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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第四章

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黒い鳥が来た


 久々の辺境も良かったけど、王都の教会も落ち着くね。第二の故郷と言ってもいいのかもしれない。孤児院の皆は元気よく送り出してくれたけど、一部の子は寂しくて泣いてたみたいだ。思ってたよりも皆に好かれていてちょっと驚いたね。結構げんこつを食らわせていたんだけど、いい子に育ってくれてよかったよかった。


 それに孤児院でもエスカリテ様の信仰心を稼ぐために色々してくれるみたいだからありがたい。同時にお金稼ぎにもなるから助かる。エスカリテ様が自分の像にこれでもかって祝福をしていたから、あの孤児院はこれからもいい事が起きるだろう。先生はちょっと嫌そうな顔をしていたけど。エスカリテ様の祝福が強すぎて落ち着かないとか言ってたっけ。


 その先生も私よりも前に孤児院を出発して神器がある遺跡へ向かったみたいだ。最初からそういうのを取りに行って売ればお金になったのに。まあ、足元見られて二束三文で買われた可能性はあるけど。今は売らずに勇者さんや魔王さんを助けるために使うだけだから問題はないと思うんだけど、先生、たまに抜けてるからね。ちょっと心配。


 みっちゃんとアレイダちゃんはまだやることがあるから一緒には来なかった。今度魔国へ行くときまでには王都に来るとか言っていたけど、魔法の訓練をするんだろうね。ツンデレなおばあちゃんが文句を言いながらも色々やってくれるみたいだから、その期待に応えようとしているのかも。今まで魔力で色々あったわけだから、それを取り戻すくらい魔力で色々やれるようになって欲しいもんだ。


 一緒に帰ってきたガズ兄ちゃんは孤児院の料理部隊に色々教えてたな。主に料理だけど、スイーツも教えていたみたいだ。それに作った料理の絵を描いてもらっていた。メニューにイラストがあるといいって話をしたら、即実行だよ。今度お店で使ってみるって言って、帰ってきたらすぐさまお店の方へ行っちゃったね。オムライスに猫の絵を描けるようになってたし、料理に対する意気込みがすごいよ。


 そして司祭様も一緒に帰ってきたわけだけど、なぜかみっちゃんに邪魔されたとか言っていた。なんのことか分からないけど、教団のお仕事がたくさんあったようで、あまり話はできなかったな。お仕事大変だったんだろうね。そもそも辺境にある教団の施設って結構ボロボロだったみたいだし、支援金がどれくらい必要なのか確認していたとかも言ってた。お仕事に一生懸命の人っていいよね。またクッキーの差し入れでもしよう。


 リュートちゃんは報告があるとかで今はいないけど、エルド様や執事さんに話をするんだろう。なぜかギザリア様も連れて行ったけど、元神である証明のためかな。色々と情報を共有して、いざというときはエルド様にお力を借りよう。王族とか貴族に借りを作るのはどうかと思うけど、そんなことを言ってたら信仰心は得られない。大義のためなら手段は選ばんぜよ……!


 さて、里帰りもひと段落。今度は魔国へ行くための準備をしつつ、エスカリテ様の信仰心を稼ぐために色々せねば。


 まずは冒険者ギルドかな。魔国へ行くわけだし、ここは一度世界地図みたいなものを確認しておきたい。ぼんやりとした形は覚えているんだけど、知識が微妙だ。みっちゃんに聞けば一発なんだろうけど、あまり邪魔したくないし、自分で出来ることは自分でやっていこう。


 そんじゃ、帰ってきたばかりだけど、まずは教会の掃除、それに畑の確認をして、鳩たちに餌をあげて……やること多いな。


 ……はて? 教会の玄関というか入り口には鍵をかけておいたんだけど、なぜか開いている……というかこじ開けた? まさか泥棒?


 貴重品は全てエスカリテ様の家に置いてもらっているから盗まれても困るような物はないけど、エスカリテ様たちの像とか持っていかれてないよね?


『エスカリテ様、もしかしたら教会に泥棒がいるかもしれません』

『え? 泥棒? ……ん? んんん?』

『どうかしました?』

『いや、なんていうか、悪寒が……』


 神様って悪寒を感じるの? どういうこと?


 入り口の扉を少しだけ開けて中を覗く……なんか孔雀くらいのデカい鳥がいる。でも黒い。礼拝堂のど真ん中にいるんだけど、あの鳥が扉の鍵をこじ開けて中に入ったのかな?


『うげ!』

『うげ?』


 エスカリテ様の驚きの声らしきものが頭に響いたと思ったら、鳥がこっちを見た。


『あ! エスカリテ! 貴方、どこ行ってたのよ!』

『ミナイル! アンタはカラスになったの!?』


 え? ミナイル? 美を極めようとしていて、ギザリア様も「うわぁ……」って言うほどの神様のこと?


『カラスじゃないわよ! この美の化身とも言えるミナイル様がカラスに転生するわけないでしょ!』

『だって黒いわよ?』

『これはフェニックス! ちょっと火加減を誤って焦げたの!』


 フェニックスって火の鳥とか不死鳥のこと? 死んじゃっても火の中から蘇るってあれだ。でも、火の鳥って焦げるの?


『そんなことよりも!』


 ミナイル様らしい黒い鳥がくわっと目を開いた。


『貴方、私の化粧品の資料を勝手に使ったでしょ!?』

『ああ、うん。別にいいかなって』

『普通、そういうのって私に許可取るもんでしょ!』

『死んでたでしょうに。それに転生しているなんて知らなかったから』

『……それもそうね』


 おう、なんか感情の揺れ幅がでかいな。さっきまで怒ってたのにいきなり怒りが収まった感じだ。


『かなりの時間が経っても私が研究させた化粧品よりもいい物が出来なかったみたいだし、出回るのも仕方ないか……でも、あの化粧品がエスカリテの手柄になっているのは納得いかない……!』

『アンタがあの当時から独占しなかったら今でも名前が残ってたかもしれないのに』

『美を極めようとしない者にあの化粧品は過ぎた物なの!』


 出た。美を極める。たしかにミナイル様の像を見た限り、かなりの美人さんだけどさ、美を極めなくたって、ちょっとでも綺麗になりたいと思うのは女性として抗えない当然の感情よ。とくに好きな人の前ではな!


 おっと、そんなことを思う前に挨拶をしておいた方がいいよね。


『あの、ミナイル様、私、エスカリテ様の巫女でマリアと言います』

『ああ、そうなのね。私は美の女神ミナイルよ……私の声が聞こえるのね?』

『はい、聞こえます』


 自分で美の女神って言った。こんな風に自信を持って生きられたら人生変わるんだろうね。良い方か悪い方かは別にして。


『私の像をしっかり磨いてくれていたみたいだし、今日から貴方は私の巫女よ!』

『はい?』

『くらぁ! ミナイル! アンタ、焼き鳥にするわよ!』

『元々焼けてるわよ!』


 戦いが始まった。私には見えないけど、エスカリテ様がいるであろう場所にミナイル様が攻撃しているんだろう。止めた方が良いのかな?


 そう思っていたら、外から鳩たちが入ってきた。


「くるっぽー!」

『援軍!?』

『あはははは、我が鳩の軍団に恐れおののくといいわ!』


 今度はミナイル様と鳩たちの戦いが始まった。まあ、戦いは数だよね。ミナイル様がぐったりとして倒れている。なんかギザリア様にも勝ってたみたいだし、エスカリテ様の鳩軍団強いな。そしてエスカリテ様は大笑いだ。しかも「やーい、やーい」とか言い出した。子供か。


 でも、結構気が晴れたみたい。ナギスダって神が転生していることを聞いて、ちょっとだけへこんでいる感じもしていたし、ここはミナイル様に感謝かな。


『もう、ダメですよ、せっかく昔のお友達が来てくれたのに』

『別に友達じゃないけど?』

『一緒に馬鹿なことをできるのは友達と言うんです。悪友とも言いますが』


 とりあえずミナイル様の寝床を作ってあげよう。ギザリア様の寝床もあるけど、隣でも大丈夫かな……?


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