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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第四章

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知り合いを巻き込もう


 目を覚ましたら、ギザリア様とミナイル様に「強く生きろ」的なことを言われた。いきなりなんやねん。言われなくたって強く生きとるわい。確かに最近は生活に余裕がでてきたからちょっと贅沢している気がしないでもないけど、ボロは着てても心は錦の心で頑張って生きてる……つもり。


 なんか昨日の夜は神様たちで話していたみたいだし、なにかあったのかね。積もる話もあったんだろうけど、もしかして私の話題になったのかな。エスカリテ様のことだから私のことを不遇と友達みたいな感じで説明したのかも。でも、それなりにやってきたんだからこれからもなんとかなるさ。たぶんだけど。


『マリアちゃんの彼氏は私が認めた最高の男性だけだから!』

『朝っぱらから何を言ってんですか』


 エスカリテ様の情緒不安定な言葉を適当にあしらう。教会を出てからずっとこんな調子なんだけど、本当に大丈夫かな。ギザリア様とミナイル様は教会でお留守番、そして私は冒険者ギルドに向かっているんだけど、エスカリテ様が一分置きくらいにそんなことばかり言っている。何の決定なのかは知らないけど、もっとハードルを下げて欲しいよ。そのために私の評判も上がらないように頑張っているのに。


 まあいいや。何をするにも色々とやらなきゃいけないことがある。今度は魔国へ行くからその情報収集と冒険者ギルドのルルさんと錬金術師ギルドのソナルクさんと情報共有しないと。巻き込んじゃう形になるけど仲間は多い方が良いからね。リュートちゃんの話だと少なくともエルド様と執事さんとは情報を共有した。あと引き込んでおきたいのは……カフェ&バーの店長さんとかだけど、さすがに関係がなさすぎるかな。広場のカップルさんも同様。あとはディアナさんか。


 ディアナさんはちょっとは知っているから巻き込む気満々。それに戦神マックス様に先生のことを伝えたいしね。どうなるか分からないけど、さすがに敵対はしないと思う。それに手を貸してくれる可能性は高い。現時点で最高の信仰心を持っている戦神様が味方になってくれてたら最高だ。


 おっと、そんなことを考えていたら冒険者ギルドに着いた。ソナルクさんがこの時間帯にいるか分からないけど、まずはルルさんからでも巻き込もう。




「マリアちゃん、ありがとう!」

「私もありがとうございますー!」


 ソナルクさんも冒険者ギルドにいたのでこれ幸いと個室でお二人に説明したらものすごく感謝された。正直なところ、面倒なことに巻き込んだようなものなので申し訳ないなって思ってたのに、これには驚いた。


「えっと、何がです?」

「そんな大事なことを教えてくれるなんて信頼されているって気がする!」

「私もそう思いますー!」

「そりゃお二人は信頼してますよ」


 ルルさんには初めて冒険者ギルドに来たときから良くしてもらっているからね。それにルルさんはギルドで私に接触して来ようとするちょっと危険そうな冒険者を牽制してくれている。これにはすっごく感謝。ソナルクさんもコスメではすっごくお世話になった。フライドポテトを奢ったってのもあるけど、その後も逃げ出すような真似はせずに私の無茶なお願いを聞いて貰えている。二人を信頼するなっていうのが無茶ってもんよ。


 そんなお二人だけど、ギザリア様が元神だったり、コスメの所持者であったミナイル様が不死鳥になって教会にいるってことに驚いていた。ソナルクさんの場合は不死鳥が錬金術の素材としてヤバイという別の理由で驚いていたのもあったけど。なので、絶対に不死鳥であることは周囲に言わない方がいいと助言までくれた。火加減を間違えて黒焦げになった不死鳥ってどうかと思うけど、確かに錬金素材としては素晴らしいって前世のゲームでもよくあった気がする。ばれないようにあのままでいてもらおう。


「そんなわけで、今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそだよ、マリアちゃん!」

「はい、こちらこそよろしくお願いしますー!」


 さすがに円陣を組むようなことはしなかったけど、三人で手を取り合って改めて仲間だと再確認だ。自分でいっちゃアレだけど、青春だね。エスカリテ様が『そういう友情からしかとれない栄養もある!』とか言って台無しだったけど。


「それでですね、今度魔国へ行くんですけど、色々と準備しているんです」

「さっき聞いた魔王のことね」

「そうです。今回は見に行くだけなんですけど、それはそれとして世界地図を確認しておこうと思いまして」

「なるほど、あ、だからここへ?」

「はい、冒険者ギルドならあるかなって」


 以前、魔物分布図的な地図を見せてもらったことがある。とはいってもトッカさんの昆虫による魔物分布図をちらっと覗いただけなんだけど、結構正確そうな地図だったから世界地図もありそうなんだよね。たぶん、エルド様に言えばすぐに見せてもらえそうだけど、王族に頼り過ぎると後が怖いので、まずは身近なところからだ。


「本当はギルドへの貢献度が高い人にしか見せられないんだけど、マリアちゃんなら資格は十分だと思う。ちょっとギルドマスターに掛け合ってくるから待ってて!」


 ルルさんはそういうと部屋を飛び出していった。すでにクールビューティーだった面影はないけど、こっちのルルさんも最高だぜ。


「マリアさん、別件ですけど、ちょっといいですか?」

「大丈夫ですよなんでしょう?」

「以前、私やマリアさんに言い寄ってきた商人のことを覚えてますか?」

「…………ああ、そんな人がいましたね」

「本気で忘れているところがマリアさんっぽいですよね!」


 私っぽいかな? 私はダメ男やクズ男の記憶を消去しやすいって特技があるだけなんだ。でも、思い出そうと思えば思い出せる。そう、怒りと共に。


 確か名前は…………ザニック、だったかな? 思考を操るというか誘導するような神器を持っていた商人だ。高品質なコスメを作り出せるソナルクさんをスカウトしようとしていたり、私にも本店がある場所に引っ越さないかとか言われた。控えめに言って嫌いです、はい。神器はエスカリテ様が天界に回収したからもうないはずだけど、何かあったのかな?


「その商人、ザニックですが、住んでいる国に引き渡したそうです。むこうでも色々と犯罪的な行為があったとかで裁判にかけるとか」

「ああ、そうでしたか」


 どうなろうとあまり興味はないけど、ソナルクさんがいうには自分は神に選ばれたとか支離滅裂なことを言っていたとか。そういえば、リュートちゃん達が捕まえた時もそんなことを言っていた気がする。忘れてたけど。ただ、ソナルクさんは過去形で言った。つまり今は言っていない?


「よく分からないんですけど、とある面会者が来てから大人しくなったとか」

「面会者ですか?」

「ええ、黒髪の若い男性だってことしか分からないんですけど」


 その黒髪の男性がザニックと話したらしいけど、その後、ザニックは憑き物が落ちたように大人しくなって今は取り調べに協力的になっているとか。それに罪もちゃんと償うとか殊勝な態度になったそうだ。


 私としてはふーんとしか言えないんだけど、その黒髪の男性と話して心を入れ替えたってことかな。それならそれでいいと思う。根っからの悪人だっているだろうけど、つい魔が差したって人もいるだろうし、いつからだってやり直しは可能だよ。そんな状況だから裁判になっても全面的に肯定するだろうってことらしい。なら一件落着なのかな。


「ということはソナルクさんも安心ですね」

「安心ですか?」

「ええ。ほら、ギルドの先輩でしたっけ? 変なことにもならなかったから思いきりアプローチでき――」

「それは早計といわざるをえませんなにせなにか進展があったわけではなく単に言い寄られていただけという結果だけがのこり男性が嫌いな研究者というレッテルがはられてしまいましたからそんな状況でも以前と変わらずに話をしてくれる先輩には尊敬とほのかな恋心を抱いているだけで十分幸せでして目が合っただけでおにぎり三個は行ける――」

「高速詠唱しているから落ち着きましょう」

『マリアちゃん! なんで止めるの! 情報! 情報を引き出さないと! 戦いは情報が大事なのよ!』

『エスカリテ様は何と戦っているんです?』


 最近、思った。私ってツッコミ役なのでは? 巫女ってそういうものじゃないよね? 周囲にボケ役が多いのはつらいぜ。もっと他にツッコミ役はいないだろうか……ガズ兄ちゃんかみっちゃんかな。みっちゃんたちと合流したら今後はツッコミ役をお願いしよう。


「マリアちゃん、お待たせ、ギルドマスターから許可をもらってきた!」


 そう言ってルルさんが部屋に入ってくると、その手には大き目な羊皮紙があった。なかなか年季が入った物だから宝の地図みたいに見えちゃうね。


「ありがとうございます。では、さっそく見せてもらっても?」

「もちろんよ。ソナルクちゃんが見てもいい許可も貰って来たから皆で見ましょう!」

「わー、ありがとうございますー! ちょっと興味あったんですよー」


 うーん、平和。こういう日々が続いてほしいね。そのためにも信仰心を稼いで勇者さんと魔王さんをしっかり助けよう。そんじゃ、地図の確認をしていこう。


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