どらごん飛ぶ練習をする
お久しぶりです!ちびドラゴンのササです!今日も、どうぞ宜しくお願いします!
今日は、ウェン兄様に空の飛び方を教えて頂く予定なのです!
私はまだ巧く飛べないので、お兄様が実地で特訓してくださるのです。
本来のドラゴンであれば教えられる事無く、空を飛ぶなんて事は息をするかの様に出来る 筈 なのですが、何処がどうなったのかは分かりませんが私は飛ぶ事がとっても下手っぴなのです。
一度、飛ぼうとして近くに住んでらっしゃるフェンリルさん宅の壁をぶち抜いてしまったのです。
あの時は、フェンリルさんに本当に申し訳なくて仕方がありませんでした。うぅー。
まぁ、自分の学習能力が其処まで高くないとは知っていたのですが・・・此処まで、無いとは自身でも思ってもいませんでした。しょんぼり。
落ち込んでても始まりませんので、精一杯頑張りたいと思います。ぴぎゃー!
しかし、今更思うんですけど・・・私なんだか、段々幼児化してません?
一応、ドラゴンになる前は二十歳過ぎて成人していた筈なのですが、近頃やけに自分の行動とか思考などが低年齢化しているような気がするんですよね。
・・・精神って、肉体に引き摺られるんでしょうか?
「ササ、特訓する為に外へ行こうか」
精神低年齢化について考えていると、頭上から穏やかな声が掛かけられる。
かけられた声の方へと首を回し、元気よく「はーい」と挨拶したつもりが、やはり口から聞こえるのは威勢の良い「ぴぎゃー」。
「あはは、頑張ろうね」
兎にも角にも兄様に意気込みは伝わったようなので、良しとしておきたいと思います。
兄様に抱き上げられて、連れて行かれたのは障害物の少ない草原。
前回の騒動も含めて、本日は此処で練習だそうです! がんばりますっ!
「ここなら、ぶち抜く壁もないから大丈夫だと思うよ 僕も竜化できるしね」
そう言って私を足元に一端降ろした兄様の周囲に、柔らかな光が集まったかと思うと直ぐに霧散する。
光が霧散した後に現れたのは、竜化した兄様の姿。ちなみに、今の兄様のサイズは私を最低でも50匹以上かけたサイズです。
それでも、まだ成長過程って ドラゴンって凄いですよね。
私も母様ぐらいにおっきくなれるんでしょうか?
思考が逸れかけたのを元に戻し、兄様に意識を戻す。
「さて、今日もがんばろうか そうだね・・・目標はちょっとでも長く浮き続けること!」
いいね?と言われたので気合を込めて返事をする、やっぱり「ぴぎゃー!」でしたけど。
前回の練習の時は、浮き上がったのは良いモノの上手く力を推進力に出来ずにもの凄い勢いで滑空。
その勢いで坂を下り、頑丈な鱗でフェンリルさん宅の壁に穴を開けてしまったのです。
しかも、壁に穴を開けたのにこちらの身を心配される始末・・・ごめんなさいーっ!!
まずは、ちゃんとその場で浮き続けることを身に着けないといけないと判りました。
たとえ、推進力が強すぎてもその場で浮き続けられれば止まれるハズ!という事らしいです。
原理は不明です。竜である父様や母様、兄様達も感覚で行ってるので説明し難いそうです。
まぁ、息をどうやってしてますかって言われても説明し難いですよね。
これは実地でやるしかないんですね!わたくし、がんばっちゃいますよー!!
と、気合を入れて全身に力を巡らせます。
翼をパタリパタリと動かせばふわり、と脚が大地から離れます。それでも浮いたのは10cm程度。
兄様は、前回の様にならないようじーっと目を離さず私の一挙手一投足を追っています。
もっと高く高く、と願いながら翼を先ほどよりは早く動かし、力も身体全体に纏わせる。
それに釣られて、ぐんっと急激に視界が上がり思ったよりも勢いがあった為びっくりして力の循環を止めてしました。
「びっ!?」
竜の飛行は翼が重要なのではなく、全身に纏い循環している力だったりします。
確かに巨体は翼の動きだけじゃ浮けませんよねー。
そんな大事な力を止めてしまったのですから、言わずもがな・・・。
私の体は真っ逆さま、見事に重い頭から地面へと突っ込んでしまいました。 うぅー。
「ササ、大丈夫かい?」
兄様が心配そうに問いかけてくれます、実際竜の体は頑丈ですので痛みはそれほどまででもないのです。
だがしかし、前回は飛べたのに浮かぶ所から出来なくなるとはなんと情けない。
そんな風に思いながら、大丈夫と伝える為に顔についた土をプルプルと頭を振ることで落とし「ぴぎゃ」と鳴いて答える。
えぇいっ!!
落ちても酷い痛みはないんだから、今日の目標は達成しまっす!!
と、その気合を胸に私は練習を続けるのでした。
今日も元気にササは頑張ります!見ててね、兄様!!




