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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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派閥争いに巻き込まれたっぽい


「つまり、教団内の派閥争いに巻き込まれたと?」

「ええ、どうやらマリアさんが重要な人物と判断されたようでして」

「私が?」

「私が予定を変更してまで会いに行ったこと、そして聖国に連れてきたこと、さらには大司教アリオンが接触したことが原因のようです」

「そういうことですか」


 リュートちゃんと一緒に神殿に戻ってきたわけなんだけど、すぐさま教皇様と司祭様、それに大司教様が出迎えてくれた。


 そんで縛って運んできた神殿騎士の尋問が行われたんだけど、どうやら所属している派閥のために動いたみたい。正直なところ、大司教様がやったんだと思ってたんだけど全然そんなことなかった。むしろ大司教様も被害者らしく、私をさらうことで大司教様を派閥に取り込もうとしていたとか。


 人が多くなれば同じ思想の人が集まるわけで、そうなると派閥ができるわけだ。人なんだから当然やね。そして今回、派閥の中でも「帝国派」と呼ばれる派閥が今回のことをしでかしたそうだ。大司教様はどの派閥にも属していないけど、人望はあるので取り込みたいと思っていたんだとか。


 教皇様も大司教様も自身の影響力をもっとよく考えなくてはいけないと反省しているらしい。ただ、今回のことで教団内でも私が有名になってしまったみたいだ。教皇様も大司教様もその火消しというか、普通の巫女と変わらないと説明してくれるみたいだけど、どこまで通用するか。陰謀論じゃないけど、こういうのって面白おかしく想像する人もいるからね。なんか私が大司教様の娘だという噂も出てるみたいだ。似てないだろうに。


 まあ、そんなわけで頭を下げられてはいるんだけど、そもそもリュートちゃんたちのおかげで私には何もおきてないんだよね。さらわれそうにはなったけど、未遂だからね。実行犯たちがどうなるかは分からないけど、教皇様は今回のことで帝国派の勢力を削ぎたいと言っているから、その辺りは全部お任せかな。命だけは取らないようにお願いしたけど。


 そこまではいいんだけどね。問題は司祭様だ。今は警備が厳重な部屋に一緒にいるんだけど、近いよ、物理的に。


「あの、司祭様……?」

「マリアさん、申し訳ありません、私が仕事なんかしてたために大変な目に」

「仕事なのですから当然ですよ。それにリュートちゃん達が守ってくれましたから」

「そうですね。リュート、それに皆も良くやってくれた」

「当然のことです」


 リュートちゃん、いつも通りだけどなぜか誇らしそう。そして護衛というなら、司祭様から私を守って。なんか過保護度が増してない?


「今度は何に置いてもマリアさんをお守りしますので」

「いえいえ、護衛に関してはリュートちゃん達がいますので大丈夫です」

「ですが……」

「なら司祭様には別の形で守ってもらえますか」

「別の形……?」

「司祭として教団の各派閥から私を守ってください。物理的な護衛はリュートちゃん達だけで大丈夫ですので」


 エスカリテ様の祝福まで受けたリュートちゃんが物理的に後れを取るとは思えないんだよね。あるとすれば物理的なこと以外。私のことを調べれば王都の知り合いとか孤児院のことが判明してそっちに迷惑が掛かるかもしれない。ディアナさんの時もそうだったし。そうならないために教団内で派閥を牽制してほしい。たぶんだけど、リュートちゃん達に任せると物理的に排除しちゃうから頼めない。


 私も物理攻撃は嫌いじゃないけど、リュートちゃん達の場合は殺意マシマシだからね。私としては河原で殴り合って友情が芽生える感じの物理攻撃であって、邪魔な奴は排除するような物理攻撃ではない。こっちの世界だと甘いかもしれないけど、前世を思い出しちゃったし、思い出す前もそこまではしてなかったからね。


 この辺りを前世云々なしで説明したら、意外と理解してもらえた。


「そうですね、マリアさんは孤児院の出身、厳しい生活をしながらも孤児たちと力を合わせて生き延びてきた。命の大事さが身に染みて分かっているんでしょうね」


 そんなたいそうな話じゃないです。でも、自分では気づかなかったけど、そういうのもあるのかな。自分の命を大事にしない自暴自棄な新入りには鉄拳制裁を食らわせて言うことを聞かせてたし。まあ、そういうことにしておこう。その方が説得力がある。そういうときは言葉にせず、笑顔になることで肯定する。それが乙女の嗜み。


 ……目をそらされたんだが? しかもなんか咽てる。傷つくぞ、コラ。まあいいや。そんなことよりもお土産を渡そう。


「司祭様、お仕事は終わりましたか?」

「え? あ、ええ、終わりました。すみません、せっかく一緒に食事をする予定でしたのに、こちらの都合で一方的に――」

「お仕事ですから仕方ありませんよ。それにいただいたお詫びでリュートちゃんと楽しめましたので」

「一緒に行きたかったです……」

「それはまた今度で。ただ、お土産を買ってきました」

「お土産……私にですか?」


 なんで意外そうな顔をしているんだろう。まあ、お詫びの軍資金だったから自分には何もないと思ったのかな。おっと、色々あって冷めちゃったよ。これは温めなおしが必要だね。


「すみません、温めなおしますね。あ、それともお腹はすいていませんか?」

「そういえばお昼を食べていませんね」

「それはいけません。是非食べてください。大変美味しかったので」


 本当は出来たてが良いんだけど、仕方ない。こっちの世界には電子レンジとかはないんだけど、食べ物を温める魔道具はある。すんげぇ高価だけど、この神殿には備え付けだ。なのでピザを温めつつ飲み物の用意をしよう。


 個人的にピザにはコーラしかないんだけど、異世界にそれはない……いや、クラフトコーラとか言うのがあったっけ? 手作りできんのかな? まあ、コーラでなくとも炭酸の飲み物を作るのはありか……?


 おっと、それは後だ。飲み物はリュートちゃんに任せよう。護衛だけど、メイドさんだしね。


 そんなわけで用意されたピザと紅茶。さすがに司祭様が一人で食べているのをジッと見つめているのは食べづらいだろうから、一切れだけ頂くことにした。結構時間が経ってるからお腹も空きができた。リュートちゃんに薦めたら、最初は断ったけど、もう一回勧めたら食べてくれたね。


 リュートちゃんはともかく、司祭様はピザを一切れ持ったまま凝視してる。王子様だからこういうのは食べないかな。でも、ここへ来るまでに野宿とかしたときは普通に色々食べてたけど。


「あの、もしかしてピザはお嫌いですか?」

「いえ、そんなことは。ちょっと感動しておりまして」

「……感動?」

「こちらが約束を破ったのにお土産を買って来てくれるとは思わなくて」

「お仕事だったんですよね? なら仕方ないかと」

「兄から聞いたのですが、女性は約束を破ると一週間は口をきいてくれないと」


 それは人それぞれだと思う。私も冷蔵庫の高級プリンを食べられたら同じものを買って来るまで絶対に許さなかった。ああ、プリン、思い出したら食べたくなってきた……作ろ。ガズ兄ちゃんがな!


 あー、でも、司祭様があんなにお詫びの軍資金をくれた理由が分かった。私が口をきいてくれない思ったわけだ。でも、そういうのって、ある程度の関係が構築されたときのことだよね。


「恋人同士だったらそういうことがあるかもしれませんね」

「こ、恋人、同士……」

「知り合い程度でそれはないですよ」

「……知り合い程度、ですか」

「ええ、私と司祭様は仕事仲間みたいなものですしね」

「仕事、仲間、ですか……」

「はい。仕事仲間の中では一番仲が良いと思ってますけど」

「……! そ、そうですか!」

「ちなみに私はマリア様に友達認定されております」


 リュートちゃん、間違いじゃないけどさ、なんでここでそんな宣言を?


「リュートとは友達なのですか……?」

「ええ、年齢も同じくらいですし、護衛とはいえよく話をしますから」


 主に食べ物の話だけど。恋バナではなく食バナ。あと猫バナも多い。


「あとエスカリテ様に祝福してもらいました。この命、マリア様のために使う所存」


 忠誠心の高いカッコイイことをキリッとした顔で言ったけど、直後にピザを口に入れてもぐもぐしているから本気か冗談か微妙だ。


「友達……いや、友達からでは難しいと聞いたことが……」

「司祭様? どうしました?」

「いえ、何でもないです。では、一番仲のいい仕事仲間ということで……」

「はい、これからもよろしくお願いします」


 司祭様、ピザを食べて微妙な顔というか、眉間にしわが寄ってるけど大丈夫かな? 味が合わなかったかな?


『……判定が微妙』

『エスカリテ様? どうしました?』

『いや、うん、なんか、こう、不憫というかなんというか』

『不憫?』

『応援したいようなしたくないようなジレンマというか』

『はぁ』


 何だろう、私以外、みんなおかしくね? いや、リュートちゃんは平常運転か。というか、二枚目のピザに手を出そうとしている。まあ、好きなだけお食べ。でも、見えない護衛さんたちの分は残しておこうね。


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