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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第一章

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カクテルを探そう


『マリアちゃん、おにぎりは最高よ!』

『前世から知ってます』

『ほっぺたについたお米を取る仕草とか、なんというか、もう、やばい!』

『そっちは初めてみましたが、本当にやばいですね。暴れなかった私は偉い』

『しかも取ったお米を照れ臭そうに自分の口へ運ぶなんて……これって犯罪じゃ?』

『私としては執行猶予なしの懲役三日くらいの罪だとは思ってます』


 お米をゲットできたので、ここ最近はずっとお米を主食にしている。エスカリテ様にもお供えしているんだけど、なかなかの高評価だ。やはりお米は美味しい。思い出補正があるのかもしれないけど、活力がみなぎるね。ツナマヨがないのは残念だけど、塩焼きの魚をほぐして入れたら最高だぜ。


 お米をゲットできたのもシュノアさんと店長さんがめでたくお付き合いすることになったためだ。予想通り顔見知りではあったようだけど、これまでは会ったら挨拶をするくらいだったとか。最近は多くのスイーツを作るようになったので乳製品を仕入れることも多くなった。なので、会う頻度も増えていたとか。その上で今回の話がでたら簡単にくっついた。なぜ自分以外の恋愛だけは上手くいくのだろうか。神様なんていねーなー……脳内に神様の声が聞こえるけどさ。


 シュノアさん達がお米に興味があったようで炊き方やおにぎりの作り方を教えたら、美味しいと言ってもらえた。やっぱり水が多すぎておかゆっぽくなっていたらしい。あれはあれで消化には良さそうだけど、今ではほぼおにぎりだそうだ。最近はおにぎりに入れる具を何にしようとか悩んでいるらしい。


 同様にガズ兄ちゃんのところでもおにぎりがメニューに加わった。しかも手巻き寿司みたいに自分で握るタイプでの提供。自由に具を選ぶのが楽しいらしい。料理の才能はいらないし、彼女の手作りおにぎりが食べられるということで男性に人気だ。それは手作りなのかといいたいが、ギリギリ手作りでいいような気もする。衛生面にはかなり気を付けているようで、各テーブルに魔力で作動する浄化用のお手拭きが備え付けられた。なんでもあるな、異世界。


 そしておにぎりは恋人同士だと少し雑に食べるやり方が流行っている、というかマナー扱いだ。当然というか以前助けたカップルさん達が率先してやっていた。ほっぺたにご飯粒が付いたときがイチャイチャするチャンスなわけだが、ご飯粒をほっぺたに付けずにおにぎりを食べると下手と言われるとか。「あ、綺麗にたべちゃった」「もー、下手なんだからー」とあくまでも笑いながらだけど。これが地獄か。


 そんなわけで今王都でおにぎりがブームになっている。おにぎりの具に何が合うのか研究したり、具が何か分からない状態で食べるという楽しみ方が増えたそうだ。それに農家さんがお米を作ってみようとか、国が率先して対応するとかいう話も出ている。そんなんでいいのか異世界。


 食べ方に著作権なんてないので、私に金銭的な恩恵はまったくないけど、美味しいお米とか具材が増えるなら最高だよね。孤児院にも今度お米を送ってあげよう。作り方も添えないといけないけど。


 さて、それじゃ今日もしっかり働こう。掃除と畑仕事と、今日は邪神像の破壊にギルドに行こうかな。


『ねえねえ、マリアちゃん、教会の外に誰かいるわよ?』

『え?』

『指輪の捜索依頼をしにきてた執事っぽいけど』

『はて、なんでしょうね。あの時のお礼ならもういいって伝えたんですけど』


 なんだか教会の外からこちらをうかがっている感じだ。私が外に出るのを待っているのかも。別に誰かが来るわけでもないので、邪魔ではないんだけど、あの場所で待たれてもちょっと困る。こちらから声をかけよう。


 教会の外に出ると、執事さんと目が合う。執事さんは丁寧に頭を下げてくれた。


「こんにちは、執事さん、今日はどうされました?」

「こんにちは、マリア様。先日はありがとうございました。我が主もそれはもう大変感謝しておりまして、改めてお礼をとおっしゃっていました。こちら、菓子となっております。どうぞお納めください」

「あー、はい、ありがたく頂戴いたします。ですが、あのことは偶然ですのでお気になさらずに。少しでもお役に立てたなら幸いです」


 王都の有名店で出している最高級のケーキだ。夜になったら大事に食べよう。エスカリテ様にもお供えしないと。


「マリア様は謙虚でございますね。そのお言葉も主に伝えておきます。それで、本日、こちらへまいりましたのはエスカリテ様に助言をいただきたいと思いまして」

「エスカリテ様に助言ですか」

「もちろん寄付はご用意させていただきましたので、なにとぞ、お願いいたします」


 すごく頭を下げられた。エスカリテ様に助言を求めるのはいいんだけど、ちゃんと答えてくれるかが疑問。内容しだいでは受けられないことにしよう。でも、その前にエスカリテ様に聞いてみないと。


『エスカリテ様、助言してもらっても大丈夫ですか?』

『それは構わないけど、今の私ってできることが少ないわよ?』

『聞くだけ聞いてみましょう。できないことなら諦めてもらうしかないですし』

『うん、それでいきましょう』


 エスカリテ様との脳内会話を終わらせてから執事さんに微笑む。


「内容によるのですが、どんな助言が必要なのか教えてもらえますか?」

「おお、ありがとうございます!」

「あの、期待させて申し訳ないのですが、まずは聞くだけですよ。助言できるかどうか分からないので」

「お話を聞いていただけるだけでもありがたく思います」


 まずは執事さんを教会の中に招く。教会の中がボロボロなのに驚いたのか、目を見開いていたけど、そのうちもっと良くするので今回は見逃してください。そんなわけでとっておきの紅茶を出してから話を聞いた。


「カクテル? お酒ですか……」


 執事さんが頷いた。なんでも、五十年くらい前まで流行っていたカクテルらしく、恋人と一緒に飲むと幸せになれるらしい。吸い口が二つあるストローで一緒に飲むというわけではなく、二人で同じお酒を頼んで飲むというだけの話だ。それを出してたお店が王都にあったのだが、五十年ほど前に店主が亡くなり、レシピが失われてしまったとか。門外不出のレシピだったそうで今では作れる人がいない。思い出の飲み物なので、ぜひまた飲みたいと執事さんの主が言っているそうだ。無茶言うねぇ。


 とはいえ、気持ちは分かる。私も前世の思い出でお米を探したようなものだしね。五十年以上前に飲んだカクテルをもう一度飲みたいってわけだ。しかしね、門外不出のレシピを探すなんて無理じゃないの? そんなことができるなら私の理想とする彼氏を探して欲しいよ。一応、エスカリテ様に聞いてみるけどさ。


『エスカリテ様、分かります?』

『う、ううん……そのカクテル自体にはすっごく興味があるんだけどねぇ』

『でしょうね』

『一応、そのカクテルの名前を聞いてもらっていい? 五十年前だと寝てたから分からないけど、かなり昔からあるものなら助言できるかも』

『二千年前からあるカクテルならいいんですけどね』


 執事さんが真剣な顔で私の方を見ている。執事さんも主さんから無茶を言われて大変だね。


「名前は分かりますか? 見た目とか味とか、そういうのでもいいのですが」

「女神の吐息という名前のカクテルです。私も飲んだことがあるのですが、薄い橙色で柑橘類の味が主体だったかと。女神であるエスカリテ様なら何かご存じかと思ったのですが」

「女神の吐息、ですか」

『あー、あれかな?』


 いきなりエスカリテ様の声が聞こえた。執事さんにエスカリテ様と話をする旨を伝えてからそっちに集中する。


『なにかご存じで?』

『知ってるお酒がそんな名前だったと思う。ちなみに、女神って私やあの邪神どもじゃないわよ』

『なら昔はいたっていう良い神様のことを言ってます?』

『良い神……良い神かな……?』

『なんで疑問形なんです?』

『お酒好きの女神だったから。悪い神じゃなかった……はず。人にお酒の研究をさせてただけだし。私も試作品を試飲させられたな……あ、アイツ、私の部屋で酒飲んで散らかして掃除もしないで帰った! 良い神じゃない! 悪い神だ!』


 友達なのかな? 評価は微妙だけど、それくらいなら許容範囲……でも、そこは今回どうでもいい。問題はそのカクテルが作れるかどうかだ。


『レシピは知ってます?』

『私は知らないけど、あの子の家にはあるかも』

『あの子の家ってお酒好きの神様の家ですか?』

『うん。お酒の研究が好きだったし、レシピが残っている可能性は高いと思う。ちょっと遠いから面倒だけど家はまだあるはずだから見てくるね。時間がかかると思うから明日まで待ってもらって』

『分かりました。あと見つからない可能性も伝えておきます』

『うん、そうして』


 エスカリテ様との会話を終わらせて執事さんの方を見る。かなり期待している目だけどあまり期待はしないで欲しい。


「エスカリテ様が今探していますが、時間がかかりそうなので明日まで待ってもらっていいですか?」

「なんと! 本当に分かるのですか!」

「知り合いの神様の家にレシピがあるかもしれないと」

「おお……!」

「あの、ないかもしれないので、過度な期待はしないでくださいね」

「は、はい、我が主も話を聞いて貰えるだけで十分だと言っております。その、大変失礼ではありますが、このようなことを他の巫女様に話すと、いつも嫌な顔をされてしまいまして」

「まあ、そうかもしれませんね。とりあえず寄付に関しては成功報酬ってことにしまして、また明日来てもらっていいですか?」

「承知しました。マリア様、そしてエスカリテ様、本当にありがとうございます」

「いえいえ、巫女として当然です。ただ、先ほどもいいましたが、レシピが分からない可能性もありますので、期待はしすぎないでくださいね」


 執事さんは何度も感謝しながら帰って行った。


 それよりも気になるのは天界だよね。エスカリテ様ってどんな風に生活しているんだろう? そもそも神様に家ってあるんだ? それに今の神様たちは天界にいないのかな……いやいや、触らぬ神に祟りなしの方針だから詮索はしないでおこう。好奇心は猫だって危険だからね。さて、エスカリテ様が家探ししている間には私は掃除と畑仕事を終わらせよう。


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