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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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そして戦いへ

 翌月、勝頼は家督を継ぎました。これより武田勝頼と名乗る事になります。信玄は重臣達を集めて跡目引き継ぎの儀式を行いました。その祝いの席には上杉謙信の名代で景勝が来ていて、勝頼の妹、菊姫を連れてきています。北条からは当主氏政が自ら現れました。どうやら嫁さん、勝頼の姉である梅にせがまれたようで妻同伴で来ています。古府中には妹のお松もいて、久しぶりに会えた姉妹達は大はしゃぎです。


 信玄は家督を譲りはしたものの隠居するわけではなく、北条家の氏康のように振る舞う事になります。信玄は勝頼から跡目をはっきりしないまま死ぬと揉め事になると言われ、計画通り重臣全員を集めて宣言しました。


「勝頼に家督を譲る。余は今まで通り戦陣に立つが、勝頼がお屋形様だ。皆も勝頼に忠義を尽くしてもらいたい」


 重臣達は勝頼の凄さを知っていますし、今までも塩硝や食糧で助けて貰っているため反対した者は出ませんでした。ただ、重臣達の中には元々勝頼寄りの重臣達がいい気になっているのを面白くないと思っている者もいました。重臣の間には仲がいい悪い含め派閥のようなものがあるのです。宴会の席では


「跡部殿は浮かれておる。自分が育てたとでも勘違いしておるのだろう。勝頼様は元からすごいだけなのに」


「武藤喜兵衛も三男坊のくせに目立っておる」


「勝頼様が今後我らをどう扱いになられるのか。お手並み拝見だな」


 などと陰では色々な事を好き勝手に話ししていたようです。その話は女中に扮していたクノイチ達から後で詳しく聞いています。宴会場は情報収集には最適なのです。酔ったら口が軽くなるのは人の性ですので。

 誰と誰が仲が良くて、誰と誰は相性が悪いとか。お屋形様は偉い、主家にご奉公、とは言っても結局最後は人です。勝頼という人を信じていいか、もありますが主人としては相性の悪い者を組ませると問題が起きやすくなる事を理解するのが大事なのです。味方での手柄の取り合い、足の引っ張り合いなど見たくはありません。


 勝頼は三雄から、三雄の知る歴史での勝頼がどんどん味方に見放されて孤独に死んでいった事を聞かされています。人を良く見る事、性格や好み、何が得意で何が苦手なのか?勝頼は三雄から人を使う事の難しさを教わりました。


 また、身内同士の争いは家督相続時に起きます。そうならないための早めの家督相続なのです。




 宴の席で勝頼、景勝、氏政は端の方に集まって話をしていました。この3人でゆっくり話す機会などそうあるものではありません。

 氏政はここに来たのが弟の景虎で無かったことに最初は不満気でしたが梅と菊姫、お松が楽しそうにしているのを見て諦めた様子です。謙信がそこまで考えていたかはわかりませんが勝頼の姉妹が揃った方が確かに喜ばしいでしょう。


「義兄上、それに景勝殿。今日は来てくれてありがとう。真・三国同盟があっての事とはいえこの三家が揃うのは感無量です」


「勝頼殿。なんにせよめでたい。それと里見を攻めるのに海軍を貸していただき感謝いたす。見事な海軍であったと聞いておる」


 あれで、か。普通の船なんだよな、そっちに行ったのは。それは顔に出さずに


「お役に立てて何よりです。氏康公は息災でありましょうか?」


「だいぶガタがきているようだがうるさいくらいに元気だ。今日も来たがってはいたのだが仕方あるまい。で、こちらが景勝殿ですな。話をするのは初めてでござる、北条氏政である。以降よろしく頼む」


「景勝にございます。以後、お見知り置きを。お会いできて嬉しゅうございます」


「堂々としておられる。さすが謙信公が養子にしただけの事はある。武田の跡目は勝頼殿が、北条は余が継いだ。それで上杉はどうなる?景虎かお主か?」


 酔っているのかいないのか?氏政は痛いところを突いてきました。早く決めないと揉めるぞと言っているのです。景勝は冷静に


「それは殿が決める事でございます。それがしは精進するのみ」


 勝頼は次に謙信に会ったら跡目を決めるのを急ぐよう進言する事を決めました。その後勝頼は今後の武田の動きについて説明をしました。勝頼の密談部屋ではなく、この宴会場で。




 そしてその3ヶ月後、織田信長は朝倉攻めを決意します。美濃、尾張勢に加え、大和の松永、足利将軍家からは明智十兵衛、細川藤孝が参戦しています。信長は足利義昭から御内書を貰っての戦という形にしています。将軍を支える立場である以上、大義名分がないと戦がやり難いのです。

 この時、明智十兵衛は近江に城を持っていました。将軍家の家来でありながら織田信長からも禄をもらっていたのです。この事が、後に揉める原因になるのですが。


 朝倉攻めには徳川家康は加わっていません。家康は武田の動きが怪しいと見ていました。勝頼の家督相続のお祝いには酒井忠次が行き、同盟国としての義理は一応果たしましたが、武田側の対応は通り一遍で丁重でもなく邪険でもなくという感じでした。酒井は忍びを一緒に同行させていて、情報収集をしていましたが、宴会の席で武田、上杉、北条が一緒に話をしているのを見つけ、慌てて配下の忍びに指示をしました。


「あそこの会話を盗み聞きしてこい。失敗は許さん!」


 忍びの情報は恐ろしいものでした。武田が上洛を計画しているというのです。三河を通り、将軍へ謁見すると。東方面は上杉、北条がいるので武田は西へ行く、まずは徳川を攻め織田の出方を見る、と。家康は報告を聞き、北条に確認を取りました。どうやら本当のようで北条からも武田から目を離さないように言われています。この北条とは氏政でなく、氏康でした。氏康は同盟国とはいえ武田が大きくなるのは面白くないのです。真・三国同盟は景虎が上杉を継ぐまでの繋ぎというのが氏康の真の思いなのです。


 家康は籠城の準備に入ります。武田が来ても織田信長が来るまでに持ち堪えられれば良いのです。ところが、その信長は朝倉攻めを行おうとしていて、徳川へ援軍の要請すらありました。家康は信長に応援どころではない現状を伝え、武田を待ち構えることにしたのです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  今回はちょっと説明調になっているのが物足りないかな。 [一言]  氏康の思惑をどう外すか。氏政と景虎は実は仲が悪いとか、勝頼がそう仕向けるとか・・・ひとひねり欲しいかな。
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