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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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特殊部隊ゼット

 一年前のある山の上での出来事です。


「おっかしいわね、またダメなの?」


 機体はクルクル回転して落下、テスト搭乗員の錠は傷だらけです。


「ね、ねーちゃん。ま、まだ行けるから、もう一回やら……………………………」


「何言ってんの!無理でしょ、あーもう、どこがおかしいんだろ?」


 チーム甲。別名飛行部隊ゼットと言います。徳は教科書知識から戦争の知識を得ました。空からの攻撃が有効だと考えて徳なりにこれならば出来そうだと考えた試作品でトライしていました。徳は独自でこの戦国時代にそれを実現しようと弟の錠やチーム甲のメンバーを使って試みたのですが怪我人続出、結局、勝頼にしこたま怒られました。怒りながらも話を聞いた勝頼は何かコツのような物が足りないのだろうと徳の書いた絵を三雄に見せました。


「ええええええ、うっそだろ!これ徳さんが書いたのか?」


 無茶苦茶驚いて、次の定例会に現代の図面を持ってきたのです。そう、ハンググライダーの。




 飛行訓練は駿河の国、川根で行われました。野守の池と呼ばれる大井川が堰き止められてできた池に向かって山上から飛びます。何度も池に落ちながら飛行訓練は続けられました。元々運動神経が良く粘り強い性格の連中です。今では大空は友達と訳のわからないことを言っています。


 さて、時は岡崎城へ向かうところです。チーム甲は、勝頼の命令で山の上から空へ飛びたちました。その数5機、空からの攻撃手段はクロスボウと科学忍法火竜降臨と名付けられた火炎瓶です。科学忍法火竜降臨には大、中、小と3種類あります。用途によって使い分けるのです。今回は小竜と呼んでいる一番小さい物を装備しています。


 空からの偵察で、狙撃手が潜んでいるのを発見しました。特殊部隊ゼットの監督者である武藤喜兵衛からは、敵を見つけたら迷わず殺すように言われています。


 チーム甲のリーダーは錠でした。徳の弟で特殊部隊ゼットの隊長でもあります。徳の実験?に付き合わされた不幸な、いえ幸せな身内です。錠の他の4人は女性でした。女性の方が体重が軽いので飛びやすいのです。特にこの4人の女性、紅、黄世、桃、紫乃は体幹に優れ、戦闘能力も高いエリートです。勝頼はチーム甲の5人になんとか変身をさせたかったのですが、徳と喜兵衛に却下されました。名前に合わせた色付きの派手な衣装も却下です。見つかりやすくしてどうするのですかとボロクソでした。いつかはやりたい、5人そろってなんとかというやつを。


 錠は4人にに敵を見つけた事を手信号で伝えました。4人はここを錠に任せて空中で散開して偵察を継続します。錠は空から、


「科学忍法 火竜降臨」


 と小さく呟いてから火炎瓶に火をつけて、上空から落とします。勝頼から必ず技名を呟いてから落とすように厳命されていましたので、呟く意味はわからないまま実施しています。瓶は敵の近くに落ち燃え上がりました。驚いた敵兵は腰が抜けたように座り込んでいます。そこを錠が空からのクロスボウによる攻撃で敵を仕留めました。錠は着陸し、ハンググライダーを畳んでから敵の狙撃銃を手に入れました。銃身が長尺で射程距離を長くした物のようです。


 チーム丁がやってきました。煙を見て様子を見に来たようです。チーム丁は武闘派軍団で武器は鉄で作ったナックル、俗に言うメリケンサックを使います。力が強く接近戦が得意な連中です。チーム丁の面々は回収係も兼ねていて狙撃銃とハンググライダーを回収して運んで行きました。念のため敵にとどめをさして火も消して。


 錠と残りの丁のメンバーはあちこちで煙が上がったのを見て山中を散らばって駆け巡ります。錠が駆けつけたところでは紅と敵が戦闘中でした。紅が見つけたのは狙撃手ではなく敵の忍びだったのです。


「紅!」


 錠の叫び声に敵が一瞬隙を見せました。そこを狙って紅が忍び刀を振るい敵を斬りつけました。よろけた敵に錠がクロスボウで矢を放ち敵が倒れたところにとどめをさしました。


「錠隊長、助かりました。山の中には敵が多数潜んでいるようです。他のチームも出さないと対応しきれないと思います」


「わかった。お前はそれを武藤様へ伝えてくれ。俺はこのまま敵を探す」


 と言ってまだ空にいる桃に手信号で上空から敵の位置を知らせるように伝えながら、次の煙が上がっているところへ走って行きました。



 紅は武藤喜兵衛に敵の数が多い事を知らせました。喜兵衛はすぐにチーム乙、丙も投入して敵の物見を全て抹殺するよう指示を出したのです。岡崎城へ誰一人かえすな、と。そして特殊部隊ゼットは空中の桃が索敵係になり、伊那忍びとも連携して任務を全うしたのです。家康の元へ戻る物見は皆息絶えました。



 その後、チーム甲は勝頼の指示で再び空に舞います。今度は火竜降臨の最も大きな大竜を持って。さらに機体に油の入った容器も搭載しています。武田軍が徳川家康の軍と戦闘を始めた時、勝頼は空に向かって合図を出しました。やっちまえ、と。


「油を撒け!」


 5機のハンググライダーは岡崎城の上空から油を撒き散らします。そして少し間を置いてから、


「科学忍法、火竜大降臨!」


 今度は大きく叫び、それに合わせて城のあちこちに火炎瓶が投降されます。火は油に着火しあっという間に城は火の海になりました。この油は菅山村(相良油田)で取れた石油です。精製しなくてもほぼガソリンに近い無茶苦茶良く燃える油なのでした。



 特殊部隊ゼットの活躍は凄まじい物でしたが、表には出ていません。今回の戦ではその存在に気づいた者は皆命を落としています。



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