第130話 総理との繋がり
俺は、現職の総理大臣と食事をしている。
「では、クールジャパンアンバサダーの話は確定でいいんだな? 四宮くんの方からは何か条件のようなものはあるか?」
「条件と言いますか、総理にお願いしたいことがあります」
「何だね? 遠慮なく言ってくれたまえ」
「連絡先を交換しては頂けないでしょうか?」
俺がそう言うと、しばらくの間沈黙が流れた。
やっぱり、いきなり連絡先はまずかっただろうか。
「あははは」
総理は笑い声を上げる。
「なんだ、そんな事でいいのかね」
「ぜひ、お願いします」
すると大臣は名刺の裏にペンを走らせる。
「これが私の連絡先だ。受け取りたまえ」
「ありがとうございます」
「君は、こうやって人脈を築いてきたのだな」
「ええ、ありがたい事にいろんな縁を築いてきました」
今まで、俺は様々な業界の人たちと繋がりを持ってきた。
それも、全て実際に会って話して、仕事をして信頼を築いてきたからである。
「今日はありがとう。四宮くんのおかげで久しぶりに有意義な話が出来た」
「こちらこそ、貴重な機会を頂いてありがとうございました」
「佐藤も、ありがとな。彼と繋いでくれて」
「いえ、お役に立てましたら幸いです」
こうして、総理との食事会はお開きとなった。
♢
翌日、俺はいつも通りに出勤をする。
今日は、午後からWhiteのワンマンライブである。
午前中のうちにやるべき仕事を終わらせておきたい。
「社長、今お時間よろしいですか?」
「ああ、大丈夫だ。ちょうど一段落した所だよ」
社長はメガネを外しながら言った。
「今度は何をやってくれたんだ?」
「はい、こちらをご覧ください」
俺は社長に資料を手渡した。
「Whiteをクールジャパンアンバサダーに任命したいらしいです。こちらとしても利益が大きいので、内定してきましたが、問題ありませんか?」
社長はその資料に目を通して行く。
「これは、一体どこからの案件なんだ?」
「内閣府です」
「なぜ、君はそんなに平然としているんだ……」
社長は半ば呆れた様子で言った。
「どうしたら、内閣府から仕事が来るんだよ……」
「昨日、谷部総理と食事をしまして、その時にお仕事を頂きました」
「分かった。もう、驚くのやめた」
そう言って、社長は資料を机の上に置いた。
「無論、やって構わん。この件も四宮くんに一任するから自由にやりなさい」
「わかりました。ありがとうございます」
俺は、正式にクールジャパンアンバサダーを受けることが会社として決定した事を総理に伝えた。
Whiteはついに内閣府、つまりは国から仕事をもらえる所まで成長したのである。




