第134話 新会社設立
望月社長がすぐに会社設立に動いてくれた。
新しい俺の会社名は『株式会社アンビバレント』に決定する。
まだ、俺と従業員3人、在籍アイドルはWhiteだけという規模としては小さな会社である。
今日は新しいオフィスを見に行くことになっている。
「四宮さん。お久しぶりです。またうちを使ってくれてありがとうございます」
「いえいえ、鈴木さん仕事早いですから」
不動産屋の鈴木さんに新しいオフィスを探していることを伝えると、ぜひうちでと言ってくれた。
今の住んでいる家も鈴木さんに決めてもらったのだ。
新オフィスの相談をしたら、すぐに候補をいくつか挙げてくれた。
「エリアが秋葉原か新宿と聞いていたので、ご希望に合わせていくつかピックアップしてみました」
「家賃はいい感じなんですけど、こんな広さは要りますかね?」
鈴木さんが提案してくれた物件は、希望よりも広いものが多かった。
「四宮さんのことです。すぐに事業規模拡大させて手狭になってしまうでしょう。それなら、最初から広めの所にした方がいいと思うんです」
「そんな、買い被りすぎですよ」
「いやいや、四宮さんは自分を客観的に見て、冷静に今の位置より下に見てますからね。ご要望の広さなら、すぐに移転することになってしまいますよ」
すぐに会社が大きくなることはないだろうと、新オフィスの広さは望月社長の事務所よりも狭めに要望を出していた。
しかし、鈴木さんがそう言うなら従っておこう。
家賃もだいぶ抑えてくれているみたいだ。
「ここ、内見に行けますか?」
「もちろんです! 早速行きますか?」
「お願いします」
地下鉄の新宿3丁目駅を出て、10分ほど歩いたところにそのビルはあった。
4階のフロアが丸ごと借りられるらしい。
「どうですか? 結構おすすめなんですけど」
「立地もいいですし、中も綺麗ですね」
「ええ、ここからならライブハウスも近いですし、周りには色んなお店がありますから便利ですよ」
新宿の繁華街も近いので、何かと便利なことだろう。
「他の所も見ていいですか?」
「ええ、もちろんです。比較するのは大切ですからね」
そこから、秋葉原と新宿の物件を3件ほど内見した。
さすがは鈴木さんだ。
どこも要望を抑えてくれて、なおかつWhiteのライブ会場に近いところにしてくれている。
「最初のところで決めようかと思います」
「ありがとうございます。それでは、契約を準備しておきますのでまた後日でもいいですか?」
「もちろんです。今日はありがとうございました」
「こちらこそですよ」
こうして、株式会社アンビバレントのオフィスが決定した。




