第26話②
千紘が目を覚ますと、下の方で笑い声が聞こえる。
起き上がり、声の方へ向かうと、千里がアルバムを広げているのが見えた。
瞬間、千紘は扉を勢いよく開ける。
「な、なにしてんだ!?」
「あら千紘、もう気分はいいの?」
「そんな事どうでもいいって!何勝手に見せてんだよ!」
千紘はアルバムを取り上げて、元の場所に戻す。
「少しくらいいいじゃない。早霧さんもそう思うわよね?」
「は、はい!千紘君、可愛かったです!」
「蓮を困らせんなよ!ってか、早く帰れよ!」
「何言ってるの、今日は泊まっていくわ」
「はぁ!?明日仕事だろ!」
「ここから行くわよ」
一度言い出すと曲げない、折れないの母だ。
千紘は諦めてため息をつく。
「あ!もうこんな時間!私、そろそろ帰ります!」
「そうね、女の子が夜遅くに出歩くのは危ないしね。千紘、送ってあげなさい」
「え?でも、店が、」
「そんなの、私がやっておくわよ。いいから行きなさい」
「それなら、まあ」
蓮は、千里に一礼して、千紘と一緒に歩いて行く。
そんな2人を見て、千里は嬉しそうに笑うのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ふふっ♪」
「なんか、嬉しそうだな」
帰りの道中、ずっとご機嫌な蓮を見て、千紘が聞く。
「分かる?私、母親が居ないから、なんか母親が出来たみたいで嬉しかった!」
「そう、だったのか……」
辛い事を思い出させたと思い、千紘は申し訳なさそうに言う。
それを察した蓮が、慌てて言う。
「そんな顔しないでいいって!もう吹っ切れてるし、それに、今は叔父さんが居てくれるし!」
「叔父さん?」
「うん!叔父さんだけど、お父さんみたいな感じ。すごく優しくて、私の憧れ」
そう言う蓮の瞳は、慈愛と尊敬に満ちていた。
「叔父さんのこと、大好きなんだな」
「まあね、今すっごく幸せだし。いつか、ちゃんと恩返しがしたい」
本当に幸せそうな蓮を見て、千紘も嬉しくなる。
千紘の中で、蓮への想いが強くなっているのを感じた。
けれど、2人は知ることになる。
幸せのすぐ後ろには、悲しみが常にあるということを。
この日から2週間後のある日、あるニュースが報道された。
大型がトラックが、歩行者道路に突っ込んだニュースだ。
その事故で、2人の被害者が出た。
1人は、16歳の女子高生、骨折の重症
もう1人は、39歳男性、意識不明の重体




