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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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神器を回収しよう


「司祭様、ありがとうございます」

「……いえ、お役に立てたようで何よりです……」

「今度改めてお礼をさせてください。こういう素敵な場所じゃありませんが」

「ええ、楽しみにしています。では、ご武運を」

「はい、頑張ります」


 いやぁ、司祭様いい人だね。なんか聖都で一緒に食事ができないことを申し訳なく思っててくれて、そのお詫びみたいな感じで一緒に食事をしようとお店を予約していてくれたみたい。でも、それよりも先に片付けなくてはならないことがある。それはソナルクさんに言い寄っている商人。エスカリテ様の話だと「魅了の魔眼」という神器を持っているかもって話だ。


 人の色恋沙汰に口を出すわけにはいかないけども、ソナルクさんを利用しようなんて奴ぁ、許しちゃおけねぇ。面と向かって口説くならまだいいけど、卑怯というか裏技というか、見つめるだけで相手の好感度を上げてしまうようなものを使っているなら、それはアウト。お金も容姿も魅力のうちだけど、精神に干渉するようなのはいただけないね。


 そんなわけで、その商人――ザニックというらしいけど、私との伝手も欲しいみたいらしいので、私というデカい釣り針をたらしたら、すぐさま話に乗ってきた。なので、今日は司祭様が譲ってくれたお店で一騎討だ。まあ、リュートちゃん達はいるけどね。


 そのザニックは怪しげな魔道具を利用していることは判明しているけど、神器ならエスカリテ様が回収、魔道具なら破壊、もしくは使用不能にするということになった。これに関してはエスカリテ様も同意してくれている。というよりも、カプくない、ただ、それだけの理由で神器の回収や魔道具を破壊しようと思ってくれている。こういう意識が似ているのは嬉しいね。まあ、そういう人が巫女に選ばれるっぽいんだけども。


 ただ、エスカリテ様、納得してない部分もあるのか、ちょっと不服そうだ。というよりもエスカリテ様は司祭様が関わると情緒不安定。神様なのになぁ。


『マリアちゃん』

『はい』

『あれはどうかと思うの』

『どれのことです?』

『司祭ちゃんがせっかく予約してくれたお店を使っちゃうことだよ!』

『ですが、ちょうどいい感じのお店がそこしかないんですよ』


 司祭様が予約してくれたお店はガズ兄ちゃんのお店で副店長だったワノンさんのお店だ。あれ以降、結構お客さんが入っていて、夜だけは予約制。庶民だとちょっと背伸びしないといけないお値段だけど、色々な演出もあって予約は結構待たないと取れないみたい。司祭様は貴族のお力を使って予約を取ったわけじゃなくて、きちんと順番で取ったらしい。聖国からお手紙で予約を取るってすごいね。


 たしかにせっかく取った予約をこんな感じで使われたら嫌だろうけどさ、そもそも奢ってもらう理由がないんだよね。しかもここって今じゃ恋人同士なんかが使う場所だよ。聖国で一緒に食事ができなかったのなんて、ちょっとしたお店の話で高級感溢れるような場所じゃないし、お詫びは食べ歩きで十分なのに。なので、ここは私がお金を払って予約を売ってもらった。


 エスカリテ様としてはそれが良くないらしい。


『マリアちゃんてさー』

『なんですか、その呆れたって感じの声は』

『私が思うに前世でマリアちゃんに男運がなかったのは……』

『なかったのは?』

『マリアちゃん自身のせいだと思う』

『え? そんなわけないですよ。男運がないのは私のせいじゃないかと』


 私に言い寄ってくるような男は、お金を目当てにしてた詐欺師ども。そういうのを引き寄せてしまうのは私のせいだとは思うけど、男運がないのは私のせいじゃなくて運命的ななにかでは? 前世にも神様がいたなら、神様のせいだと言ってもいい。


『たぶん、マリアちゃんの周りには素敵な男性もいたと思うよ』

『そりゃいましたよ。私に釣り合うような普通の男性がいなかっただけで』

『……むしろマリアちゃんに釣り合わないって思う男性の方が多かったんじゃないかな……ああもう! いいマリアちゃん!』

『なんですか、いきなり大きな声をだして』

『鈍感は七つの大罪に匹敵する罪だからね! むしろ八個め……いえ、大罪よりも罪は重いよ!』

『はぁ、いきなり何の話です?』


 そもそもなんでこんな話に? だいたい鈍感ってなにさ。前世で私を好きだった普通の男性がいたってこと? んなわけあるかい。こちとら常にアンテナ張って気がありそうな男性には敏感だったよ……いなかったけど。いいと思った男性はみんなスペックたけぇ。他の女性がほっとかないよ。


『ぐぬぬ、言っちゃう? 言うべき? いや、ここは……ううん? ああもう、こんなに悩んだことない! 神なのに!』

『なにを葛藤してるんです?』

『マリアちゃんのことで葛藤しているんだよ! とにかく!』

『はい、なんです?』

『司祭ちゃんにはちゃんとお礼とお詫びをしないと駄目だからね!』

『それはもちろんしますよ』

『今考えている十倍くらいはして!』

『十倍って』

『それくらいしてあげないと不憫すぎて見てらんないの!』

『はぁ、まあ、頑張りますけど』


 司祭様ってそもそも王子様だよ。どんなことをお礼にしたって滅茶苦茶喜ぶなんてないと思うけどね。もちろん、色々お世話になってるし、今回も無理を言って予約を譲ってもらったんだから、お礼はするけどさ。ここは異世界知識を絞り出すしかないかも。今は思いつかないけど。


 まあ、それもこれも今回のことを乗り越えてからだ。私は詐欺師には厳しい。二度とこんなことができないように、ぎったんぎったんにしてやる……!


『とりあえず、全て終わってからですね。かなり気合入れて潰しますので』

『私もすっごいやる気になって来たわ。認めてるわけじゃないけど、つまんないことにマリアちゃん達を巻き込むなんて許せん!』


 なんか私以上に怒ってる感じだけど、それじゃ乗り込みますかね。一応、相手の気を引くためにしっかり準備した。式典の時に作った服はもったいなくて着れないけど、聖都で流行っている服……に似た服を買った。それにソナルクさん謹製の化粧品も使ってある。これなら式典のときみたいに馬子にも衣裳くらいになっただろう。


 さあ、いざ出陣!




「いやぁ、マリアさんの方から声をかけてくれるなんて幸せだなぁ、僕は」

「いえいえ、どうもソナルクさんにそんなことを言っていたと聞きましたので」

「そうそう、マリアさんからも言ってもらえませんか、こんな小国の錬金術師ギルドに所属せず、もっと大国、たとえば、ダルモダ王国やセスノウト連邦あたりのギルドに所属してはどうかと」

「ずいぶんと大きな国ですね」

「私ならそういう国のギルドとも縁があるということです。商売は人脈が物をいいますからね!」


 アンタの人脈は神器のおかげじゃないか。というかダルモダ王国やセスノウト連邦ってどこ? 知らないよ。だいたい、この国が小国だぁ? 確かに小さな国だけど、いいところがいっぱいあんだぞ。しかもいい歳した男性が僕っ子か。駄目とは言わないけど、もうちょっとTPOを弁えろ。それが許されんのはお転婆エルフだけだ。


 顔の造形はいいし、茶髪もしっかり整えられていて、さらには服も高級品っぽい物を身に付けている。なんかホストっぽい。詳しくはしらないけど、デカい宝石が付いているアクセサリーもつけてるからたぶんお高いんだろう。これ見よがしに金持ちアピールか。派手過ぎて逆に品がないよ。


 それだけならまだギリ許せるけど、さっきからこっちを見る目が完全にアウト。まとわりつくというかなんというか。それに私だけじゃなくて、給仕をしているワノンさんの奥さんにもそんな視線を向けている。それで好感度を上げているわけだ。


 とはいえ、効果はないけどね。私にはあらゆる魔法を撥ね退ける指輪があるし、ワノンさんの奥さんや見えないけど待機しているリュートちゃん達にエスカリテ様が祝福をしているから無効。好感度が上がるどころか、下がり続けているよ。


 というわけで採点。マイナス七億点、さらに倍のマイナス十四億点だ。エスカリテ様が言う通り、評価に下限はねぇんだ。いまだに下がり続けてるよ。


『エスカリテ様、そろそろきついんですけど、まだかかります?』

『もうちょっと……はい回収完了。遠隔って骨が折れるわー』


 神様が骨が折れるって言うのもあれだけど、どうやらエスカリテ様がやってくれたみたいだ。神器だけじゃなくて、他にも色々と魔道具を持っていて、エスカリテ様が全部無効化してくれた。私が触れていれば楽なんだけど、さすがに初対面の人には触れないし、触りたくない。なので時間がかかったけど、これで相手は完全にただの人。ならここからは私のターン。もう相手のターンはない。


「それでどうですか、マリアさんも」

「え? なんですか?」

「ですから、私の商会がある国に住まないかという話です。一度拝見しましたが、あんなぼろい教会よりも、はるかに綺麗で大きな教会を建ててあげますよ。それこそ大聖堂よりも大きな、ね」


 うげぇ、ウィンクしやがった。それが許されるのは絶世の美男美女だけだぞ。司祭様だってギリアウトだ。それにあの教会がぼろい? 商人なのに節穴か。


「おそらく建てられませんね」

「おや、なぜですか?」

「貴方の持つ神器を回収したからです。それに魔道具は全て無効化してあります」

「……なんですって?」

「神器は人には過ぎた物なのでエスカリテ様が回収しました。そして貴方が持っているいくつかの魔道具、違法な物もあったようですね。とくに精神に干渉する魔道具は大半の国は違法ですよ」


 神器「魅了の魔眼」だけじゃなくて、他にも色々な物を使ってた。そう言うのってどの国でも禁止だよね、王族が操られたら大変だし。大昔にそんなことがあってからどんな国も禁止にしてる。


「い、いや、私はそんな魔道具は――」

「神に仕える巫女の前で嘘が付けるとでも? それに精神干渉はなくなりました。貴方に好感を持っていた人も今は何とも思っていないどころか反動で嫌悪感が増しているはずです。貴方をかばってくれる人はどこにもいないでしょう」

「ば、馬鹿な……」

「今頃、貴方の商会は大変なことになっているでしょうね。アコギなことをしているようですし、安い賃金でこき使っている人たちもいるのでは? 外にいる貴方の護衛達もこれまで搾取されていた分のお金を奪って逃げたようですよ」

「嘘だ! そんなわけ……!」

「そんな貴方に一つだけ朗報があります」


 そう言ってニコリと笑う。くっくっく、悪女ほど笑顔が素敵なのだよ。心から笑っているからな!


「奢ってくれると言ってましたが、ここの代金は私が責任をもって支払っておきますので心配する必要はありません。なので安心して取り調べを受けてくださいね」


 かつ丼は出ないけどな。あれって自腹って聞くけど本当かな……?


 そんなどうでもいいことを考えていたら潜んでいたリュートちゃんたち楽団の子達が現れてザニックを瞬時に拘束した。なにか暴れているけど脱出は不可能っぽいね。


「ち、違う! ぼ、僕は神に選ばれたんだ! この魔道具さえあれば必ず大成できると! 僕も貴方と同じように神の言葉を聞いたんだ! 僕たちは同志で仲間なんだよ! 助けてくれ!」


 全員が私の顔を見た。いや、そんなこと言われても、男性の巫女っていないよね。というか、男性だと巫女じゃないし。一応確認しておこうかな。


『エスカリテ様、あんなことを言ってますけど』

『ないない。神器を渡した誰かがいるんだろうけど神なわけがないよ。私、二千年近く眠てたし』

『神はそうでしょうけど、天使のだれかでは?』

『この世界に顕現できるほどの天使がいるとは思えないな。ああ、でも、戦神は巫女に憑依してたっけ? 天使に接触した可能性はあるかもしれないけど、そんなことをする理由が分からないかな。それに――』

『それに?』

『何かあったとしても、どうしようもない気がする』

『確かに』


 面倒に巻き込まれたけど、だからと言って何かできる話でもない。これだけの情報で世界を回って調べるわけにもいかないしね。それにエスカリテ様への信仰心が増えれば、その辺りも知ることができるかも。どちらにせよ、助ける選択肢はないね。


「エスカリテ様の話ではありえない、とのことです。なので連れてってください」

「違う! 本当だ! 神が僕に――」

「そうであっても助ける理由にはなりません。あしからず」


 神様――天使に神器を渡されたからなんだっていうことだよね。それと罪は全くの無関係。巫女だからって何をやっても許されるなんてないんだぞ。司祭様にも教わった。傲慢くらいなら許されても罪は許されない。私も気を付けよう。


 あ、リュートちゃんが手刀で意識を奪った。あれって実際にできるんだね。そんなことよりもこれでソナルクさんも安心だ。後はコース料理の残りを堪能して帰ろう。少なくとも最後のデザートは食べる……いや、報告も兼ねて司祭様にお土産としてお持ち帰りにしてもらおうかな?


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