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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第二章

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石鹸を作ろう

 

 目の前にいる魔法使いの女性はソナルクさん。


 食事をおごる代わりに話を聞かせて欲しいと言ったら食いついた。エスカリテ様のカプチュウが騒ぐのもあるけど、魔力が高いなら色々と手伝ってもらえるかもしれないからね。こういうところはビジネスライク。まあ、お腹を空かせている子を放っておけないってのもあるけど。


 色々と料理を頼んだら、気持ちいいくらいの食べっぷりを見せてくれた。ここ数日、何も食べていなかったみたい。そんで、ちょっと落ち着いてから話を聞いたんだけど、世の中には悪い人が多いね。


「護衛料金を値切られた上に取り分を他のメンバーに奪われたと」

「ぞうなんでずー!」


 隣国から何人かで護衛をしつつ王都まで来たんだけど、護衛対象の商人が最終的に報酬を減らしてきたという。そんなのがまかり通るのかと思ったけど、持ってきた商品が壊れたとか護衛のやり方が悪いとかいろいろいちゃもんを付けてきたわけだ。最終的に護衛料金が減った状態になったわけだけど、取り分を減らしたくないメンバーは今回の責任をソナルクさんにすべて被せたという。


 護衛してきたのに護衛料金を一切貰えずにパーティを追放されたとか。それが二週間くらい前。冒険者ギルド経由の仕事なので訴えたのだが、ここのギルドと隣国のギルドは別物なので、そのトラブルには対処できないらしい。気の毒に思ったルルさんは格安の宿を紹介したみたいなんだけど、それでもお金は減るし、ギルドで日銭を稼いでいたけど、さすがにお金が尽きてしまったとか。


 最後にお金はないけど大好きなフライドポテトを食べて自首しようとしたところで私に声をかけられたという状況だ。お腹が減ると判断が鈍るよね。


「気が弱くて何も言い返せなかった私が悪いんです……」

「そういう子を狙ったんだろうなぁ」


 もしくはそういう時のために護衛のメンバーに入れていた可能性もある。それとも最初から取り分を渡すつもりはなかったとか。悪い奴は根っこからして悪い奴だからね。孤児院でそんなことしたら鉄拳制裁だったけども。でも、魔力があっても仕事に困るんだなぁ。いろんな仕事で引っ張りだこだと思うんだけど。


『ねぇ、マリアちゃん。なんとか助けてあげられないかな?』

『事情を聞いちゃった以上、当然助けますよ。でも、どうしたものかと』

『魔力があるから仕事を紹介するとか?』

『いいですね、その線で行きましょう』


 とはいえ、魔力を使う仕事ってなんだろう。私としては錬金術を学んで欲しいけど。錬金術ができるなら私が雇いたい。念のために聞いてみよう。


「ソナルクさんは錬金術とかできます?」

「えっと……?」

「急にすみません。もし錬金術ができるならお仕事を頼みたいと思いまして」

「ほ、本当ですか!? 基礎だけはかじっているので簡単な物でしたらできます!」


 簡単な物……コスメって簡単な物なのかな?


『エスカリテ様が持ってるコスメのレシピって簡単な物ですか?』

『どうかな? 結構難しいような気がするけど、一番簡単そうな、お肌つるつる石鹸のレシピを見てもらう?』


 普通の石鹸はこの世界にもあるんだけど、錬金術で作る石鹸もあるらしい。それがエスカリテ様のいうお肌つるつる石鹸。とりあえず、見てもらおうか。


 エスカリテ様の言葉通りにレシピを紙に書きだす。正直、私には意味が分からない部分もあるけど出来上がるのは重曹的な石鹸かな? ソナルクさんは分かるんだろうか。


「えっと、失礼ですが字は読めますか……?」

「はい、大丈夫です。えっと、これを作ればいいんですか……んん?」

「どうでしょう? 作れそうですか?」


 そう聞いたんだけどソナルクさんは目を見開いて紙を凝視している。紙に穴が開くかもしれない眼力ってなにさ。その後、ソナルクさんは震え出した。


「な、なん、なん……」

「ナン?」

「なんですかこれ!?」

「お肌つるつる石鹸の錬金レシピなんですけど」

「おは、つる、せっけ……?」


 あれ? 錬金術ってこういうのを作るんじゃないの? ゲームとかだと薬を作るイメージがあるけど、化粧品だって薬みたいなものじゃない?


 ソナルクさんがすっごく真面目な顔になって私を見てる。


「はるか昔、石鹸を錬金術で作り出したという人がいたそうです」

「そうなんですね」

「その石鹸は素晴らしい出来で、王族や貴族が買い占めるほどだと言われました。今出回っている手作りの石鹸はその劣化品でしかないとか」

「へぇ、すごい石鹸なんですね」


 ソナルクさんは一呼吸おいてからコップの水を飲み干す。そしてコップを置いてから身だしなみを整えた。最後に眼鏡の位置も戻す。すぐにずれたけど。礼儀正しいけど、何?


「これですよ!」

「うわ、びっくりした、ああ、そうだったんですか。それで作れます?」

「軽! 今やそのレシピは国で管理する感じになってて王宮錬金術師くらいしか作り方を知らないんです!」


 え? そうなん? でも、私もエスカリテ様もそんなこと知らないんだよね。まあ、カクテルのときみたいなもんでしょ。作っちまえばこっちのもんよ。というか王族ってなんでそういうの独占するかな。庶民に寄越せ。


 ソナルクさんがハッとした顔になってブルブルと震え出した。


「も、もしかしてマリアさんは王族の方ですか……?」

「違いますよ。私は巫女なんです。そのレシピも神様が調べてくれた内容でして」

「ああ、巫女様ですか……巫女ぉ!?」


 ソナルクさん、表情が忙しいな。それに今日一番の眼鏡のずれだ。


「それでどうでしょう。材料は用意しますので、錬金をお願いしたいんですけど」

「マリアさんとの温度差が激しくて風邪をひきそうです……」


 その温度差で風邪を引くわけがない。でも、そんなにすごい物なのかな。確かにカクテルの時も結構な反響があったと店長さんが言ってたけど。これも神様がいなくなったことが影響しているのかね。


「ここまで完璧なレシピなら私でも作れると思います。放出系の魔法が得意ではあるんですけど、循環系もやれますので」

「そのあたりの魔法理論は良く知らないんですけど、ならお試しでお願いします。ギルドの部屋をどこか借りましょうか」


 手が空いたルルさんにお願いして一部屋借りた。ソナルクさんに色々準備をしてもらっている間に私は材料の準備。と言っても、ギルドで扱っているもので全部そろった。


 ルルさんが興味津々で見学するそうだ。錬金術で石鹸を作るって言ったらすんごい食いつきだったな。ルルさんに使ってもらって、反応を確認するのも悪くないね。美人さんに使ってもらって周囲にアピールしてもらおう。クールビューティーの宣伝効果は半端ないはず。


 さっそく錬金開始。すり鉢で粉にしたりとか、魔女の巨釜でぐつぐつ煮るなんてことはせずに、ちゃんと計った分量の素材を魔力で調合するだけみたいだ。魔法ってすごいね。


 特に何の問題もなく、普通に石鹸ができた。こういうのは魔力の操作が影響するようで、ソナルクさんは操作が上手いのか、品質が良い石鹸ができたみたいだ。材料的に一個しか作れないから、宣伝のためにルルさんに使ってもらおう。目が怖いし。


「ルルさん、良かったら使ってもらえます?」

「え!? いいの!?」

「いつもお世話になってますので」

「マリアちゃん……! でも、この石鹸って高価な物じゃない? さすがにこれを無料ってわけには……」

「それならソナルクさんがしばらく王都で過ごせるように宿や食事の提供をお願いしてもいいですか? 教団へ領収書を送ってもらってもいいので」

「マリアさん……!」

「それなら任せて!」


 うんうん、これで石鹸が上手くいったら他のコスメも作ってもらおう。バリバリ稼ぐぜ……!




「マリア様、おはようございます。なにやら素晴らしい石鹸を作ったという話を聞いたのですが」


 作った翌日の朝なんだけど、執事さんの耳は早いなぁ。


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