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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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聖都に到着したぞ


 王都を出て二週間、色々あったけどようやっと聖国の首都である聖都に着いた。


 正式名称は聖都エイリス。勇者さんの名前をそのまま都市の名前にしちゃうんだからすごいよね。木を隠すなら森の中ってことなのか、それとも勇者さんのお墓を作ったことにした場所だからそういう名前にしたのかは不明らしいけど、下手に隠すよりはこっちの方が天使たちを騙せたんだろうね。


 この聖国っていうのは王様はいなくて、国の名前もない。ただ、どんな国もこの国へ侵攻してはならないというような不可侵条約が結ばれているとか。そもそもここは神様たちが保護している場所ということになっているらしく、そういう約束を天使たちと取り付けたのも勇者エイリスさんの妹であるコトさんらしい。カプ厨の本気は怖いね。


 そういうこともあって、この国へ逃げてくる人も多いとか。誰かに狙われていたり、犯罪者だったり、いわゆる訳ありの人達が逃げ込んで来るわけなんだけど、治安に関しては神殿騎士団の皆さんが頑張って維持しているそうだ。ご苦労様です。


 国として成り立つのかって話もあるんだけど、ほとんどが寄付金、そして神殿への巡礼とか観光、当然、ここに住んでいる人たちの税金とか、商人の関税で成り立っているわけだ。よくその程度で国が保てるなって感じはするけど、そんなに大きな国じゃないし、成人した時に必須ともいうべき洗礼の儀とかもあるし、教団や巫女さんに逆らうような人はいないから大丈夫なんだろう。寄付金で脅しをかけてくるような人もいるけどさ。


 そんな事情はともかく、聖都は結構活気がある。馬車から見える人達は笑顔だし、商店の店員さんも元気に声を張り上げてる。道にゴミっぽい物もないし、なんというか秩序守ってますって感じだね。ああ、焼き鳥屋さんからいい匂いがするー。あとで買いに行こう。


「マリアさん、聖都はどうですか?」

「平和そうですし活気があって良いところだと思います」

「そう言ってもらえると嬉しいですね」

「教団の皆さんが頑張っているおかげなんでしょうね」

「それもありますが、基本的には巫女たち、そして天使様の恩恵でしょうね」


 それはそうかも。巫女たちがいなかったら教団が存続できるか微妙なところだしね。とはいえ、この二千年でかなりの信頼を積み上げてきたのも確かなはず。そうでなければ、巫女さん達だって暴動を起こしていたかもしれないしね。


 それに巫女さん達の力を結集して世界征服とかに乗り出すような教団でなくてよかったよ。仕える天使によっては巫女さんだけでも一騎当千だしね。まあ、他国との協力なしにそんなことは無理だろうし、天使も黙ってないだろう。そのあたりの力関係が結構バランス良い状態で保たれているんだと思う。たぶんだけど。


「到着しました。あれが神殿です」


 ……でか! 毎回思うんだけど、教団関係の施設って大きすぎない? 大聖堂が霞むくらい大きいよ。神殿というからパルテノン神殿とかを想像してたんだけど、そんなんじゃなかった。普通に教会だ。馬鹿でかいけど。


「もし疲れていないようであれば、今日にでもエイリス様のところへ案内したいのですが大丈夫ですか」

「はい、もちろん大丈夫ですので、すぐに行きましょう。あ、でもちょっとは休憩したいのですが」

「では一旦マリアさんが使う部屋へ案内させます」

「はい」

「その後、私の部屋に集合ということで」

「分かりました」


 むしろエスカリテ様が早く会いたくて仕方ない感じだし、すぐにでも行った方が良いよね。とはいえ、身だしなみくらいは整えたい。気持ちはいつだって乙女なのだ。


『エスカリテ様もいいですよね?』

『も、もちろんよ! ちょっと怖い気もするけど……』


 どういう心理状況なのかは分からないけど、エイリスさんのことがあってエスカリテ様はブチギレしちゃったからね。そのエイリスさんが生きているとなれば、色々とあるのかも。それとも推しに会うのが久しぶりで緊張するって心境かな?


 とりあえず部屋に荷物を置いてから、水タオルで身体を拭いてから教皇様の部屋へ向かおう。お風呂とかあれば最高だけど、さすがに個室にはないか。




 ……広いよ!


 やばい、この歳で迷子とは。部屋から出たはいいものの、教皇様の部屋が分からない。自分の部屋の場所はちゃんと覚えたけど、他の部屋がどこにあるのか分からん。司祭様ヘルプ! こういう時に颯爽と現れてくれたらいいんだけど、そういうのはないか。


 最悪エントランスへ行けばいいというか、リュートちゃんを呼べばいいんだろうけど。迷子で呼ぶのは恥ずかしい気がする。そもそも神殿の地下へは、教皇様、司祭様、私の三人だけでしか行かないからね。神殿の中ってこともあって、リュートちゃんにはちょっと外してもらっているんだけど、それが裏目に出たか。


『エスカリテ様、教皇様の部屋って分かります?』

『ごめん、何も聞いてなかったから分かんない。三階って言ってた気はするけど』

『それは私も覚えているんですけどね』


 仕方ない。一階のエントランスへ行って誰かに聞こう。聞くは一時の恥!


「君はここで何をしているのかね?」

「え?」


 うおう、司祭様クラスのイケメンが一体出た。しかも先制攻撃を食らっちまったよ。心の準備ができてないところで出現しないで欲しいね。


「巫女のマリアと申します。教皇様の部屋に行く途中で迷子になってしまいまして。お恥ずかしい限りです」

「ああ、君がマリア君か」


 そう言って男性は微笑んだ。おっと、若い子なら一瞬でくらっと来るくらいのスマイルだよ。私には効かんが。というか、私のことを知っているのか。ちょっと警戒。


「私は教団で大司教を務めているアリオンだ。よろしく頼むよ」

「はい、よろしくお願いします」


 大司教ですって。会社でいうならエリアマネージャー的な人じゃないの。その下に支店長的な司教様がいて、さらにその下にバイトリーダー的な司祭様がいる感じのはず。たぶん、司祭様の上司に当たるんだろうけど、別部署だろうね。


 若そうに見えるけど、大司教ともなれば相当な歳なのかな。見た目は三十代でも通りそうだけど、実は四十代、下手したら五十代ってこともあり得る。


「教皇様の部屋なら私が案内しよう。ついてきなさい」

「ありがとうございます。助かります」


 本当に助かった。恥をさらすのは最小限に済ませたいからね。というか、こんなに広いならいろんなところに地図を置いてほしいよ。おっと、置いて行かれてしまう。すぐについて行こう。


「教皇様はマリア君をずいぶんと買っているようだ」

「と言いますと?」

「予定を変更してまでアデルラルドまで行ったことといい、その後、聖国まで連れてくるとは異例中の異例なのだよ」

「ああ、そういうことですか。予定を変更した理由は分かりませんが、連れてきてもらえたのは聖都を見たいと私が駄々をこねた結果なんですよ」


 状況が良く分からないので基本的にすっとぼける。何か聞かれたらこう答えろという模範解答があるので安心だ。予定を変更してアデルラルドまで来た理由に関しては私は知らないってことになってる。その辺りは教皇様や司祭様にお任せだ。


 しかし、普通に探りを入れて来たね。神殿騎士のリーダーさんはかなりいい人だったんだけど、この大司教様はどうかな。教皇様の話では権力争いとかもあるらしいから注意するように言われてはいるけど。


「そう警戒しなくていい。大体のことは教皇様から聞いている」

「何のことでしょうか?」

「おや、本当に何も知らないのか」

「えっと……?」

「いや、気にしなくていい」

「はぁ」


 ……あぶねぇ! このイケオジ、普通にそういうことをするタイプか。カマかけてきやがったよ。今のところ敵か味方か分からないけど、そういう時は敵だと思った方がいい。私は無垢な少女という感じで通そう。


 さて、やられっぱなしでは癪だね。ここいらで反撃するか。反撃になるか分からないけど軽くジャブだ。左を制する者は世界を制す、シュッシュッ。


「アリオン様は大司教様なのですよね?」

「そうだが?」

「今日は神殿で何をされているんですか。私としては助かりましたが」


 今日帰ってくる教皇様が待ってたんじゃないの? 私のことを知っていたし、偶然を装って接触してきた可能性もある。情報収集を自分でやるタイプだと見た。まともに答えるとは思えないけど、揺さぶっておこう。


「気になるかね?」

「はい。大司教様は司教様たちを統括する立場だと聞きました。よほどのことがない限り管轄地域を離れることがないと聞きましたので」

「なかなか勤勉だ。巫女になったばかりだとは思えないほどの知識だな」


 おっと、ちゃんと答えずに揺さぶりに対して揺さぶって来た。こりゃまともな理由でここにいないな。まあ、下手に追い込む必要はない。世間話を装わないと。


「ここへ来る間に教皇様に教わりました」

「そうかね。巫女の中にはそういう知識を得ることが苦手な子もいる。皆が君のような子になって欲しいものだ」

「私は孤児でしたから、見るもの聞くものの全てが新鮮なだけですよ。物を知らないだけです」

「自分が知らないことを分かっている、それが知識を得ようとする最初の準備だと思うがね。まあ、これからも頑張りなさい。知識は宝だからね」

「はい、ありがとうございます」


 話を打ち切ったね。ここにいることは教えたくないってことか。なら聞かないでおこう。藪蛇になったら困るからね。後で教皇様に聞いてみよう。


「さて、ここが教皇様の部屋だ」

「ありがとうございます。助かりました」

「いや、大したことではない。では、また機会があれば会おう」

「はい、その時はまたよろしくお願いします」


 大司教様は少しだけ微笑んでから普通に廊下を戻って行った。なんだか危険な香りがプンプンするね。そういう男性に惹かれる女性もいるだろうけど、私が男性に求めるのは、安心、安定、そこそこの稼ぎ、そして筋肉。それに大司教様はなんか前世の彼氏たちの一人に雰囲気が似ている。大罪のロイヤルストレートフラッシュ並みの危険を感じちゃうね。


「マリアさん」

「司祭様」

「ここには何度か来ていますが、いまだに迷ってしまいます。マリアさんは大丈夫でした――私の顔になにか?」

「いえ、司祭様はそのままでいてくださいね」

「えっと、わかり、ました……?」


 司祭様からは危険な香りがしないね。どちらかと言えば天気の日に干したお布団的な感じだよ。実際にそんな香りはしないが雰囲気がね。これでイケメンじゃなくて王族じゃなくて筋肉があれば私の理想に近づくんだけどなぁ。残念残念。


 さて、そんな馬鹿なことを考えていないで、さっそく教皇様の部屋に入ろう。


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