第132話 クールジャパンアンバサダー
翌日、Whiteがクールジャパンアンバサダーに任命されたことが内閣府から正式発表された。
その発表に数多くのメディアを騒がせることなる。
発表されて数時間でネットニュースになっている。
『アイドル初!人気グループWhiteがクールジャパンアンバサダーに』
そんな記事がずらりと並んでいる。
それと同時に、会社の電話が一斉に鳴り始める。
そのほとんどがWhiteに対する問い合わせだった。
俺は同僚たちに手伝って貰いながらも仕事を捌いていく。
メールの方にも仕事依頼は大量に舞い込んでいる。
「凄いことになったな……」
少し落ち着いたタイミングで俺は背もたれに寄りかかる。
内閣府の宣伝効果というのは凄まじいものがある。
その時、俺の直電に連絡があった。
「お疲れ様です。向井さん」
セントラルテレビプロデューサーの向井さんである。
『いやぁ、やってくれちゃったねぇ。四宮くん』
「クールジャパンの件ですか?」
『他にないでしょう。うちの局でもその話題上がってるよ。今日の夕方のニュースでそのこと流すからよろしくね』
「分かりました。お願いします」
どうやら、Whiteは夕方のニュースにもデビューするらしい。
まあ、前回のコスプレイヤーさんの時もニュースで流れたのでこうなることも予想はできていた。
『にしても、四宮くんのことだから多少のことは驚かなかったつもりだけど。今回も君の人脈かい?』
「まあ、そうですね。ちょっと谷部総理と知り合いになりまして」
『本当に君を見ていると飽きないな』
そう言って向井さんは笑い声を上げる。
『また僕の番組にもあの子たち起用させてよね』
「もちろんです。引き続きよろしくお願いします」
向井さんとの通話は終了した。
そして、向井さんが言った通り夕方のニュースでWhiteの話題が取り上げられた。
それが、さらに火を付けた。
SNSのトレンド入り。
仕事の問い合わせはさらに増えた。
今日決まった案件だけでも、雑誌グラビアが7件、イベント出演が4件、テレビ出演が23件、雑誌取材が6件が
確定した。
Whiteのスケジュールはすでに4ヶ月先で埋まったことになる。
「四宮くん、ちょっといいかな?」
望月社長が声をかけてくる。
「はい、大丈夫です」
そう言うと俺は社長室へと向かう。
「まあ、座ってくれ」
いつにもなく真剣な表情を浮かべる望月社長。
「どうしました?」
「いや、これはもっと先に言うつもりだったんだがな」
「はい」
一呼吸おいて社長が口を開く。
「四宮くん。ホワイトと共に独立する気はないかね?」




