなる性格だったのです。


 武藤喜兵衛は策士です。秀吉が人誑しであるのとは違ってこの男は人の感情を逆撫でするのが上手です。どこまでが喜兵衛の作戦なのか?知らず知らずのうちに家康は武藤喜兵衛を憎んでいました。今回籠城しなかったのも武藤喜兵衛が敵陣にいたからです。


 勝頼はそのやり取りを冷静に見ていました。喜兵衛が何かしたとも思えないのですが、どうやらこの戦の功労者は喜兵衛のようです。それはさておき、


「家康殿、久しいの。このような形で再会することになろうとは夢にも思わなんだ」


「勝頼、勝ち誇ってるつもりか!どうやって城を燃やした?この僅かの時間の間であんなに燃えるのはおかしい。それにどうやって城に近づいたのだ?岡崎城に知らない顔はいなかった。そんなに何年も前から企んで仕込んでおったのか、この武藤喜兵衛のように!」


 勝手に色々と想像してるぞこいつ。確かにさっきまでの状況で武田軍が城へ近づくのは無理だ。数年前から潜入していた草が火を点けたと思ってるのかね?武藤喜兵衛が数年前から仕込んでいた?何を?全くわからん。


「家康殿。何を怒っておられるのかはわからんが徳川は負け武田が勝った。ただそれだけの事だ。信豊、手柄であった。家康の首を刎ねよ」


 徳川家康、三雄の歴史では天下を取り幕府を300年続ける元となったこの男はここで死にました。岡崎城も全焼し、家康の重臣も皆息絶えました。一人を除いて。




 織田信長は、家康が武田軍とぶつかったと聞き、すぐに全軍を岡崎へ向けて出陣させました。自らは馬に乗り先駆けをして。そこに馬が追いついてきます。蹄の音に気づいた信長が振り返ると、明智十兵衛が近づいてきてました。信長は馬を止め、十兵衛を待ちます。


「十兵衛、何用じゃ?京へ戻ったと聞いていたが?」


「信長様。これを」


 十兵衛は足利義昭からの手紙を信長へ手渡した。それには、


『織田信長殿、余は戦の無い世を作りたい。それにはそこもとが朝倉や武田と争うのではなく、将軍の権威の元に政治を執り行ってもらいたい。余は朝倉にも浅井にも恩がある。その恩がある相手に戦を行うという事をあらためて見直したいのだ。陣を引き上げ、朝倉、浅井、武田、上杉、北条、毛利等の大名達と余の前で話し合いの場を設けてもらいたい。その席で織田殿を副将軍に任ぜよう』


 信長はあまりにも馬鹿げた手紙に震えています。


「十兵衛、公方は何を考えているのだ。このような形で事が収まるとでも思っているのか!」


「公方様のお考えであられますので」


「朝倉攻めに同意して御内書まで出したではないか!何を今更言っておるのだ?」


「公方様は浅井長政様を亡くした事を重く考えておられるのです」


「長政は近江の国衆に殺されたのであろう。不運ではあったがそれを公方が気にかけている?どういう事だ?それと戦を止めるのと何の関係があるのだ?」


「それは私の口からは申せませぬ。公方様は世を正したいとお考えになられ将軍になられました。色々お考えになられた結果のご判断だと」






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