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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第四章

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孤児院の皆に頼もう


「マリアお姉ちゃん、お土産にもらった絵本なんだけど」

「知り合いの巫女様に描いてもらったんだけど、どう?」

「私ならもっとリアルに描ける!」

「いやいや、これは子供向けに描いてもらったものだから」

「そっかぁ、子供向けにわざと崩して描いてるんだ?」

「皆もまだ子供だよね?」


 芸術神ミリリン様の巫女であるラーザさんに描いてもらった絵本をお土産に持ってきたけど、うちの子達は目の付け所が違うぜ。しばらくは読んで楽しんでいたんだけど、今は皆で絵本を描き始めたよ。桃や竹から生まれる子の話や亀を助ける話がなぜかアレンジされて追放物や悪役令嬢物になっているけど。


 王都でソナルクさんに錬金術で紙を作ってもらったんだけど、魔力操作が丁寧なのか、すんごい品質がいい紙なんだよね。材料があるから何枚でも作れるって言うので結構貰って来たんだけど、それがかなり消費されているよ。インクもタダじゃないんだけどな……クレヨンつくるか。絵の具でもいいんだけど、クレヨンなら顔料と蝋でいいって聞いた気がする……よく分からないからソナルクさんに相談だ。なんか絵の具とかも錬金術で作ったことがあるとかないとか言ってたし。


「マリアお姉ちゃん、これが聖都で流行っている服なの?」

「そうだね、最近だとそれがオシャレだとか」

「うーん、このヒラヒラが邪魔だと思う」

「あ、そう……?」


 ラーザさんが描いた聖都のオシャレ衣装、ファッション誌を作ろうと思って貰って来たわけだけど、デザインに関してうちの子達は駄目出ししてきたぞ。今なら服を買えるだろうけど、いまだに手作りしてるみたいだし、そういうことに興味があるのかな?


「単純こそ最適解。でも、そもそも機能性は無視してるのかな? いや、それでもここをこうした方が良い気がする。男性受けは悪くないはず」

「えー、これをこうじゃない?」

「あ、その手があったか。確かにそれはそう」


 うちの裁縫部隊は怖いぜ。見ているデザインはラーザさんがデザインしているわけじゃないからそんな評価でもいいんだけど、なんか原型を留めていない感じの服がデザインされた。しかも作ってみようとか言いだした。上手く作れたら売ろうとかも言ってる。絵本チームの方もそんなことを言い出したし、うちの子達、たくましすぎない? 誰がこんな風に育てちゃったの?


「明らかにマリア姉さんでしょうに」

「みっちゃん? 私の頭の中を読んだ?」

「口に出して言ってたよ」


 おっといけねぇ、あまりにも驚いたから口に出ちゃってたか。でも、皆がたくましくなっているのは私のせいだろうか。違うと思うけど。


「マリア姉さんが色々やってたから皆が真似してるんじゃない」

「え? そうなの?」

「そうだよ。考えるのはタダ。それがお金になったら美味しい物が食べられるって」


 自分の言葉なんだけど、ちょっと恥ずかしくなってきた。がっついてたなぁ、私。でも、今はともかく、孤児院にはお金がなかったからね、皆に食べさせるためにはお金が必要だったんだよ。お金だけが大事じゃないとも教えておく必要があるんだろうけど、お金が無きゃ生きていけないからなぁ。


 今は孤児院の補助金も増えたらしいし、私も仕送りできるから皆の将来は安泰かな。もしかしたら、芸術家とかデザイナーが孤児院から出たりするかも。さすがに夢を見すぎかな?


「畑の方とかもすごいよ」

「え? どんな風に?」

「巫女のトッカさんだっけ? カブトムシと交渉して野菜の一部を渡して畑を防衛してもらってる」

「あ、本当にやってくれたんだ?」


 交渉できるかどうかを聞いて、できるとは言ってたけど、本当にやってくれたんだ。ありがたい話だね。どのあたりに住んでいるか知らないけど、今度ちゃんとお礼を伝えに行こう。


「この間、街の方へやってきた狼の魔物を撃退してたし、町の人も感謝してたよ」

「カブトムシなのになぁ」

「最近だと養蜂も盛んだね。安全な場所を提供する代わりに蜂蜜を貰ってるみたい」

「へぇ、ちょっと話をしただけだったのに、色々やってくれたんだ。これはお礼の言葉だけじゃなくて、なにかお土産を持って行かないと駄目かな……」

「どちらかというと、トッカさんの方がマリア姉さんへのお礼だって言ってたけどね」


 はて? お礼って何かしたっけ? 確かに案は出したけど。ああ、もしかしてエスカリテ様が持ってきてくれた資料のことかな。それなら私じゃなくてエスカリテ様のおかげか。どっちにしても今度トッカさんに会いに行こう。


「それとクフムおばあちゃんも来てたね」

「え? クフム様が?」

「うん、結構な値段で取引できる薬草の苗を持って来てくれてね、自分が買い取るから畑で育てて欲しいって」

「あー、クフム様しかエキスを抽出できない薬草かな。しかも専売契約か。ありがたいねぇ」


 司祭様と通してクフム様のことも色々聞いてはいたけど、最近はものすごく重宝されているみたいで、他国からのスカウトも多いとか。でも、クフム様はこの国を出るつもりはないみたい。全部お断りしているとか。


 そういえばトッカ様も同じだとか。虫によるネットワークは結構広範囲だし、天候や魔物の群れを発見するセンサーは冒険者ギルドがかなりありがたいってルルさんも言ってたっけ。


 ……おいおい、エスカリテ様の信仰心が減っちゃわない? 嬉しいことは嬉しいけど、ちょっと複雑。やっぱり他国でエスカリテ様の信仰心を稼がないといかんか。


 ルガ王国の呪病のおかげと言ってはあれだけど、あのおかげで周辺国にエスカリテ様の像を送れたけど、まだまだ足りない。ここは次の手をうたないと。


 ……思い出した。ゆるキャラだ。エスカリテ様のゆるキャラ風ぬいぐるみを作って売ろうと思ってたんだ。いや、ここはあみぐるみで行くか。毛糸だけなら結構あるはず。


「マリア姉さん、また変なことを思いついたの?」

「変なことって何さ。それはともかく、うちの子達の力を借りないと」


 うちの裁縫部隊は自分たちが考えたデザインの服を作ろうと頑張っているけど、そこに突撃だ。エスカリテ様のあみぐるみを作ってもらっちゃおう。


「みんな、ちょっといい? お金、稼がない?」


 食いつきがいい。さすがはうちの子達よ。




『これ、私だ! 私の人形! そっくりじゃないけど、そこがいい感じ!』


 エスカリテ様が驚きの声を上げている。いや、説明したじゃん。しかし驚いたのは私もそう。この孤児院にもエスカリテ様の像を置いてもらっているんだけど、それを可愛らしくして毛糸であみぐるみを編んでもらったら、あっという間にできたよ。私のつたない説明だけでここまで作れるうちの子達が怖い。しかも現状で満足してないというか、別衣装バージョンを作るとか言ってる。その歳で別バージョンに気付くとは、恐ろしい子達だよ。


 それはともかく、エスカリテ様に説明しないとね。


『これが前世でよくあったゆるキャラです』

『ゆるキャラ……?』

『ゆるい感じの愛されキャラクターってことです』

『ああ、お饅頭の猫ちゃんみたいにデフォルメされているわけね……この髪の毛だけはちょっと誇張しすぎじゃない? 私の寝癖ってここまでじゃないでしょ?』

『これはアホ毛なので』

『アホ毛!? その名称に悪意を感じるけど!?』

『いいですか、愛されるためには欠点が必要なんです』

『そっかぁ……そっかなぁ……? でも、これをどうするの?』

『もちろん売りますけど、子供向けですね。大人にはミニ石像を売りつけます』


 お子様にもエスカリテ様を信仰してもらおう。信仰心は神様に対する感情だあればいいんだから、可愛いと思ってもらえるだけでも信仰心になりそうだし。それにミニ石像だって大量生産は難しいからね。王都の石工技師さんはかなりやる気になって作っているとは聞いたけど。


『お? なんだこれ? エスカリテか?』

『ギザリア様』


 リュートちゃんの肩に乗ったギザリア様がエスカリテ様のあみぐるみをみて不思議そうな声を上げている。そしてリュートちゃんは両手を前に出してアワアワしている。可愛い物が好きなんだね。


『どうよ、可愛いでしょ!』

『なんかこう、寝癖がエスカリテの特徴を良く出してるよな』

『寝癖じゃなくてアホ毛よ!』

『それでいいならそう言ってやるけど? というか、俺のも作ってくれよ。なんか面白そうだし』

『可愛いじゃなくて面白いですか、なら皆に頼んでみますけど』

『おう、頼むぜ!』


 数時間後にできたわけだけど、ギザリア様はちょっとご不満だ。


『なんで猫なんだよ! ここは神の時の姿だろ!』

『先にそう言ってくださいよ。だいたい、ギザリア様の像って王都の教会にしかないから、皆はお姿を知らないんですよ』


 結果的にギザリア様の猫バージョンはリュートちゃんが買った。全財産を出そうとしたから止めたけど、毎日崇めそう。これは猫のギザリア様の信仰心が増えちゃうんじゃないのかな?


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