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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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弥生豚捕獲作戦

 軍師こと諏訪三雄は四郎に弥生豚と呼ばれている豚を探すように指示しました。これは恵子の知恵でした。元々豚は中国から渡ってきたと言われています。それが最近の研究で弥生時代に家畜として豚が飼われていたのではないかという説が出てきていて、この時代にもいるはずだというのです。という訳で、


『弥生豚捕獲作戦』


 の発動です。メンバーは、伊那の吾郎率いる忍者5名、諏訪隆重率いる兵5名、それに四郎です。


「イノシシに似た獣で鼻に特徴がある、それが豚という生き物だ。ほら、前に吾郎が言っていたちょっと変わったイノシシの事だ」


「諏訪と高遠の間で何度か見かけた事があります。一度捕らえて食しましたが肉が柔らかく美味かったです」


 吾郎が四郎に答えると皆、見た事があるかもと言い出した。野生の豚がどれだけいるのでしょうか?しかもこの信濃の国にです。


 実は神話の時代、この日本では豚が食されていました。豚は中国から海を越えてやってきました。そして九州から出雲に伝わり、そして古事記に書かれているタケミナカタ逃亡事件、これが本当かはともかくタケミナカタが諏訪に現れた後、豚も諏訪に住み着くようになりました。歴史学者の大石恵子はタケミナカタについて、


「これは私の自論なんだけどね」


 と、三雄に向かって学者らしく最もらしく説明を始めました。古事記ではタケミナカタ逃亡事件が書かれていますが、それ以降の書物には出てきません。しかもタケミナカタの名前はオオクニヌシ系列に出てこないのです。それなのでタケミナカタは諏訪に逃亡したのではなく元々諏訪にいた人だと考えているようです。そして諏訪地方を制圧し諏訪に大社を立てました。そして諏訪こそが日本の中心と発起したのではないかと。


「それを良く思わない出雲の人達が諏訪に侵攻したの。それでタケミナカタは負けて和解する。その時の遠征軍が食料として豚を諏訪まで連れてきた」


「それが逃げたかなんかで戦国まで生き残ってるって事?」


「豚は生命力強いからね。野生でも十分に生き残る。あっ、イノブタって知ってる?」


「聞いたことある」


「イノシシと豚が交配した生き物なんだけど、自然にやっちゃうのよ。もしかしたらイノブタもいるかもね」




 こんな会話が現代でありまして、それならば食料として豚を家畜として飼えないかという発想に至りました。そこからこの弥生豚捕獲作戦が始まったのです。



 一行は獣道を探しています。


「殿、これはイノシシが通った跡ですぞ。ここを辿れば出逢えるのでは?」


 隆重が素人丸出しで報告をしてきます。


「隆重様、追っても無駄ですぞ。獣道に罠を仕掛けるのです。そして翌朝まで待って運が良ければ捕らえられます」


「吾郎殿。そんな呑気な作戦でいいのですか?お忙しい殿がお出でなさっている今日捕まえなければ」


「隆重。焦っても豚は捕まえられん。そうだな、二手に分かれよう。隆重は追えばいい、吾郎は忍びならではの作戦で捕らえてみよ。俺はいると邪魔なようだから館へ戻る」


 そう言って四郎は一人で戻っていってしまいました。吾郎はこっそり配下2名を護衛に付けています。


「では隆重様、ここは勝負といきましょう」


「その勝負受けましょう。で、何を賭ける?」


「そうきますか。それならば酒を一升」


「良かろう。こちらとて諏訪の山育ち。相手が忍びだからといって負けはせん」


「では、どちらが先か。楽しみですな」


 諏訪分家対伊那忍びの戦いが始まりました。つまらない戦いですが本人達は真剣です。



 さて、四郎はというとそんな勝負は知ったことかと山道を諏訪上原城へ向かって戻っていきます。護衛が付いている事は承知しており不安はありません。ところがその護衛に動きがありました。こっそり尾行しながら護衛していたはずなのに突然、目の前に農民のような少女を連れて出てきました。


「四郎様。この女が物陰から四郎様を狙っておりました」


 少女は猿ぐつわをされており、モゴモゴ言っています。それを外させると、


「狙ってなんかいません。滅多に人の通らないところに人がいたので見ていただけです」


「そうか。近くに家があるのか?」


「山あいの部落にいます」


「そなたの名は?」


「徳、あんたは偉いの?偉いなら何とかしてよ!」


おっと、一応偉いんだけど何すればいいの?



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